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东方香霖堂/第11.5话/中日对照

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神々の道具
神明的道具
「この道具は……外の人間はいったい何を考えて作ったのだろうか」
“这个道具是……外面的人类究竟是怎么想的要作它呢”
  僕は少し寒気を覚えながら、その道具を店の奥の棚に仕舞った。
  我不由地感到一阵寒意,随后把道具收到了店里头的货架上。
  こう見えても僕、森近霖之助はれっきとした商売人である。いろんな道具が置かれたこの店『香霖堂』は道具屋であり、道具の殆どは商品である。売る為に外の道具を集め、客の為に店の扉は開かれているのだ。
  别看我其貌不扬,森近霖之助可是正经的商人。放置有各种道具的“香霖堂”是道具屋,里面的道具几乎都是商品。为了卖而收集着道具,为了客人而开着店门。
  それなのに、あいつらは客でも無いのに店にやってきては、人を偽商売人扱いする。「どうせ売る気の無いものばかりだろう?」と言う。客では無い者には売る気が無いだけだ。
  然而,那帮不是客人家伙的却来到店里,还把人当伪商人来看。还说“反正不竟是些不打算卖的东西吗?”这种话。我只是没想卖给不是客人的人而已。
  確かに僅か……ではあるが店の奥には売る気が無い物、趣味の物といった非売品が存在する。これらの品は、店としては場所を取るだけで邪魔である。だが、ぼくにとっては商品より価値のある物ばかりなのだ。これらの価値に見合った対価を払おうとした者はまだ居ない。
  虽然确实只有一些……但在店里面还是有不打算卖的,可以说是嗜好物的非卖品。这些物品,对于店来说只是占地方的障碍物。不过,对于我来说可都是比商品价值还要高的东西。能够支付和这些物品价值相称的代价的人,还从未出现过。
  中でも最近酷く気になっている道具がある。余りの不気味さにより、誰にも相談できない様な品である。手に乗るくらいの大きさの灰色の小箱ーー材質はプラスチックと呼ばれる物だろうか? そういった、金属とも石ともつかない材質の道具である。最近はこの材質の道具は非常に多い。また、様々な形のボタンやスイッチの様な物も付いている。ただ、押しても何も起こらない。
  这其中还有一个最近令我很在意的道具。因为它实在令人毛骨悚然,以至于我没法跟他人一起商讨。可以放在手上那样大小的灰色的小箱——材质似乎是被称作塑料的东西吗?就是这样一种,由既不是金属又不是石头的材质构成的道具。最近像这种材质的道具非常多。另外,还附有各种形状的按钮或开关类的东西。只是,按下去也没有任何反应。
  それだけでは何も不気味な所は無いのだが、この道具の『用途』が奇怪なのである。そう、僕の能力は『道具の用途を見極めることができる』事だ。だからその不気味さは僕にしか分からない。それはこの小箱を非売品にするだけの不気味さである。
  只是这样的话倒没什么令人害怕的,但奇怪的是这个道具的“用途”。我的能力,即是“能看透道具的用途”。所以它的可怕也只有我才知道。这种恐怖使我将它归为非卖品。
  ーーカランカラン
  ——叮当叮当
「外は寒いぜ、香霖よぉ。まだ森のほうがましだ」
“外面好冷呀香霖。森林那边反而好一些”
「魔理沙か。店に入るなら雪は払ってからにしてくれよ」
“魔理沙啊。进来的话要先把雪拍落哦”
「あー、払ってるよ。今」
“啊——正在拍呢”
  不気味な小箱を隠すように棚に置き、入り口の方に向かった。
  我将那恐怖的小箱藏起来似的放到货架上后,走向店门口。
「今払っても遅い。もう店内に居るじゃないか」
“现在拍已经晚了。你这不是已经在店里面了么”
「客じゃ無いんだから、その位良いだろう?」
“我又不是客人,这点事没关系吧?”
「二重で良くないよ。商品が濡れたらどうするつもりだい?」
“那就更不好了,商品湿了的话怎么办?”
