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东方儚月抄 ~ Cage in Lunatic Runagate./第二话/中日对照

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三千年の玉
三千年之玉
  その竹林は深い霧に覆われ、迷い込んだ人間にとって無限の広さを持つと錯覚させられた。規則正しく並んでいない竹、緩やかな起伏、目印になる物が殆ど無い。まっすぐ進んでいるつもりでもいつの間にか元の位置に戻ってきてしまう。そんな竹林ゆえ、迷いの竹林と呼ばれた。
  那竹林被深深的浓雾所笼罩,给在里面迷路的人以无限广阔的错觉。排列不规则的竹子,缓缓的起伏,几乎没有什么能当成标记。即使想要笔直地朝前走也会在不知不觉间回到原处。就因为是那样的竹林,才被人们称为“迷途竹林”。
  その迷いの竹林に私の永遠亭は存在する。随分と長い間ここに住んでいたのだが、私にとっての時間はあの事件を機に動き出したばかりである。あの二、三年ほど前の地上の民による襲撃事件があってから、私は永遠亭に永遠の魔法をかけるのを止めた。
  我的永远亭就存在于那个迷途竹林中。虽然已经在这里居住了很久,但我的时间以那个事件为契机才刚刚开始流逝。自从二、三年前那次地上人的袭击事件以来,我就停止对永远亭施加永远的魔法了。
  何故なら、人間と妖怪が協力している様を見て、酷く羨ましく思ったのだ。永遠に月の都からの使者に怯えて暮らす自分が馬鹿馬鹿しく感じた。
  要问为什么的话,因为看到人类和妖怪互相协助的样子,我突然感到无比羡慕。开始觉得曾经那个永远过着惧怕月之都使者生活的自己是那么的可笑。
  永遠の魔法とは、一切の歴史の進行を止め、穢れを知らずに変化を拒む魔法である。
  永远的魔法,那是一种停止一切历史的进程,远离污秽抗拒变化的魔法。
  生き物は成長を止め、食べ物はいつまでも腐らず、割れ物を落としても割れる事はない。覆水も盆に返る。私は月の民である自覚から地上の穢れを恐れ、この魔法を建物全体にかけていたのだが、地上の民の魅力を目の当たりにし、自らその魔法を解いたのだ。
  生物将停止生长,食物永远不会腐败,易碎的物品即使落到地上也不会碎裂,覆水也一样能重收盆中。我因为身为月之民而惧怕地上的污秽,对整个建筑物施加了这个魔法,但随后因为亲眼目睹了地上人的魅力,又亲手解开了魔法。
  その結果、永遠亭も地上の穢れに飲み込まれた。食べ物は早く食べないとすぐに腐り、飼っていた生き物は皆一様に寿命を持ち、高価な壺は慎重に持ち運ばないといけなくなった。その代わりに月の都から使者に怯えて暮らす日々は、明るく楽しいものへと変化した。
  结果,永远亭也被地上的污秽所沾染。食物不尽快吃完就会腐败,饲养的生物全都拥有了寿命,高价的壶也必须谨慎地搬运才行。但相对的,那惧怕着月之都使者到访的生活却变成了轻松快乐的日子。
  それにより永遠亭も永遠亭に住む私達も、地上の一部となったのである。もう月の都に帰る事は出来ないが、後悔はしていない。
  因此永远亭和居住在永远亭里的我们也都变成了地上世界的一部分。虽然已经不可能再回到月之都,但我并不后悔。
  そんな永遠亭には不思議な盆栽があった。珊瑚のような枝には実も葉も付いておらず、端から見ると枯死してしまったようにしか見えない。
  在永远亭中有一株不可思议的盆栽。如珊瑚一般的枝上没有生长任何叶子与果实,一眼看上去仿佛枯死的植物一般。
  だが私はその盆栽の花が咲き、見事な実がなる事を知っている。ある条件が揃わないと花が咲かない事も知っていた。しかもその条件は揃いつつある。
  但我知道那盆栽会开花,会结出美丽的果实。我也知道不满足某个条件它就不会开花。而且那个条件正逐渐达成。
  今夜は中秋の名月である。定例の例月祭を行う予定だが生憎の雨だったので、永琳のいる部屋へ今夜の予定を聞きに行った。
  今夜是中秋的明月。本来预定是要举行例月祭的但很不巧下起了雨,所以我决定去永琳的房间询问今夜的安排。
「こんな雨じゃ、今年の中秋の名月は見られそうにないわね」
“下这么大雨的话,看来今年中秋的明月是赏不成了呢”
  私は残念そうに言ったが実のところ少し安心していた。というのも、昔は中秋の名月が輝く日を恐れた筈なのに、ここ二、三年の間に満月を見る事を楽しむようになっているからである。その変化が何か怖いのだ。怖いゆえに、満月は見えない方が考える必要が無くて安心する。
  我的话语中虽然略带遗憾但实际上稍稍放下了心。说起来,这也是因为往昔对于中秋那明亮的满月感到无比恐惧,而近来的二、三年间却逐渐能够享受赏月的缘故。那种变化总让人感到有些害怕。正因为害怕,看不到满月就可以不用想那么多当然人也就安心了。
「満月は雲に隠れて見えない位が丁度良いのですよ」
“满月被云所遮掩无法看见才是正好哦”
  ここの所、細かい雨が降ったり止んだりを繰り返し、秋の長雨を感じさせた。今年の秋は晴れの日が少ない様にも感じる。今日も例外ではなく、朝から小雨が降ったり止んだりしている。
  最近,小雨一直时下时停不断反复,让人体会到秋的雨季。也让人感觉到今年的秋季似乎晴天非常少。今天也毫不例外,从清早开始小雨就时下时停。
「ねぇ永琳、イナバ達に伝えておく? 今日の例月祭は体を冷やさないように気をつけてやってって」
“永琳啊,要不要跟因幡们叮嘱一声?让她们注意今天例月祭不要着凉了”
「いやいや輝夜、すでに今日の例月祭は雨が酷いようなら室内で行ってもいいと伝えておいたわ。兎だって、雨の中団子を搗くのは嫌でしょう?」
“不用不用辉夜,我已经通知她们今天的例月祭如果雨下太大的话就在屋子里进行好了。就算是兔子,也不会愿意在大雨里捣团子吧”
