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東方海恵堂 ~ Marine Benefit./海恵堂異聞:Migration to the conceptual sea./遷宮抄/之三

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< 之二   迁宫抄 

♪:綿津見の巫女さん
「…と、言うわけで乙姫様が現世への視察に向かわれました」
「そうですか、乙姫様にはご迷惑をおかけしますね」
 乙姫の発案を海琴に伝えにきた恵。海琴は言付けを受けると申し訳なさそうにそう返した。
「とりあえず、場所のことは乙姫様にお任せして我々は分社の建築の準備をしましょう」
「そうですね」
 二人が意見を合わせていざ動き出そうと言うときに、ふと思い出したように海琴が手をポンと合わせた。
「あとは………信仰の担い手である人間がそろえば万全の状態で分社が設立できますね」
「………え?」
「………诶?」
 振って沸いたように海琴が発した一言に、恵が目をこすってきょとんとした。
「あの…海琴様、その話は初耳です」
「あら、そうでしたか。やはり信仰を得ようと思うのであればその担い手…いわば巫女に当たる人間を用意した方がよろしいかと」
「人間、ですか?」
「人間、です」
「人"魚"では通りませんか?一文字くらい」
「えぇと…それは私にはなんとも」
 現世の海恵堂の所在地、その社殿ときて、新しい海恵堂に次の問題が浮上した瞬間だった。
………
………
所変わって現世の某所。ハレの木漏れ日が指す場所で、乙姫はいかにも人間の子どもといった出で立ちで一点を見つめていた。
「…やっぱり、ここになるわよね」
 踵を返して、僅かに白波立つ海と浜辺をその目に焼き付ける。それは乙姫が目指した海恵堂に適した場所、彼女の"考え事"の基礎になる場所である。
「あの、観光のお客様ですか?」
 乙姫が海を眺めていると、彼女に声をかける瑞々しい声が聞こえてきた。乙姫はその声を聞くや否や、口元を緩ませて今にも笑い出しそうな気持ちを内に湧き立たせていた。そして、そんな楽しさを押し殺すようにして、澄ました表情で振り返って声の主に返事をした。
「ん?あぁごめんごめん、風の音で聞き取れなかったんだ。君は"ここ"の人なのかな?」
「いえ、私も通りすがりの学生です。あなたは旅行ですか?」
 乙姫の反応に、もう一度質問を返す人物。乙姫は既に聞き取っていた質問に準備された答えを発する如く返事をする。
「まぁそんな所かな。この辺の地理に詳しい人がいれば色々と聞きたいと思ったんだけど」
「う~ん…この町の学生ですが、私も"他所から来た"人間ですから皆までとは…」
「ふぅ~ん………」
 苦笑して乙姫の質問に答える人物。乙姫は、声をかけてきた相手にそれ以上何を話すでもなく、向こうもそんな黄昏ている乙姫を見送って、何を言うでもなく立ち去って行った。
 そして、立ち去っていく者を横目に捕らえながら乙姫はわくわくが抑えられずにいた。
 初めから、全てが乙姫の計略どおりなのだ。
 新地を立てる事も
 この某所に決めた事も、
 そして、声をかけた人間の事も…
………
………
「みことさま、おひっこしするです?」
「みことさま、いなくなっちゃうなの?」
「」
「」
 海恵堂の玄関口で、海琴は海の末妹たちと話をしていた。末の末"みなも"を自分の膝に乗せ、左肩にはすずりが寄りかかっている。その姿は、まごう事なき"海(うみ)の母親"そのものである。
無垢門番
海 みなも/Kai Minamo
无垢门番
海 水面/Kai Minamo
未熟門番
海 すずり/Kai Suzuri
不成熟门番
海 铃莉/Kai Suzuri
 海琴の話を鵜呑みにして、心配そうな表情を浮かべる妹達。二人の妹達にとって、先ほどの話は、海琴自身の思いとは関係なしにそのように聞こえていたということだ。
「いいえ、私はいつでも海恵堂にいます。あなた達のそば"も"離れることはありませんよ」