「どうせ売る気の無い物ばかりだろう? 店ん中非売品ばかりじゃないか。全然手放すつもりなんか無さそうだし」
“反正不都是些不打算卖的东西吗?店里不全都是非卖品么。感觉你都完全没有放手的意思”
「非売品だって濡れたら困る。というか、さっさと外で雪を払ってきなさい」
“就算是非卖品也不能弄湿呀。你倒是快到外面拍拍雪去”
  魔理沙は渋々外に出て行った。帽子の上に雪が積もっていたが、そんなに強く降っているのか……全く外に出ていなかったので雪が降っていることすら気が付かなかったのだ。
  魔理沙不情愿地走了出去。见她帽子上面也积着雪,外面下得那么大吗……因为完全没有出去所以我甚至连下了雪都没有觉察到。
  それで良いんだ。過酷な冬は、人間の知恵の産物であるストーブの近くでじっと冬があけるまで待てばいいんだ。
  但这样就好。严酷的冬天,只要在人类智慧的产物,烤炉边静候到开春就行了。
「お待たせ。外は寒いけど、陽が出てきて綺麗だぜ」
“久等了。外面虽然冷,但太阳出来了很漂亮呢”
「雪は止んだんだな?」
“这么说雪停了?”
「ん? 雪なんて最初から降ってないぜ?」
“嗯?一开始就没有下什么雪呀?”
「君の帽子に雪が積もっていたじゃないか」
“不是在你的帽子上积着吗”
「ああ、あれは森の木にやられたんだ。きっと巫山戯た(ふざけた)妖精の仕業かな? 人が木の下を通ろうとすると木を揺らせて雪を落とすんだよ。お陰で頭が重くてしょうがなかったぜ」
“哦哦,那个是被树上的砸到的。估计是爱淘气的妖精干的吧?只要有人经过树下面,就会摇树使雪掉落下来。害得我脑袋重得不行”
  何で雪を被ったその時に払わなかったのか気になったが、どうせ『首を鍛えていた』とか言うに違いないから訊かない事にした。
  虽然我在意她为什么不在砸到的时候就拍掉雪,但反正会回答“想要锻炼脖子”什么的,所以便决定不问了。
「何か最近面白い品が入荷したりしてないか?」
“最近有没有什么有趣的物品进货呀?”
「そうそうこの間……」僕は言いかけて止めた。
“对了对了最近……”我说到一半便止住了。
  この間手に入れた道具、それはさっきの不気味な箱である。何が不気味かというと、あの道具の用途である。
  最近进的货,就是刚才那个恐怖的箱子。要说恐怖在哪里,就在于那个道具的用途。
  あの道具の用途、それはあらゆる物を操作できる道具らしい、例を挙げると人間を操ったり、戦わせたり、戦争を起こしたり、場合によっては世界を滅ぼすことも出来るらしい。それではまるで神が使う道具の様である。どう見てもそんな大層な物には見えなかったが、僕の眼はそう教えてくれたのだ。
  那个道具的用途,貌似是用来操纵任何物体的,比方说操纵人,让他打仗,或引起战争,有时甚至能够用来毁灭世界。简直就像是神明的道具一样。从外表看怎样也看不出是这样一种道具,但我的眼睛便让我如此确信了。
  暫くその真偽を確かめていたのだが、使用法が解らず結局虫一匹動かすことが出来なかった。だから諦めて、非売品として店の奥の方に眠らせていたのだ。
  我花了一段时间来确认它的真伪,结果因为不懂得使用方法所以连一匹虫都没能够操纵。于是便放弃并使其作为非卖品沉眠在店内深处了。
「この間何だ?」
“最近怎么了?”