「そうねぇ、雨水で搗いた団子なんて食べたくないからね」
“是啊,谁也不想吃在雨中捣的团子”
  最近、永琳が兎達に優しくなった様な気がしてならない。昔は兎に限らず、永琳にとって地上の生き物は自分の手足でしかなかった。月の都でも月の民にとっては、兎達はただの道具でしかないのだから当然と言えば当然である。月の民は他の生き物とは別次元といっても過言ではない程の、高貴な者達なのだ。
  最近,总让人感觉永琳她对待兔子们变得温柔了。过去不仅是兔子,对于永琳而言地上的生物都不过是自己的工具而已。就算是在月之都对于月之民而言,兔子们也不过只是道具而已,所以要说当然也是理所当然的。因为月之民跟其他生物比起来,完全可以说是不同次元的高贵存在。
  それがいつ頃からか永琳は、私達月の民も地上の兎達も対等の存在として扱い始めている様に思える。妖怪と人間が対等に暮らす幻想郷の影響だろうか。
  不知从什么时候起,永琳她也开始把我们月之民与兔子们放到平等的位置上对待了。是受了妖怪与人类平等共存的幻想乡的影响吗。
  でもそれが嫌だという訳ではない。むしろ私にとっては特別視されるよりは居心地が良かった。何せ幻想郷には月の民は私と永琳の二人しかいないのだから、地上の民より優れていると思っても孤立するだけだし、地上の民がみんな道具であるのならば道具が多すぎるからだ。
  但我并不讨厌那样。其实对于我来说这反而比被特别对待要更舒服。毕竟幻想乡中的月之民只有我和永琳两个人而已,一味地自认为比地上人优秀的话最后也只是被孤立,如果把地上人都看成道具的话那道具也未免太多了点。
  余り昔の事は思い出したくもないのだが、私は一度も地上の民と同一視された事はなかった。蓬莱の罪を犯して地上に追放された時も、誰一人普通の人間として扱ってくれる者は居なかった様に思える。
  虽然过去的事情并不太想去回忆,但我其实从来都没有和地上人一样被对待。即使是犯了蓬莱之罪被流放到地上的那个时候,感觉也没有一个人把我当成一个普通的人类去接纳。
  そういえば追放された時に初めて降り立った地上も、こんな霧の深い竹林だった。そこで私を見つけた老夫婦も、最初は私に奇異の念を抱いていた事を覚えている。
  说起来被流放后第一次降落到大地上时,也是在这么一个充满浓雾的竹林里。在那里发现我的老夫妇二人,我至今还记得二人最初那异样的神情。
  それは当然の事だった。何せ私は竹林の一本の光る竹の中に入れられ、人とは思えぬほど小さくさせられていたのだから、妖怪の類だと思われても仕方がない。妖怪に人間が捕って喰われるのが当たり前の時代、何故その老夫婦は私を拾って帰ったのだろうか。
  那是当然的。毕竟我被放到了竹林中一棵发光的竹子中,外形小到完全不像是一个人类,被当成妖怪之类的也是没有办法的事情。在那个妖怪捕食人类是理所当然的时代里,为什么那对老夫妇会将我捡回家呢。
  老夫婦が私を匿ってくれた理由は、月の都の監視役が定期的に富を与えていたからだと思う。月の都の監視役は、私と同じように光る竹に黄金を隠して、この老夫婦に私を匿ってくれた事による謝礼だと印象付けさせた。当然、老夫婦は私を家に住ませれば富が得られると考える様になる。だからなのか、私は特別視され家から出ることも許されなかった。他の家の者に取られたくなかったのだと思う。
  我认为老夫妇之所以愿意藏匿我的理由,是因为月之都的监视者定期会给予老夫妇财富的原因。月之都的监视者将黄金隐藏在和我被发现时同样的发光的竹子中,感觉似乎是送给老夫妇当作愿意藏匿我的谢礼。当然的,老夫妇最终发现让我住在他们那里自己就能够获得财富。也许正因为如此,我开始被特别对待并不允许离开家门一步。我想他们是不想我被别的人家抢走吧。
  それに私は地上では目立っていた。何をしていなくても噂を聞きつけ様々な人間が集まってくるようになった。私も地上の表舞台に出る事は避けたかったし、いつの間にか老夫婦に感謝と愛着の様なものも芽生えていたので、老夫婦が家に匿ってくれる事は有難かった。
  而且我在地上太显眼了。即使我什么也没做听到传闻的人们开始络绎不绝地集中过来。而我并不想走上地上世界的表舞台,同时不知不觉地对于那对老夫妇也萌生了一些感谢和喜爱之情,因此也很感激老夫妇将我藏匿于家中。
  そんな日々を経て、いつしか地上を月の都よりも魅力的な場所だと思うようになっていた。その時は永遠の魔法をかける事はなく、僅かだが地上の穢れに侵食されていた影響だと思う。
  经过了那样的日子,不知不觉间我开始觉得地上是比月之都更充满魅力的地方。我想那时候是因为没有施加永远的魔法,而被地上的污秽给侵蚀造成的影响。
  ただ、その時はまだ私も自分が地上の民とは違う高貴な者だと認識していたし、地上の民は道具としか思っていなかったのだが……ここ幻想郷はとても不思議な土地であった。妖怪と人間が対等に暮らし、古い物も新しい物も入り交じった世界。そこに月の民と月の都の最新技術が混じったところで、誰も驚かないのだろう。自らを高貴な者だと言っても笑われるだけである。
  只不过,那时候的我心里依然认为自己是与地上人不同的高贵存在,对于地上人也只是当成道具而已……这个幻想乡真是一片不可思议的土地。妖怪与人类对等地生存,古老的事物与新鲜的事物交汇融合的世界。月之民与月之都的最新技术即使混入其中,也不会有任何人感到吃惊吧。就算是自称高贵者也只能沦为笑柄而已。
  何とも幻想郷は居心地の良い土地だった。何故なら、わざわざ隠れ住まなくても目立つ事がないのだから。
  幻想乡是多么让人感到舒适的土地啊。因为,不用刻意躲藏起来走到哪里自己也不会显眼。
「最近の雨はペーハーが低いってよく聞くから特にね。ほら、イナバ達は毛が多いから……」