 分社とは神の力を分けることであり、分けられた神の力はそれ自体が100%の力になる。つまり、分社を正規に行う事が出来れば、同じだけの力を持った神社がいくらでも作れる。それはつまり、海琴が海恵堂を離れずとも、現世の分社にも海琴の神徳が…そして海琴自身が存在し続けられることにもなる。海琴の言う"も"とは、そういう意味を持っているのだ。
「それはさておき、海琴様も恵も八尾比丘尼の名を冠しているのに、人間の力を必要とするとは…」
 水泡をふかしながら、深堂香澄が質問を投げかける。
「仕方がありません。八尾比丘尼を主流に置いても私は海神で恵は人魚です。香澄が蜃であるのと同じように、それぞれの種族という物がありますから」
 海琴はどういう表情をしていいものかと、当たり障りの無い笑みをこぼして答えた。
「幻想郷に無理な海が必要ないのなら、ここは立ち直って現世に目を向けてみる事で海恵堂の意味をより深められると思います。それに」
「それに?」
 言葉を止めた海琴に、恵が聞き返す。
「それに、妖怪にも海神にも、それを認識できる人間が必要です。人間無き者は存在できませんから」
 それは、海の十姉妹を生み出した理由でもあった。
 海恵堂は深い。人間がその存在を知らなくなるスパンも非常に早い。故に以前のような浦島太郎伝説になぞらえた人間の歓待を行った。その結果として海恵堂は今の形を保っているが、それがいつ崩れるかもわからない。あの時の人間"たち"がいつまで生きているのかもわからないのだから。
 海琴の言葉に、恵が手をぽんと叩いて一つの気付きを口にする。
「そうか、巫女を擁立すれば強い認知が手に入って、御母様の力も海恵堂の存在も強くなるということですね!」
「そう考えていいでしょう。尤も…肝心の人間を探さないといけないのですが」
 恵が強く納得した所で、海恵堂の面々には、この深海の龍宮城の巫女を勤められると手を上げる人間の心当たりはない。そんな空回りな空気が海琴たちを包み、ため息を呼んだ。
「「「はぁ…」」」
「おやおや、どうしたのそんなに深いため息なんてついて?」
 三人のため息が重なったとき、海の向こうから聞きなれたお客様の声が聞こえてきた。
「おとひめさまなのー」
「おとひめさまですー」
「やぁやぁみなもにすずり。二人とも背格好は同じなのに双子じゃないのが残念なくらいだねぇ」
 お迎えとばかりに近づいてきたみなもとすずりの頭をなでてやる観福宮 乙姫。その表情は柔らかく、まるで全てがうまくいっているとでも言いたげな和やかな表情だった。
「お帰りなさいませ乙姫様。現世の見物はいかがでしたか?」
 神として以前に、乙姫をもてなす筆頭として恭しく一礼をする海琴。彼女の礼に倣うように恵・香澄・みなもにすずりも乙姫に一礼する。乙姫はそんな迎えの儀礼を軽くあしらって海琴と話を続ける。
「とりあえず候補地は見つけたよ。そんなに遠くは無い場所で、幸いにも海琴と関わりのある神社もある場所だからね」
「それは素敵な場所です。ご期待させていただきますね。ところで…」
 海琴が、海恵堂の巫女についての話をしかけると、乙姫は直ぐに手を前に突き出して海琴の話を制した。
「心配しないでよ。良い場所を見つけてくる途中で良い人間も見つけてきたから。あの子ならきっと"海恵堂の管理者"になれると思うよ」
「管理者…乙姫様、もしかして海恵堂に人間が必要だということに気付いていたのですか!?」
 乙姫の話に恵が驚く。海琴も手を口元にやって驚きを隠せずにいた。
「まぁね。でもこの前の尾張たちのような派手な撃ち合いが見てみたいから人間を探してたっていうのもちょっとあるけどね」
「は、はぁ…」
「哈,哈啊…」
 乙姫の楽しそうな表情に、恵は一抹の不安を抱えた。
「…まぁ後半の言葉は置いといて、それでその人間というのはどんな…」
「あぁ、それはね………」






………






現世の海は凪いでいた。
これから始まる宴を前に、その身の内を振るわせながら
現世の風が騒いでいた。
海神と共に、その祖神が自分達の音に耳を傾けていることに
現世の少女は眺めていた。
遠回りでも自分と関係のある"海"という風景を
さて、




そろそろ腰をあげやんしょ



あんたさん達もそろそろ派手なのを見たいんでやすよね?


だったら、




今しばらく宴までお待ちやし



ーーーーー


ーーー