「この間……変な夢を見たんだよ。嫌な空気、耳障りな音、眩しすぎる光。見たこともない景色だったけど、何故か見覚えのある……」あの小箱の事を話すのはまだ止めておこう。
“最近……做了奇怪的梦。讨厌的空气,刺耳的声音,过于耀眼的光芒和从未见过的景色,但不知为何感觉似曾相识……”那个小箱的事现在还是别讲为好。
「全然関係のない話だな。夢の話はどうでも良いぜ」
“根本就是无关的嘛。梦的事无论怎样都好”
  ーーカランカラン
  ——叮当叮当
「ああもう。この店は。危ないわね。霖之助さん」
“哎呀这个店真是的。很危险呀。霖之助”
「危ないって何がだい? 霊夢。これ程慎ましい店も無いじゃないか」
“危险是指什么呀?灵梦。没有比这家店更低调的了”
  結局、昨日は魔理沙は暇つぶしに来ただけだった様だが、余りの暇に耐えられなかったのか、またどっかに行ってしまったのだ。まるで雪の上を駆け回る犬の様である。
  结果,昨天魔理沙好像只是消闲来了,也许是受不了太消闲,后来又不知哪里去了。就好比在雪面上来回奔跑的狗一样。
  今日の来客ーーいや客ではないが、霊夢である。いつも客ではない者しか来ないのは、この店が慎ましすぎる所為なのかもしれない。
  今日的访客——不对不是客人,是灵梦。总是非客人的人到访,可能是因为这家店太过低调了。
「慎ましいんじゃなくって、売る気の無い物ばっかり置いてある店でしょう? それはともかく、霖之助さん全然外に出てないじゃない。それで暖房ばっかり付けてるもんだから、屋根の雪が溶けて大きなつららでいっぱいよ? あんなのが落ちてきたらものすごく痛いわ」
“不是低调的,只是竟堆着不打算卖的东西的店吧?先不管这个,霖之助根本就不出门吧。又总是开着供暖设施,屋檐的雪融化后形成了许多冰柱唉?那种东西掉下来的话会很疼呀”
「良いじゃないか。巫山戯た妖精が店に来るおかしな人間を追っ払ってくれるかもしれないし」
“那不是挺好么。爱淘气的妖精也许会帮忙赶走奇怪的人类”
「妖精がつららを落とすって言うの? 森の妖精じゃあるまいし」
“你是说妖精会敲落冰柱吗?又不是森林的妖精”
「まぁいい、帰りにでも落としていってくれ。そのぐらいのツケはある筈だ」
“无所谓了,等你回去的时候掉落也行。你赊的账应该够这点事了”
「良いけどね。でも今日はそんなんじゃなくて、言付けを頼まれてきたのよ。」
“那我也无所谓。但今天来是为了别的,我给你带口信来了”
「言付け?」
“口信?”
「『暫くしたら例の物、取りに行くから』って。例の物って何よ?」
“‘过一阵我会来取那个物品的’这样。那个物品是什么呀?”
「……例の物って何だ? そもそも誰の言付けだい?」
“……那个物品是什么呢?再说究竟是谁的口信啊?”
「勿論、紫の言付けよ」
“当然,是紫的咯”
  僕は紫が言っている姿を想像して露骨に嫌な顔をした。お世話になっておいてこう言うのも何だが、あの妖怪少女の笑顔は物凄く不吉である。
  我想象了一下紫说话的样子后露骨地做出了厌烦的表情。受照顾却说这种话是不太好,但那位妖怪少女样的笑容实在是很不吉利。
「まだ冬眠していなかったのか」
“她还没有冬眠呀”
「冬眠しているから言付けなのよ」
“正因为冬眠了所以才有口信嘛”
  そうか、あの妖怪少女ならきっとあの小箱の事も何か分かるだろう。だが……一番渡したくない相手でもある。今まで勝手に持っていかれた道具も戻ってきていないし、それになにやら嫌な悪寒がする。
  对呀,那位妖怪少女的话一定会知道些那个小箱的事。不过……也是我最不想交给的对象。至今她随便拿走的道具也没有还回来,而且我不由地感到一些寒意。
「例の物ってまさかねえ」
“没可能是那个东西吧”
「とにかく、言付けといたからね。今日はちょっと買出しに行かないといけないから」
“总之,口信可是捎给你了。今天我要去稍微买点东西”
  霊夢はそう言うと急ぎ足で出て行った。店に来ておいて「買い出しがあるから」と出て行くのはどうかと思う。うちでは買う物が無いと言っている様に見える。いや、言っているのだろう。
  灵梦说罢就急忙走出去了。来到店里却说「要去买点东西」而走出去,总觉得有点问题。就好像在说在这里没有要买的东西似的。不,就是这个意思吧。
  僕は、あの灰色の小箱をまた取り出した。紫が言っていたという例の物とは、やはりこの箱のことだろうか。この箱は偶然拾ったものだが、紫の物なのだろうか?