“听说最近的雨水pH很低所以更要注意呢。你看,因幡们身上毛那么多……”
「うふふ、安心して良いわよ輝夜。幻想郷の雨はペーハー6だわ。それに草木が枯れるくらいの雨じゃないと、毛が抜け落ちたりしないわよ」
“呵呵,放心吧辉夜。幻想乡的雨水是pH6的哦。而且只要下的不是能让草木枯萎的雨水,是不会引起掉毛的哦”
  永琳は私のジョークに対し「それに毛が抜け落ちるのを防ぐ薬位簡単に作れるわ」と真面目に答えた。
  永琳对于我的玩笑话很认真地以“况且要做防止掉毛的药也是易如反掌的事情啊”做了回答。
  私も勉強して地上の事を少しは理解したつもりである。それでも永琳の勤勉さには敵わない。知ったかぶりで難しそうな単語を用いて話しても、永琳は全て受け答えてくれる。正直、私にはペーハーとは何の事なのかすら判っていないのだが……。
  我也通过学习稍微掌握了一些关于地上世界的事情。即使如此也赶不上永琳的学问。就算装腔作势用一些复杂的单词去跟她谈话,永琳也全部都对答如流。说实话,我到现在连pH究竟是什么意思都还不清楚……。
  何故、彼女はそんなに多くの知識を持っているのだろうか。月の都にいた頃から不思議でならなかった。月の事も地上の事も熟知し、幻想郷にいても外の世界の事すらよく知っている。
  为什么,她会掌握那么丰富的知识呢。当初还在月之都的时候我对此就感到很不可思议。熟知月球与地上的事情,现在身在幻想乡却还对外面世界的事情了如指掌。
  ただ、博識な者特有の癖というか、そういったものもある。自分の知識を判りやすい形で伝えようとしない。わざと難しく言って相手の反応を楽しむのだ。つくづく、教授と学者は似て非なるものだと思う。
  只是,应该说是知识渊博的人特有的毛病吧。她从来不会将自己的知识用容易理解的形式告诉大家。故意说得很难解通过观察对方的反应来取乐。越来越让人觉得,教授和学者是似是而非的东西。
「ペーハーが6って事は……えーっとー」
“pH值是6的话就是说……那个——”
「雨にとっては至極正常な状態よ。殆ど酸っぱくないって事」
“就雨水而言这是非常正常的状态哦。基本上没有酸性的意思”
  ペーハーとは酸っぱさの度合いらしい。今回は永琳にしては判りやすい説明で有難い。
  pH似乎就是指酸性程度的意思。这次永琳的解释比以往都要容易理解真是太好了。
「雨水が酸っぱいって事があるのかしら。まぁ、どのみち小雨でもイナバ達には家の中で餅を搗いて貰いましょう」
“雨水还会含有酸性吗。算了啦,不管怎么样哪怕只下小雨也让因幡她们都在家里捣团子好了”
  私がそう伝えると言うと、永琳は頷いた。
  听我这么一说,永琳她点了点头。
  私は薬くさい永琳の部屋を後にして、台所にいる鈴仙に今日の例月祭の事を伝えた。
  我走出了永琳那充满药味的房间,向在厨房里的铃仙传达了今天例月祭的安排。
「あ、輝夜様。もうすぐ準備が出来ますので……」
“啊,辉夜大人。马上就准备好了……”
  鈴仙は既に合羽を着込み、外で餅を搗く気満々であった。
  铃仙已经穿好了雨披,一心想着在屋外捣团子了。
「あ、良いのよ。今日は家の中で搗いて頂戴」
“啊,不用出去了。今天你们就在家里捣团子吧”
「え?」
“诶?”
  鈴仙は意外そうな顔をしていた。それもその筈、今まで家の中で行った事は、余りの暴風で兎達が立っていられなかった時を除いて無かったからである。
  铃仙一脸意外的表情。那也难怪,至今为止除了暴风雨让兔子们都无法站住脚的时候以外,从来就没在家里进行过。
「先ほど、師匠も『雨が酷いようなら』と言っておられましたが、ただ見た感じ軽い小雨なので外でやるつもりですけど」
“刚刚师傅也来说过‘如果雨下太大的话’,但看起来只是小雨所以还是打算在外面进行的来着……”
「雨が酸っぱくないから家の中で良いわ」
“雨不是酸性的,所以在家里就好了哦”
「雨が酸っぱくないから? それは一体……」
“雨不是酸性的?这是什么意思呢……”
「ペーハー6だって、ま、深い事は考えないの。私の言う通りに動けば間違いないから」それは永琳の口癖だ。根拠が無くても口に出してみると非常に気持ちが良い。
“就是pH值6,没什么,不用想太复杂啦。按照我说的去做不会有问题的”那是永琳常挂在嘴边的话。就算没有任何根据但从自己嘴里说出来感觉真的非常好。
「は、はい、有難うございます。では今日の例月祭は永遠亭の中で行おうと思います。その代わり少々騒がしくなるかも知れませんが……」
“是,好的。非常感谢。那么今天的例月祭我想就在永远亭内举行了。相对的可能会稍微有点嘈杂……”
  例月祭では兎達が歌を歌いながら餅を搗いている。別に儀式とはなんの関係もないのだが、兎達は楽しそうなので放っておいたのだ。まぁ、永遠亭の中だと逆に緊張するのかも知れない。
  例月祭上兔子们一边唱歌一边捣面团。虽然这和仪式没有任何关系,不过那样兔子们看上去非常高兴所以也就放任没去管了。不过嘛,如果搬到永远亭里面来进行的话可能反而会紧张吧。
「不思議ねぇ。神妙なお祭りの筈なのに何で騒がしくなるのかなぁ」
“真不可思议呢。本来应该是很神妙的祭典来着为什么会变得这么热闹呢”
「は、いや、今回は静かにさせます」
“啊,不是,这次我会让她们安静地进行的”
「いやいや別に良いのよ。貴方達が歌いながら餅を搗いている事なんて知っていたわ」
“没事没事没关系的哦。我知道你们都在一边唱歌一边捣团子的”
「貴方達というか、私は歌っていないんですけどね。てゐ達が言う事を聞かないもんで……」
“‘你们’这怎么说呢,我其实根本就没在唱歌来着啊。主要是天为她们总是不听话……”
「言う事聞かないんじゃ、静かにさせますって言っても無理な話でしょ?」
“如果她们不听你话的话,刚刚你说让她们安静地进行不也是一纸空谈吗?”
  鈴仙は「いやはや済みません」と言うと、お勝手口から「まだ始めないのー?」とてゐの声が聞こえてきた。
  “真是非常抱歉”铃仙这话刚说完,从厨房门口就传来了天为“还没开始吗——?”的声音。
「じゃあ騒がしくなる代わりといっては何だけど、出来れば団子の味のバリエーションが欲しいわ」
“那么就算是作为吵闹的补偿吧,我希望团子的口味可以的话尽量弄丰富一点”
「それはお安いご用です。何か要望が御座いましたら是非」
“那没问题。如果有什么希望的话尽管提出来”
  少し考え、とりあえず「三色団子があるんだから、七色の団子なんて如何?」と言っておいた。
  我稍微想了一下,总之“不是有三色团子吗,那弄个七色的团子如何呢?”对铃仙如此说道。
  私は自分の部屋に戻り、奇妙な盆栽を愛でる仕事に戻った。
  我回到自己的房间,继续开始了养护那株盆栽的工作。
  例月祭といっても私はやる事がない。いや、例月祭に限らず普段の生活でもやる事が殆ど無い。竹林の外の情報はイナバ達に伝えて貰うし、急患や来客があったとしても永琳が全て対応してくれる。何もしなくて良いという生活は、正直退屈なものだった。
  就算是例月祭也没我能插手的活。不对,不仅是例月祭即便平常的生活里也没什么需要我做的。竹林外面的一切情报都由因幡们负责收集来,即使有急患或访客也全都由永琳负责接待。什么也不需要做的生活说实话,是非常无聊的。
  月の都にいた頃も同様に、やる事が何も無かった気がする。退屈さ故に地上に憧れたものだったが、地上に降りてきて初めて判った。やる事が無いのは月の都や地上など環境に関係なく、私自身の問題だと。何事も環境の所為にする心が退屈さと窮屈さを生むという事を。
  记忆中似乎在月之都那段日子也一样,什么事都没有。当时因为无聊而充满了对地上世界的憧憬,可降落到地上之后才第一次明白了。无事可做这与在月之都还是地上这些客观环境无关,是我自身的问题。我明白了正是把一切都归咎于环境的思想才招致了无聊与烦闷。
  だから私は退屈な日々を打ち破る第一歩として、盆栽を愛でる事を仕事にした。それだけだが、毎日やらなければいけない事があるだけで気持ちは大分変わるものである。
  因此作为打破这种无聊生活的第一步,我开始把养护盆栽当成了自己的工作。仅仅如此,仅仅将此当成每日的必修课心境就发生了很大的变化。
  私が眺めている盆栽は、毎日眺めていても何の変化も無い。しかし、変化の無い物は地上には存在しない筈である。形ある物は必ず壊れ、命ある物はいつかは死せる。地上に存在するあらゆる物も、その呪縛から逃れられない様に出来ている。その理由は地上に蔓延る穢れに原因があると永琳は教えてくれた。
  我所凝望着的盆栽即使每日如此望着它也没有任何变化。但是,不变的事物在这个地上世界应该是不存在的。有形之物必然会毁灭,存命之物终将会消亡。地上世界的一切在被创造之日起,就注定了无法逃脱这个束缚。永琳告诉过我原因就在于蔓延于地上世界的污秽
  穢れは物質や生命から永遠を奪い、同時に寿命をもたらす。地上に存在するあらゆる物は多かれ少なかれ穢れているから、永遠に残り続ける者など無い。ましてや、変化しない事など有り得ないのだ。
  污秽从物质和生命当中夺去了永远,同时为其带来了寿命。存在于地上世界的一切或多或少都沾染了污秽,所以没有什么东西能永远留存。更何况,一成不变那根本就是天方夜谭。
  しかし、私の目の前にある盆栽は穢れていない。だから変化せず永遠を保っている。成長してないように見えるのは、決して枯死している訳ではなくつい最近まで私の能力により永遠を保っていたからである。私の能力は『永遠と須臾 (しゅゆ) を操る能力』。地上には存在し得ない、穢れ無き永遠を作り出すことが出来るのである。
  但是,我眼前这株盆栽却没有沾染污秽。所以才一成不变的保持着永远。看上去完全没有成长并不是因为它枯死了,只是一直到前一阵子为止都受到我的能力影响而保持着永远的缘故。我的能力是“操纵永远与须臾程度的能力”。能够创造出地上世界不可能存在的,毫无污秽的永远。
  この盆栽の正体は、本来月の都にしか存在しない植物『優曇華』。地上では三千年に一度咲くとも言われている幻の花と同じ名前の植物である。
  这个盆栽其实就是,本来只存在于月之都的植物“优昙花”。是与地上传说中三千年盛开一次的幻之花同名的植物。
  同じ名前と言ったのは、地上にも別に優曇華という植物は存在するからである。三千年に一度しか咲かないという伝説が元になり、非常に稀にしか咲かない植物にその名前を当てただけの物だ。
  说同名是因为地上也有另外一种名叫优昙花的植物存在。不过那只是将传说每三千年才开花一次的一种很稀少开花的植物,冠以这个名字而已。
  本当の優曇華は、月の都にしか生えていない木である。この木が花を咲かせ、実を付けると綺麗な七色の玉が枝に付くのである。昔、私に求婚に来た男に要求した『蓬莱の (たま) () 』と呼ばれる宝物は、この優曇華の木が開花して実を付けた物の事を指していた。蓬莱の玉の枝とは、蓬莱の優曇華にかけたものである。
  真正的优昙花,是只生长于月之都的树木。这种树一旦开花、结果,枝上就缀满了非常美丽的七色之玉。过去,我曾经向来求婚的男人要求过的名为“蓬莱的玉枝”的宝物,指的就是优昙花树开花后结有果实的树枝。所谓蓬莱的玉枝,指的就是蓬莱的优昙花。
  この優曇華は、月の都では葉も花も実も付けていない。見窄 (みすぼ) らしいが、実に『わび·さび』の『さび』を感じさせる木である。枯れる事も成長する事も無くただ生えている。しかしこの枝を地上に持ってくると、地上の穢れによりその姿を大きく変化させる。その穢れを栄養とし成長を始め、美しい七色の玉を実らせるのだ。
  这种优昙花,在月之都里既不长叶也不开花更没有结过果。外表虽然朴素,却给人以『侘·寂』中的『寂』感的植物。既不会枯萎也不会成长仅仅生根于那里。但将这枝条带到地上之后,地上的污秽会让其外形产生了巨大的变化。它开始以污秽为营养进行成长,将结出美丽的七色之玉的果实。
  何故穢れを栄養とする植物が、穢れの無い月の都に生えているのかはよく判らないが、大方月の都に住む賢者の誰かが作った植物なのだろう。月の都に穢れを持ち込むと、すぐに花を咲かせて知らせるからである。
  虽然我不清楚具体为什么以污秽为营养的植物会生长在毫无污秽的月之都里,但十有八九是住在月之都里的哪个贤人创作出的植物吧。因为假如有人想把污秽带入月之都,那种植物的开花就是信号。
  他にも月の使者は地上に降り立つとき、この優曇華の枝を持ち寄る。そしてそれを一権力者に渡すと、穢れに満ちた権力者によって美しい七色の玉が実る。権力を持っていればいる程、美しい玉の実を付ける。当然、権力者はその玉を権力の象徴とする。