  我又把那个灰色的小箱取了出来。紫所说的那个东西,果然还是指这个吗。这个箱子是我偶然捡到的,难道是紫的东西吗?
  幻想郷に落ちている外の道具は、結界の事故で落ちた道具、使う人が居なくなり幻想となった道具、それか所有者が突然と消えた道具等である。もしこの道具が神の道具だとすれば、外の世界には神が居なくなったという可能性が高い。
  掉落在幻想乡的道具,要么是因结界的事故而掉下来的,要么是没有使用者而变成幻想了的道具,要么是所有者突然消失了的道具等等。如果这个道具是神明的道具的话,外面的世界已经不存在神明了的可能性就很大。
  この道具が本当にあらゆる物を操作できる道具だとすれば、今の危うい位置にある幻想郷なんてひとたまりも無いだろう。特にあの妖怪少女に渡してしまうと、何が起こるのか全く想像できない。
  如果这个道具真的是可以操纵任何物体的道具的话,现在处于危险状态的幻想乡根本就不堪一击。尤其是交给那个妖怪少女的话,会发生什么根本就无法想象。
  そんな不思議な道具があるなんて、普通の人間だったら誰も本気にしないだろう。だが、僕には信じさせられるだけの根拠がある。
  竟然会有这种不可思议的道具,普通的人类估计谁也不会当真。但是,却有足够的根据使我相信。
  今まで拾ってきた外の世界の道具は、幻想郷では信じられないような物も作り出されているのだ。本気で世界を滅ぼせるような道具もあるのかもしれない。僕は今の幻想郷に、外の大きな力を持ち込んで混乱させる事は、出来る限りしたくない。灰色の小箱は今はまだ全く動く気配が無いが、いつその神に等しい能力を発するのか分からないのだ。その能力が発動すれば、人を操り、争わせ、戦を起こし、世界を滅ぼしてしまうだろう。
  至今捡到的外面世界的道具,有些是在幻想乡根本就无法想象的东西。也许真的有想要毁灭世界的道具呢。我想尽量避免因外面的强大力量被带进幻想乡而造成混乱。灰色的小箱虽然现在完全没有要动作的迹象,但不知什么时候就会发挥出那等同于神明的力量。那个能力一旦发动,操纵人类,使其争斗,引发战争,世界便会被毁灭掉吧。
  僕は、今の幻想郷が好きである。だからこの小箱は誰にも渡すわけにはいかない。
  我喜欢现在的幻想乡。所以这个小箱不能交给任何人。
  この様な危険な道具は壊してしまおう。木槌でこの道具を壊してしまおう。
  这种危险的道具还是毁掉吧。用木槌将这个道具毁掉吧。
  僕はこの灰色の小さな箱に僅かな未練を持ちながら、思いっきり木槌を振り下ろした。
  我带着对这个灰色的小箱的些许依恋,使劲挥下了木槌。
  ーー次の日、僕は久々に外に出かける準備をしていた。外に出掛けなければいけない用事が出来てしまったのだ。
  ——第二天,我久违地在准备出门。因为有不得不出去办的事。
  昨日は確かに小さな箱めがけて木槌を振り下ろしたのだ。だと言うのに……不思議な手応えだった。まるでフカフカの布団を叩いたかの様だった。驚いて木槌の先を見たが……。
  昨天我确实是对准小箱挥下了木槌。然而……打中的感觉却很奇妙。就好像敲在了柔软的被褥上一般。我惊奇地朝木槌下面看去……