  另外月之使者在降落到地上的时候,会带着这种优昙花的树枝。然后将树枝交给地上的最高统治者,随后树枝就会在充满统治者的污秽的作用下结出美丽的七色之玉的果实。权力越大,就越能结出美丽的玉之果实。当然的,统治者会将那玉作为自己权力的象征。
  だが、地上に存在するものは必ず壊れる。盛者必衰、力あるものもいずれ必ず衰え滅びる。その時、この優曇華の玉の枝は奪い合いの対象となるのだ。そして地上の世の平和は乱れ、戦乱の世へと変化する。
  但是,存在于地上的事物必然会毁灭。盛者必衰,再有力量的人终究也逃不过衰亡。到那时,这只优昙花的玉枝就将成为人们争夺的对象。接着地上世界的和平就会被扰乱,变成一个战乱的时代。
  つまり優曇華は、月の民が地上に争乱をもたらす為にも利用されている植物である。何故争乱をもたらす必要があったのかは、人間の歴史を見れば容易に判る。人間の歴史と成長は、全て戦争の歴史と成長なのだから。争い事がなければ何も成長しない。現状に満足した時点で人間は生きるのを諦めてしまうだろう。月の民は地上の民の事を思って、日々暮らしているのだ。地上の民の歴史は月の民が作っていた事に他ならない。
  换句话说,优昙花其实就是月之民利用来给地上带去战乱的植物。为什么需要带去战乱这一点,只要纵观人类的历史就很容易理解。因为人类的历史与成长,完全是战争的历史与成长。没有斗争的话什么都不会成长。一旦满足于现状的话那人类就会失去生活的方向吧。月之民无时无刻不在为着地上人着想。地上人的历史其实全都是月之民创造的。
「輝夜、ほら雨が上がって雲の切れ間から満月が見えるわよ」
“辉夜,你看现在雨停了可以从云缝里看到满月了哦”
  背中からかけられた声で目が覚めた。盆栽を眺めながら考え事をしていたら、いつの間にかうとうとしていたようだ。
  背后传来的声音将我拉回了现实。看来我似乎一边望着盆栽一边想事情的时候,不知不觉地睡着了。
「あらほんと、優曇華の盆栽を眺めていたら軽く眠ってましたわ」
“哎呀真的呢,望着优昙花的盆栽结果不小心打起盹来了”
  私が持っている優曇華の盆栽はまだ実を付けていなければ花も咲いていない。
  我手上的这株优昙花的盆栽还未能开花结果。
  それは私がこの屋敷全体に永遠を与えていたからであるのだが、その永遠の魔法もこの間の騒動で止めてしまった。つまり永遠亭にも地上と同じく歴史が動き始めたのである。すぐに穢れはこの屋敷にも広まり、永遠亭は地上の一部になっていくだろう。この優曇華に花が咲くのも時間の問題であると思われた。
  那是因为我曾经给予了这整个房屋永远的缘故,但那永远的魔法也因为前一阵子的骚动解除了。就是说永远亭的历史也和地上世界一样开始前进。很快污秽就会在这个房屋中蔓延开来,永远亭也将逐渐变成地上世界的一部分吧。我想这株优昙花开放也只是时间的问题了。
  私や永琳の心境に微量な変化が見られるのも、恐らく地上の穢れの影響であろう。一度地上の穢れにまみれてしまえばもう二度と月の都に戻る事は出来ないが、私も永琳もそのつもりであった。可哀相なのは私達の巻き添えになって帰れなくなる月の兎、鈴仙くらいである。
  我和永琳心境产生的微妙变化,恐怕也是受到地上的污秽所影响吧。一旦沾染上地上的污秽便永不可能再回到月之都了,但我和永琳也正是这么打算的。比较可怜的大概也就是被卷入我们的事件现在也回不去的月兔,铃仙而已。
  そう言えば、永琳は鈴仙の事を『優曇華』と名付けている。それはどういう意味だろうか? 私達に蔓延る穢れを計る為の存在と考えているのだろうか……。いや永琳の事だ、恐らく穢れを知らなかった月の兎が、地上の穢れに触れて美しい実を付ける事を期待しているのだろう。
  说起来,永琳给铃仙她起了一个“优昙花”的名字。那究竟是什么意思呢?是把她当成计量污秽在我们身上蔓延程度的装置的意思吗……。不过毕竟是永琳做的事,八成是期待着不懂污秽为何物的月兔,接触到地上的污秽后能结出美丽的果实吧。
「あら、雨上がりの所為か満月が綺麗に見えるわね。それで、イナバ達は? さっきは家の中で例月祭をしろと伝えたのだけど」
“哎呀,是不是因为雨刚停的缘故满月看起来很美呢。然后呢?因幡她们怎么样了?刚刚我有去告诉她们在家里进行例月祭来着”
  永琳は笑顔でこう答えた。
  永琳一脸微笑这样答道。
「もう外でやってるわ。兎達も外の方が気楽で良いみたい」
“已经跑到外面去办了。兔子们似乎也觉得在外面比较轻松愉快呢”
「ふーん。それはどういう意味かしらね」
“哼——那是什么意思嘛”
「何をやるにしてもボスは近くにいない方が気が楽って事」
“就是说不管做什么BOSS不在身边总会感觉比较轻松啦”
「じゃあ、今度からどんな雨でも外でやって貰う事にしようね。野分 (のわき) (*注:秋の台風の事)でも何でも」窓の外から兎達が歌っている声が聞こえてくる。家の中では随分と抑えて歌っていたようだ。外で楽しそうに歌っているのを見ると永琳が優曇華の盆栽を気にしていた。
“那样的话,以后不管下多大雨都让她们在外面办好了。野分(*注:秋季的台风)也好什么也好” 从窗外传来了兔子们歌唱的声音。看来在家中的时候唱得确实很压抑。看着她们在外面欢唱的样子,永琳突然注意起优昙花的盆栽来了。
「……まだ変化がないみたいね。でも、もうじき成長を開始するでしょう。ひっそりとした花を咲かせた後、綺麗な七色の玉の実を付ける筈です。楽しみね」
“……看来还没有变化呢。但是,应该马上就要开始成长了吧。悄然无息地开过花之后,就会结出美丽的七色玉之果实。真期待啊”
「ええそうね。綺麗な優曇華の木は地上の民の特権ですから。それに今日は一足早くその七色の玉の実を味わえる様にしてみたわ」
“嗯嗯没错呢。美丽的优昙花树一直都是地上人的特权来着。而且今天我做了一件事情让我们能早一步体验到那七色之玉的果实哦”
  永琳は「どういう事?」と言って首を傾げた。どんな事でも永琳が疑問に思うとちょっと嬉しく思う。
  永琳一边歪着头一边问道“怎么说?”不管是什么事情只要永琳一抱有疑问我就会觉得稍微有些开心。
「鈴仙に今日の例月祭の団子に、三食ならぬ七色の団子を勧めてみたの」
“我今天推荐让铃仙把例月祭的团子不要做成三色而是做成七色的”
「なるほど、それは面白いわね。でも、その団子が優曇華みたいな七色だったら私はちょっと遠慮したいわね」
“原来如此,那是比较有趣呢。不过,要是团子做成像优昙花那样七色的话我就不太想吃了呢”
「どうして?」
“为什么?”
「だって、蓬莱の玉は青とか藍とかあるのだから。食欲そそらないでしょ?」
“因为啊,蓬莱之玉不是有青色和蓝色的吗。那怎么勾得起食欲?”
  ——外から聞こえる兎達の歌の激しさが増していた。大勢で餅を搗く音が和太鼓が奏でる激しいリズムの様に聞こえる。兎達には不思議な能力がある。以心伝心に優れていて、兎同士なら言葉を交わさずとも強い連携が保てるのだ。
  ——从外面传来的兔子们唱歌的节奏越来越激烈。无数捣面团的声音听起来就仿佛太鼓激烈的节奏。兔子们拥有着很不可思议的能力。她们擅长以心传心,兔子之间即使不用话语也能够保持良好的协作。
  鈴仙は月の都にいる兎と連絡を取る事が出来るし、てゐ達は何も言わずともリズムを合わせて踊り出す。餅を搗くタイミングと周期をみんなで少しずつずらせば、不思議な音楽の出来上がりである。
  铃仙可以和月之都的兔子们取得联络,而天为她们即使什么话也不说一样可以合着节拍起舞。只要大家互相将捣面团的时机和周期稍稍错开,就可以奏出一曲不可思议的乐曲。
  私と永琳は居間で兎達が奏でる音楽をお茶請けにして秋の夜長を楽しむ事にした。別に中秋の名月だからといって、外で休憩するのは止めた。
  我和永琳在卧室里将兔子们演奏的乐曲当作茶点享受着秋天的长夜。虽然说是中秋的明月,但我们还是决定不在外面休息了。
「それにしても、今日の兎達が搗くリズムは凄いわね。何がそうさせているのかしら」
“说起来啊,今天兔子们捣面的节奏很激烈呢。究竟是什么让她们这么兴奋啊”
「中秋の名月だからかなぁ」
“因为是中秋的明月嘛”
  そう言って永琳はさらに「まるでケチャみたいね」と付け加えたが、私には何の事だかさっぱり判らなかった。
  说完永琳还加了一句“简直就像凯卡克舞一样”,但我一点也没听懂究竟是什么意思。
「ところで永琳。二ヶ月前の話だけど……。何だかあれから不穏な感じがしない?」
“说起来永琳。关于两个月前那件事……。从那之后有没有什么不对劲的感觉?”
「ああ、確かに地上では誰が広めたのかあちこちで月の話題が出ているわ」
“啊啊,说起来确实不知道是谁在地上到处散播,四处都在谈论关于月球的话题呢”
  そうなのだ。ふた月前、月の都では永琳をはじめとする反逆軍1が月に攻めてくるという噂が出てきたかと思うと、神社には逃亡してきた月の兎が降りてきたりと不思議な出来事が続いた。
  没错。两个月前,刚听说有谣传以永琳为首的叛乱军要攻打月球,之后就有逃亡的月兔降落到了神社当中,不可思议的事情接连发生。
  その前から、月の都では内乱の兆しが見えていたとも聞いていたし、何者かが月の都で暴れようとしているのは間違いなかった。そのスケープゴートとして永琳の名前を使っているか、もしくは自然と永琳の名前が出てきただけであろう。
  从那以前就已经听说月之都有内乱的先兆,可以肯定有什么人想大闹月之都。到底是故意为了把永琳这个名字拉出来当替罪羊呢,还是说自然而然的人们就想到了永琳的名字呢。
  それに関しては、永琳が月の都で信頼の置ける人物に封書を送る事で解決しているから心配ないと思うのだが、それから何故か幻想郷のあちこちで月の噂をする者が増えたのだ。
  关于那件事,永琳似乎给身在月之都内能够信赖的人物写了封书信解决掉了,那边虽然不用担心了可从那之后不知道为什么幻想乡到处开始有人议论起了月球的事情。
「二ヶ月前の妖怪兎が月の兎である事を知っている人間なんていない筈なのにねぇ」
“应该没有人类知道两个月前那只妖怪兔是月兔的事情才对啊”
「恐らく、それは予想外の事故だと思うよ」
“恐怕,我想那是预想之外的事故吧”
「事故?」
“事故?”
「本当の黒幕が想定していなかった出来事って事」
“就是说那是真正的黑幕没有想到的事情的意思”
「……黒幕なんているのかしら? それに黒幕が何を想定しているのか私にはさっぱりだわ。でも事故じゃなくてそれも黒幕が仕掛けた出来事だったら?」
“……真的有黑幕存在吗?而且黑幕到底预想了些什么事情我一点也猜不透啊。但假如那不是事故也是黑幕一手策划好的事情的话?”
「その可能性があったら……お手上げかもね」
“如果真有那种可能的话……我们就只好投降喽”
  永琳は「もう月の都にいる彼女達との連絡手段が無いんだから」と両手を上に向け、肩の所まで持ち上げた。
  永琳一边表示“因为我们已经没有再和身在月之都的她们进行联络的手段了”一边举起双手,抬到了肩膀的高度。
  問題は月の戦争だけではない。吸血鬼が月ロケットを組み立てようとしているらしい。神社や香霖堂など、あちこちを巻き込んで大がかりな装置が完成しようとしていると噂である。
  问题不仅仅在于月球的战争。吸血鬼似乎也在准备组装登月火箭。传闻连神社和香霖堂都被卷迸去了,打算制造一个规模宏大的装置。
「もしかしてあの吸血鬼が黒幕なのかしら。月ロケットを開発していてもう完成間近だって噂だし、月の都に攻め入る可能性があるのは吸血鬼一味位だし」
“搞不好那个吸血鬼就是黑幕吧。有传闻说火箭的开发已经接近完成阶段了,而且有可能攻入月之都的也就那帮吸血鬼了吧”
「その可能性も高いけど、だとしたら私がスケープゴートになったのも、月の旗が抜かれたのも、月の兎が降りてきたのも偶然ね」
“那个可能性虽然很高,但假使如此的话,那么把我拉出来当替罪羊,月面的旗帜被拔掉2,有月兔降落这些都只是偶然了呢”
「どうしてかしら?」答えは想像つくけど一応聞いてみたが「あんな子供にそこまでの知恵は無いわ」と予想通りの答えで少し残念だった。
“为什么呢?”虽然答案大概也能想到但我还是问了一句,结果“那个小鬼可没这么聪明”永琳的回答和我想的一样稍微感到有些遗憾。
  ——ドンドンと激しかった太鼓の音は、ガヤガヤとした兎達の声に取って代わった。今月の例月祭も無事に終わったようだ。
  ——如太鼓般激烈的咚咚声逐渐被兔子们唧唧喳喳的嘈杂声所代替。这个月的例月祭看来也平安结束了。
  私と永琳はその様子を見に外に出ると、既に団子が大皿に盛りつけされていた。見事に団子が七色になっていたが、どぎつい赤や色鮮やかな青、サイケデリックな色彩でとても食欲をそそるような代物では無かった。
  我和永琳外出查看情况的时候,团子已经被盛到了大碗当中。虽然团子被完美地做成了七色,但刺眼的红色和鲜艳的青色,构成了一幅让人眩晕的色彩,使人完全提不起食欲。
「あ、輝夜様、お師匠様。今片付けますので少々お待ちください」
“啊,辉夜大人,师傅大人。现在我们正在收拾请再稍微等一等”
  鈴仙はてゐに臼を片付けるように命令した。私は空を見上げて中秋の名月と呼ばれる月を探してみたが、空には満月の姿は見あたらなかった。
  铃仙命令天为去收拾好臼。我抬起头在天空中寻找那一轮中秋的明月,可是天上到处都看不见满月的样子。
「雨は上がったけど……また月は雲に隠れちゃったのね」
“雨虽然停了……但月亮似乎又藏到云层里去了呢”
「ええそうなんですよ。月が見えていたのはほんの一瞬だけでした。折角お月見が出来ると思っていたのですが……どうなされました?」
“是啊一点没错。月亮露脸就是那么一瞬间而已。我还想着终于可以赏月了呢……有什么问题吗?”