  それは余り思い出したくも無い光景だった。なんと壊そうと振り下ろした木槌と小箱の間に……白い手が挟まっていたのだ! そう、手だけの生き物が木槌を受け止めていた。僕は思いっきり叩いたつもりだったが、その手は(か細い女の子の手であるが)平然としている。手は木槌を払うと人差し指を立てて、僕の目の前で左右に振った。呆然としている僕をあざ笑うかのように、その手は小さな箱を掴んで、箱とともに消えていったのである。
  我实在不想再回忆起那个光景。在为了毁坏而挥下的木槌与小箱之间……竟然夹着一只白色的手!对,仅是手的生物接住了木槌。我本已是使足了力气敲下去的,然而那只手(纤细的女性之手)却显得很泰然。那只手将木槌丢开后立起食指,在我面前左右摆了几下。好似在嘲笑目瞪口呆的我,那只手抓起小箱后,便忽然消失了。
  その時は、何が起きたのか分からず暫く呆然としたままだったのだが、冷静になって考えてみると何にも不思議なことは無い。そんなことが出来る奴は、僕の知り合いの中でも一人しかいない。そう。あの娘が持って行ったに違いないのだ。一番渡してはいけなさそうな奴に。
  当时因为不知到发生了什么而愣了好一阵,但冷静下来想想后,发现根本就没有什么可稀奇的。能够做到这种事的家伙,在我认识的人里面只有一位。没错,一定是她拿走的。就是那最不应当交给的对象。
  僕はあの娘の居場所は分からないままだったが、取りあえず油揚げを用意した。
  我虽然还不知道她住在哪里,但姑且准备了油炸豆腐。
「ーー油揚げなんか作って……、また店の前で棒立ちするつもりか?」
“——还做什么油炸豆腐……然后就只是在门前呆立不动吗?”
「魔理沙か、いつの間に店の中に?」魔理沙は僕のすぐ後ろにいた。
“魔理沙呀,你什么时候进到店里来的?”魔理沙就在我的身后。
「なんだか慌ててるみたいだったからな。黙って入ってきたぜ。深い意味は無い」
“看你好像慌慌忙忙得样子。于是没打招呼就进来了。没什么更深层次意思”
  そうだ、僕が動くより魔理沙に探してきてもらった方が何倍も効率が良い筈だ。
  对了,与其我行动不如让魔理沙去找,这样效率一定会高好几倍
「魔理沙、お願いがあるんだが……」
“魔理沙,我想拜托你一件事……”
「紫を捜してこい、って事か? 別に良いけどな」
“去把紫找来吗?无所谓哦”
「!? 何で僕が紫を探してるって解ったんだい?」
“!?你怎么知道我正在找紫呢?”
「油揚げだ」
“因为油炸豆腐”
  魔理沙は快く引き受けて、来た早々だが外に出て行った。これで……この寒い中、僕は店の外に出なくてすむ。
  魔理沙爽快地答应了下来,虽然刚进来但又跑了出去。这样一来……在这寒冷的日子,我就不用出门了。
  落ち着いて考えてみた、あの小箱は何だったのだろう? 僕の能力は恐ろしい用途を見せていたが、あれだけの小さな道具にそこまでの力はないように思える。ただ、壊そうとしたら紫が持って行ったと言う事は、ただのガラクタでは無さそうだが……。
  平静下来后我想了一下,那个小箱究竟是什么呢?我的能力让我看到了它恐怖的用途,但又感觉那么小的道具不会具有那么夸张的力量。只是,刚想要破坏就被紫拿走了,想必不应该是什么破烂东西……
  黒色の安っぽいボタン、背面や側面には用途不明の小さな穴も開いていた。何より特徴的な事は、幾つかのボタンのすぐ上に、開閉不能な小さな窓が付いていたことだ。あの窓をずっと見ていると吸い込まれそうなほど、無機質で不気味だった。