「いや、月の都から逃げてきた月の兎の癖に『折角お月見が出来ると思って』だなんて可笑しくて」私は軽く笑ってしまった。
“没事,只不过你这个从月之都逃过来的月兔却说什么‘终于可以赏月了’感觉有点好笑”我轻轻地笑了出来。
  鈴仙は少々照れるように「そりゃこれだけ地上にいれば、そこら辺の地上の民と変わらなくなりますよ」と言った。
  铃仙稍稍有些不好意思地辩解道“那我都在地上呆了这么久了,自然也就和那些地上人没啥两样了喽”
  地上の兎達は大人しく臼を全て片付けている。いつもなら片付けも中途半端にして何処かへ消えてしまうのに、と鈴仙が不思議がっていた。
  地上的兔子们老老实实地将臼全都收拾好了。但往常都是收拾到一半大家就全都跑没影了来着,铃仙对此感到非常不解。
  それもその筈、今日の団子にはいつもの薬を混ぜていないからだ。いつもなら兎達が摘み食いする事を想定して、興奮する薬を混ぜて祭りを盛り上げるのだが、今日は私達も団子を食べるつもりだったので薬は滋養強壮の薬に変えておいたのだ。興奮の少ない兎達はいつもより従順である。
  那也是当然的。因为今天在团子中没有掺入一直有放的那种药。平常都是考虑到兔子们会偷吃团子所以在其中掺入兴奋的药来让祭典更加热闹,但今天因为我们也打算要吃团子,所以就把药换成了滋养强壮的药剂。不那么兴奋的兔子自然比往常要顺从许多。
  それでも兎達は祭りを盛り上げていた様である。薬なんて関係無しに盛り上がれるのならば、それに越した事はない。
  即使如此兔子们似乎也将祭典办得非常热闹。如果能够不管是否掺药都办得热热闹闹的话,那当然是再好不过。
「それで、鈴仙。七色の団子って言ったけど……本当に鮮やかな七色の団子を作ったのね」
“说起来,铃仙。我当时是说要做成七色的团子来着……你们真的给做成了鲜艳的七色团子呢”
  私は「三色団子は桃色と白とヨモギ色で食欲をそそるのに」と皮肉を込めて言った。
  我带着讽刺的口吻说道“三色团子的桃红,白色和艾篙色明明让人很有食欲的呢”
「説明しましょうか? 紅、橙、黄、緑、青、藍、紫の虹色団子になっています。それぞれの色は頑張って材料を探したのですが……割と色しか考えていなかったので、内容を聞くと食欲をそそりませんけど聞きます?」
“要我解释一下吗?这是分别带有红、橙、黄、绿、青、蓝、紫的彩虹团子。每种颜色都很努力的去找了相应的材料来做……但由于在色彩上考虑过多,所以听到内容的话,你们大概会没有食欲了,要听吗?”
「いや、聞かない」聞く前から余り食欲はないし、これ以上食欲を削がれたら今夜はうなされそうだ。
“算了,不听了”本来听之前就已经没什么食欲了,若再减少食欲的话,今晚说不定会做噩梦呢。
  永琳は青色の団子を掴み口に放り込み、「これは意外といけるわね」と言っていた。なるほど、永琳の知識は何にでも挑戦する所にあるのか、と感心した。
  永琳拿起一个青色的团子放进嘴里,“这味道意外的好呢”之后如此说道。原来如此,永琳的知识是在于敢于挑战任何事物吗,真让人佩服。
「ところで話が変わりますが、先々月から何か地上に不穏な空気が流れているのを感じていませんか?」
“说起来换个话题啊,从上上个月开始有没有感觉到地上的气氛有些不大对劲啊?”
  私と永琳は顔を見合わせ「兎が心配するような事じゃない」と声を合わせて言った。
  我和永琳互相对望了一眼“这不是兔子需要担心的事情”之后异口同声地回答道。
  鈴仙は少し不安そうな顔をした。
  铃仙一脸不安的表情。
「いや、大した事じゃないのかも知れないですが、この間吸血鬼のメイドが家に訪れて、月に行く為の資料は無いかしらって言ってきた事もありましたし」
“不是啦,也许确实不是什么大不了的事情,但前一阵子吸血鬼家的女仆来过这里,问我们有没有去月球的资料之类的东西来着”
「あら、うちにも来ていたのね」
“哎呀,原来也到我们家来过啊”
「うちにもって?」
“也到我们家来过是什么意思?”
「さっきまで、永琳と二人でその話をしていたのよ。吸血鬼が月に行く為のロケットを作っているって。その為の資料をあちこちで探しているみたいなの」
“刚刚我还和永琳两个人谈这个事情来着哦。听说吸血鬼在制造去往月球的火箭呢。为此似乎在到处搜集资料来着”
「そうなんですか。でもその時はすぐに追い返したんですけど……」
“是吗。但当时我马上就把她赶走了……”
「何故すぐに追い返したのかしら?」
“为什么马上就把人家赶走啊?”
「え? だって、地上の妖怪が月に行こうとする事に協力する訳が無いじゃないですか。そんな事で輝夜様やお師匠様の手を煩わせたくないと」
“咦?地上的妖怪要到月球去这种事情,我们不可能去帮忙的吧。我也不想为了这种事情劳烦辉夜大人或者师傅大人出面”
「鈴仙が追い返していなければ、お茶位は出せたわ。資料は出せないけど」
“铃仙你要不把人家赶走的话,我至少还打算给她泡杯茶呢。虽然资料肯定不会给她”
  雨上がりの所為か、冷たい風が吹き込んできた今月も無事に満月の夜を過ぎる3事が出来たようだ。本当のところ、もう満月の日に月の都からお迎えが来るなんて事は考えてもいなかった。もうそんな事は有り得ないと思うようになっていた。
  因为雨停了的缘故吗,外面吹起了寒冷的凉风。看来这个月也平安度过了满月之夜。实际上,我们早就已经不再考虑满月之夜从月之都会有使者前来这种事情了。因为我们都觉得这已经是不可能发生的事情了。
  何故だろう、この屋敷に永遠の魔法をかけていた千年以上もの間はずっと怯えていたと言うのに、三年ほど前に魔法を解いてからすぐに心境の変化が現われた。
  为什么呢,在给房屋施加了永远的魔法的那段千年之久的时光中一直惧怕的事情,仅仅在解除魔法后的这三年时间里心境马上就发生了变化。
  これが地上に蔓延る穢れの影響だとするならば、地上の民というものは如何に変化が早く気楽なものか。いつまでも同じ不安に悩まされる事も無く、嫌な事は次から次へと忘れてしまう。私がそう変化したという事は、やはり永琳も同じなのだろうか?
  如果说这也是受到地上污秽的影响的话,那地上人是多么能够轻松应对变化的生物啊。不会总为同一件事烦恼,不愉快的事情很快就会一件接一件地忘却掉。假使我产生了如此的变化的话,那么永琳她果然也受到了同样的影响吗?
  永琳は私なんかよりずっと長く生きている。月の都にいた時間も長ければ、月の都では賢者として重要な立場にいた。地上に降りてきても人間離れした考え方を持っていた。
  永琳她活的时间比我要久很多。在月之都呆的时间久了的话,就会站到月之都贤者这个重要的位置上。即使降落到地上脑子里也都是一些与众不同的想法。
  だからなのか、私が永遠の魔法を止めたとしても、きっと変わりないのだろうと考えていた。何となく、地上の穢れとは無縁なのではないかと考えていた。当然、そんな筈もなく、少しずつだが永琳の行動にも変化は見られる。
  也许正是如此吧,我总觉得就算我解除了永远的魔法,她也一定不会有任何变化。有种直觉,总觉得她应该是个和地上的污秽无缘的人。当然,那是不可能的,虽然缓慢但永琳的行动当中也逐渐产生了变化。
  永琳は地上で医者を開業した。今や、里の医者では治せない病気を患ったら永遠亭に行けと言われる程の名医である。昔の永琳では考えられない出来事だった。地上の民は手足でしかないと考えていた人物が、今では地上の民を助ける手足でもあるのだから。
  永琳在地上开起了医院。现在,她名医的名气已经大到如果受到村庄里的医生治不好的病痛困扰的话,就会有人让你去永远亭瞧瞧的程度。这是过去那个永琳绝对不可能去做的事情。这个以前只把地上人当作工具的人,现在开始帮助地上人。
  病院を始めた理由は、永琳曰く「これからは地上の民として暮らすのですから、地上の民の勤めを怠ってはいけません。お互い他人の為に働く事が地上の民の勤めなのです」という事らしい。つまり、働かざる者食うべからずという事だろう。
  关于开医院的缘由,永琳曰“今后我们就要作为地上人生活了,那么就不能怠慢了身为地上人的职责。互相为了他人而工作这就是地上人的职责”似乎就是这么一回事。就是说,不劳动者不得食4的意思吧。
  私には何となく理解できる。私を匿った老夫婦も、なまじ月の都から財宝を頂いたが為に、平穏な暮らしを奪われてしまったのだ。地上の民は自分の働き以上の見返りは期待してはいけない。必ず不幸になるからである。
  我大概也能够理解。曾经藏匿我的那对老夫妇,也因为轻率地接受了月之都送去的财宝而丢掉了安稳的生活。地上人不能过度期待超过自己劳动所得的回报。因为那肯定会招致不幸。
  ただ、理解できるのだがまだ実践できていない。私に限らず、幻想郷にはその地上の民の勤めを果たしていない者が多い気がする。そんな悩みを永琳に打ち明けると「輝夜は自分のやりたい事だけすればいいのよ。もしやりたい事がなければ、やりたい事を探す事を仕事にしなさい」とはぐらかされる。
  只是,虽然心里能够理解但是还没有能够付诸实现。不只是我,总感觉在幻想乡里有很多人都没有去实行地上人的职责。我把自己的烦恼告诉永琳的时候,她只是说“辉夜你只要去做自己想做的事情就好了啊。假如没有什么想做的事情的话,就请把寻找自己想做的事情当成工作吧”就把话题岔开了。
  今はまだ、地上の民として自分がやるべき仕事は見つかっていないが、優曇華の花が咲く頃には何かを始めている筈である。むしろ、何かやりたい事を見つけた時に花が咲くのかも知れないと思った。
  目前的我,依然还没有找到身为一个地上人自己想做的工作,但当优昙花开放的时候应该会开始做些什么吧。有时候我甚至想,是不是当我找到了什么想做的事情的时候那花儿就会开放了呢。
「鈴仙。吸血鬼の使いが来たのなら、私の所まで通してくれれば良かったのに」
“铃仙啊。既然吸血鬼的使者来了,明明让她到我这里就好了”
  永琳が少しきつめの口調で鈴仙に忠告したので、鈴仙は慌てた様子でこう言った。
  因为永琳突然换了稍微严厉一点的口吻对铃仙进行忠告,铃仙慌忙回答道。
「お師匠様。すみません、もしかしてそのメイドから何か情報を得ようとかそういうおつもりでしたか? でしたら、もう一度呼んでくる事も考えますが……」
“师傅大人。非常抱歉,难道说您是想从女仆那里问出点什么情报来吗?如果这样的话,我可以考虑再叫她们来一次……”
  永琳は「通してくれれば、丁重にお断り出来たわ」と言って笑った。鈴仙も安心した様子で「じゃあ今度からはお師匠様に追い返して貰いますよ」と言った。
  永琳一脸微笑地说道“让她来我这里的话,就可以正式地拒绝她们了啊”。铃仙听后也一脸放心的表情说道“那么今后就请师傅大人来赶走她们了哦”。
「ま、もう私達には月に行く手段が無いしね」
“不过嘛,我们现在也已经没有去月球的手段了呢”
「そうですね……。私達だって月に行く手段がないというのに、吸血鬼がどうやって行くって言うのでしょう」鈴仙は名月がある筈の方向を向いてつぶやいた。
“确实呢……。就连我们都已经没有办法去月球了,吸血鬼到底打算采取什么办法去呢”铃仙面对着明月应该在的方向低语道。
  永琳は、鈴仙の表情が僅かに変化したのを見て安心させるようにこう答えた。
  永琳她,看到铃仙脸上表情细微的变化后,似乎是为了安慰她如此回答到。
「だから、鈴仙も地上に不穏な空気が流れていても全く心配する必要はないわ」
“所以说,就算地上有不对劲的气氛铃仙你也没必要担心啦”
  鈴仙は何かを吹っ切った様にお師匠様の方を向いて、再確認の為に質問をした。
  铃仙似乎想通了什么一般面对着师傅大人的方向,为了再次确认而问道。
「つまりそれは、地上の誰も月の都に行く事は出来ないから安心して良いって事ですか?」
“您的意思是,地上任何人都无法进入月之都所以可以放心是这样吗?”
  それを聞いて永琳は何故か大笑いをして、次のように返答した。
  听到这话永琳不知为何大笑起来,然后如此回答。
「あはは、違う違う。私達はもう月の民ではなくて、ただの地上にへばり付く人間と妖怪なんだから、月の都の心配しても仕様が無いって事よ」
“啊哈哈,不是,不是。我的意思是我们现在已经不再是月之民,只不过是一介站在大地上生存的人类与妖怪罢了,就算担心月之都不也无济于事嘛”
  それを聞いて私も大笑いした。それと同時に、今起きている不思議な出来事は永琳に任せておこうと思った。
  听到这话我也大笑起来。同时,我心想这次发生的不可思议的事件就全交给永琳去解决吧。
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注解

  1. 连载时此处为“反逆軍”,而单行本中为“反逆群”。
  2. 东方三月精E第三话
  3. 这里的语法有误,实际上应为“過ごす”。
  4. 语出《新约圣经·帖撒罗尼迦后书》第3章第10节。以后被用于社会主义。