  黑色的看起来很不值钱的按钮,背面和侧面还开着用途不明的洞。最有特点的是,在几个按钮的上方,有一扇不能开闭的小窗。看着那窗户就感觉要被吸进去似的,那种令人害怕的无机性。
  だが、重さはさほど無く中身も大して詰まっていなかった様に思える。僕は危険と言うより、不気味さと、ほんの少しの寂しさを感じ取っていた。霊夢の様にもっと感受性の強い人間なら、何か感じ取れたのかもしれない。これを使用していた者が込めた、想いの様な物も見えたのかも知れない。
  然而,感觉没什么重量并且里面也没塞什么东西。说它危险,不如说不毛或是有点寂寞。如果像灵梦那样感受性很强的人,说不定会觉察到什么。或许会看到使用它的人所注入的思念那种东西。
  ……何故手元に無くなってからの方が、あの道具の細部を明確に思い出せるのだろう。僕の眼は、能力の見せる幻像に曇らされているのだろうか。今度からは能力に頼らないで物を見る訓練もしなければいけないな……
  ……为什么不在手头了,反而能明确地回忆起那个道具细微的地方呢。我的眼睛,被其能力所表现的幻想所蒙蔽了么。或许下次得练练不依赖能力去看清事物才行呐……
  ……カランカラン
  ……叮当叮当
  扉を開ける音で気が付いた。僕は考え事をしつつ、少々寝ていたようだ。
  进门的声音使我觉察。我好像边思考边打了点瞌睡的样子。
「何だよ。私に人探しを頼んでおいて、自分は好い旅夢気分か?」
“什么嘛。拜托我去找人,自己却游走在梦中吗?”
「ああ、魔理沙か……。もう帰ってきたのかい?」
“哦哦,魔理沙…… 这么快就回来了呀?”
「神社にいたよ。紫の奴。神社で暢気にお茶を飲んでいたよ。冬眠忘れてな」
“紫那家伙在神社呢。在那儿悠闲地喝着茶呢。连冬眠都忘记了”
「……それで、紫はどうしたんだい?」
“……然后,紫有什么反应吗?”
「言付けを頼まれたぜ」
“让我给你带了个口信”
「また言付けか……。それで何だって?」
“又是口信么…… 内容是什么呢?”
「ああ、『確かに今月分は頂きましたわ』だって」
“哦哦,‘本月份的已经收下了’这样”
  なんと、あれは代金代わりだったのか。それにしても今月分だって? 毎月取り立てに来るつもりなのか? 僕は面倒な妖怪と取引してしまったものである。
  什么,竟然用那东西代替了金钱么。话说回来本月份是啥?难道每月都来收租钱吗?我还真是跟麻烦的妖怪做了交易呀。
「それから次の様に言っていたぜ『この間、外の世界では携帯出来る物が流行っているって言ったでしょう? だからこういう道具もいっぱい落ちているの。これは携帯ゲーム機と言って、いつでもどこでも仮想の敵相手に、戦ったり滅ぼしたり出来るのよ……。ってあらやだ、この灰色のはかなり古い機種ね。色もモノクロだし……もうこんな古いの、外の世界でも持っている人なんて余りいないわよ。今はねぇ、この小窓が二つ付いているのが流行っているのよ』だってさ。一体何の話だ?」
“还说了些什么‘前一阵,不是跟你说外面世界流行携带用的东西吗?所以这类道具便掉进来很多。这个叫做携带游戏机,能够在任何时间任何地点跟假想的敌人战斗呀毁灭什么的…… 哎等等,这台灰色的可是很旧的机种呢。颜色又是黑白的……这种旧东西,外面世界也没多少人拥有呢。现在呀,流行附有两个这种小窗的东西哦’。到底在说些什么呀?”
「なるほどね。良い言付けだ」
“原来如此,这口信不错”
  外の世界では、今どのような『携帯ゲーム機』が流行っているのだろう。紫の言う二つ窓が付いた小箱も、流行が終われば幻想郷に落ちてくるのかもしれない。
  外面的世界,现在在流行什么样的“携带游戏机”呢。紫所说的带有两个小窗的小箱,在流行结束后说不定也会掉进来吧。
  静かに屋根のつららが落ちた。おかしな者が近づいてきたので、巫山戯た妖精が悪戯しているのだろう。
  屋檐的冰柱静静地掉落下来。也许是因为有奇怪的人靠近了,淘气的妖精们正在恶作剧吧。

后记

  お早う御座います。これを朝読む人は少なそうですが、ZUNです。
  大家早上好。想必没有多少人会在早晨读此文,我是ZUN。
  実は前回も誘われていたのですが、前回は東方永夜抄のマスター前に締め切りがあったため渋々断ったんですよ。そんなでしたが、もう一度チャンスがあって良かったです。
  其实前回也受邀了1,但前回因为永夜抄的期限所以勉强推辞了。因此,能够再有这样的一次机会真是太好了。
  何のチャンスかって? それはもう、東方香霖堂を別の所でも発表する事に決まってるじゃないですか。そうすれば単行本になったときに、ただの寄せ集めじゃ無くなりますし(笑) ステレオタイプの発表の仕方じゃあ、ちょっとねぇ(殆ど嘘ですので信じないよう)
  您问什么机会?当然是可以将香霖堂发表在其它地方这件事了。这样在出单行本的时候就不是单纯的拼集了(笑)如果只是常规的发表方法的话,有点那个呢(几乎都是谎话请不要相信)。
  ステレオタイプと言えば、ゲームボーイってステレオだったんですよね。スピーカーは一つしかないのに。その辺が素敵ですよね。スカートの裏をフリフリにする様なもんです。素敵。
  说到常规2,Gameboy可是立体声的呢。明明只有一个扬声器。这种地方很棒呢。嗯就跟甩裙子的内侧一样。好美丽。
  もう、初代ゲームボーイを動かしている人なんて殆ど居ないんだろうなぁ。ああ罪なるは互換性かな。
  我想现在应该没有多少人会碰初代Gameboy了。啊啊兼容性真是罪过啊。
  DSが出ればアドバンスも起動しなくなるのかな?
  DS3出了的话也就不碰Advance4了吗?
  そうそう、小説の内容にふれますね。今回のお話は、現在連載中の東方香霖堂 ~ Curiosities of Lotus Asia. の一話です。
  对了对了,关于小说的内容。这次的故事,是目前连载中的东方香霖堂~Curiosities of Lotus Asia.中的一话。
  一部、そちらの方を読んでいないと解らない内容も含まれていますのでちょっとキャラと設定の紹介を。
  我想有些读者如果不了解的话有些内容也许会看不懂,所以稍微作下人物和设定的介绍。
森近霖之助 …… その辺に落ちていた物を拾って売る眼鏡兄ちゃん
森近霖之助 …… 把落在那附近的东西捡起来卖的眼镜兄
香霖堂 …… その辺に落ちていた物を並べてある店風な建物
香霖堂 …… 把落在那附近的东西摆起来的店类建筑
博麗霊夢 …… 何も考えていない巫女さん
博丽灵梦 …… 啥也不想的巫女
霧雨魔理沙 …… 香霖堂を喰い物にする自由人
雾雨魔理沙 …… 把香霖堂当食物的自由人
  ちなみに、今回の話は第7話「紫色を超える光」の次に当たります。そちらの方も是非。
  顺便,这次的故事是接着第七话5超越紫色的光芒」。那个也请务必。
上海アリス幻樂団 ZUN
ちなみに、決して任天堂に喧嘩を売っているわけではありませんよ。
上海爱丽丝幻乐团 ZUN
顺便,绝没有想找任天堂茬的意思。

注解

  1. 应该是指小说合同《灵偲志异1》。
  2. “ステレオタイプ”即“stereotype”。由此联想到“stereo”,即立体声。
  3. 指任天堂DS。
  4. 指Game Boy Advance,也就是GBA。GBA是DS的前代机种,DS可以向下兼容GBA。
  5. 按照旧连载5话来算,新2话是总第七话