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東方海恵堂~Marine Benefit./海恵堂異聞:Migration to the conceptual sea./海探抄/之六

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< 之五   海探抄   之七 >

トン………


…ふう
 私は大幣を、鈴竹さんは身の丈ほどの大きな十字架を下ろして、飛んでいた鈴竹さんも海恵堂の床に降り立った。次に何を仕掛けてくるかと冷や冷やしながら待っていると、鈴竹さんが少しの笑顔を見せて
…これで私は時間切れです。お疲れ様でした、檍原つくしさん
 いつの間にか持っていた十字架も消えて、初めて出会った時のような恭しい態度でそう言った。
「…はぁ、えぇ、ありがとうございます。本当に疲れました」
 息は上がっていますが、急な勝負ではないからでしょうか、今までで一番体力に余裕があります。
 鈴竹さんの能力は恐らく衝撃。鈴竹さんが最初に繰り広げた歪みの弾幕に触れると、身体が思わぬ方向に吹き飛ばされたり、進もうとする身体が引っ張られるような押し止められるような感覚に陥ります。そして、そんな衝撃弾と共に水を圧縮したような弾幕が相次いで展開されていく。
 ただし衝撃弾の威力は人の手にせり出されるような力と大差なく、本当に水の弾幕へと不規則に飛ばされるくらいのものだったので、あやおりちゃんの氷剣やすいめいちゃんの酸素空間のような、直接的に危険なものではありませんでした。
しかし、攻撃してこないと思っていたので、あなたの攻め手は予想外でした
「天平ちゃんのおかげかと」
「し?」
 そう。私も今までは回避一辺倒でしたが、天平ちゃんとの一戦を思い返して、綿津見様にお願いをして戦う手段をお借りしました。鈴竹さんの水の弾の真似事みたいなもので、結果として攻撃にも値しない力ではありました。綿津見様曰く、敵意も殺意もないそれは、ただの水鉄砲にしかならないとか。
ですが、あの威力では暖簾に腕押し…我々流に言うのであれば"人魚に水鉄砲"でしたね。この勝負も、結局は時間切れで終了でしたから…ふふ
「むむ………」
 鈴竹さんも、緊張が解けたのか少し笑って説明してくれた。けれど鈴竹さんに図星を突かれて、言葉が出ません。危害が出なかったのはいいことなのですが、なんと言うか試合に勝って勝負に負けた感が強くてもやもやします。
しかし…勝ちは勝ち。やはり、"あの方々"が見込んだ方なだけはあります
 鈴竹さんの意味深な言葉に、ここに来た目的を思い出す。そして、最初に鈴竹さんが宣言した言葉を借りて話を続ける。
「ありがとうございます。それで鈴竹さんには一応勝てたので…」
えぇ、約束ですからね。少しだけ私からお教えしましょう。さしあたって海恵堂の中を御案内いたします。貴女はこの場所に入ることを許可された"客人"でもありますから
 そう言うと、鈴竹さんは大きな玄関の奥…次の部屋へと通じる一つの扉の隣に立ってこちらとばかりに手を掲げて中に入るように促した。
ようこそ、現世の龍宮城"海恵堂"へ
………
 私たちが中に入ると、そこは紅色の柱の眩しい、東洋装飾の絢爛な廊下が広がっていました。その両端には何らかの部屋の扉が多く立ち並んでいて、さっきの玄関の時のように、少し高い所を妖精が右往左往しています。
 そして、私と鈴竹さんだけかと思いきや、何故か私の隣で体半分私の後ろに隠れながら歩く天平ちゃんもいます。
「あの、どうして天平ちゃんは着いてきてるんでしょうか?」
天平には、城下町を壊したことを謝りに行ってもらいます。それは天平自身がよく知ってますからご心配なく
「うー………またお姉に怒られるしぃ…」
 前にもあったんですね。
さて、私たちがどうしてつくしさんを知っているか?ということですね
 廊下を歩きながら、鈴竹さんは視線だけを後ろにいる私たちにくれて会話を始めた。
「はい」
私たちが"海の姉妹"という人魚の妖怪姉妹なのは恐らく御存知かと思われます。そして私たち"海の姉妹"は、全員貴女の事を知っています。まぁ"うっかり忘れてた"姉妹もいますが…
「あ、あはは………」
 鈴竹さんは、天平ちゃんを見ながらうっかり忘れていたと言う部分を強調して言った。
それと言うのも、われわれの長女"海 京雅"が私たち姉妹に告げたんです。"檍原つくしの名を覚えておけ"と…しかし、そう命じられただけで、理由については私も天平も聞かされてはおりません
「理由を聞こうにも、京雅お姉、怖いし」
天平
「ぅ」
 不満を漏らす天平ちゃんを鈴竹さんがキッと睨む。どうやら、皆さんの長女である所の京雅さんは、厳しい人のようです。
「むー、だってそうだし~。鈴竹姉さんも京雅お姉と会う前はいつも大扉の前で深呼吸して…むぐっ!?」
こ、こらっ天平!京雅お姉がどこで見ているかわからないのにっ!
 天平ちゃんの一言にこちらを振り向いて、慌てて天平ちゃんの口を物理的に塞ぐ鈴竹さん。その様子に、さっきまでの冷静な鈴竹さんの様子は無く、なんとなく人間らしさ…いえ、妖怪らしさというべきでしょうか、そういう物が出ていて、少し安心しました。
と、とにかく檍原つくしさん。貴女が真相を知りたいのでしたらまず京雅お姉に会うことをおすすめします。尤も、その前に一人いますけど…
 そう言いながら鈴竹さんが目線を前に向ける。目の前には宝塚も渡れるような大きな階段が構えていて、鈴竹さんは何の気も無くそれを上がって行き、私と天平ちゃんもそれに倣って階段を上がる。そして、1回折り返して少しすると、私たちの背丈の倍くらいの扉が見えてきた。
こちらが海恵堂の来客用の間です。私はここまでとなりますのであとは天平と一緒に進んでください
「うぅ…」
 さっきの動揺など無かったように淡々と話す鈴竹さん。そして、私の隣にいる天平ちゃんは私の服の裾を軽くつまんで、苦い顔をしている。二人を見ながら、私はどういう気構えで入ればいいのか掴みかねています。
 鈴竹さんが三女であるのなら、次に会えるのは順当に行けば次女です。長女である京雅さんが天平ちゃんを始め皆さんに畏敬の念で見られているのなら、それに次ぐ次女と言うのは、一体どれくらいのものなのか…考えは尽きません。
 そして、鈴竹さんが大扉を開いて、人の入れる隙間を開けて中に入るように促す。私と天平ちゃんは不安を感じつつも奥へと歩を進めた。
……………
 華やかな紅と金の装飾が施された豪華な部屋が、扉の先から現れる。それはどこか東洋風で、それでいてこの国ではないような装飾…海を挟んで向こうの国の古代建築のようなそこは、龍宮城と呼ぶに相応しい部屋だった。
 客間の中央には10人はくだらない人数が一堂に会して座れる長いテーブルがあり、周りには休憩の出来るソファのようなものが、紅の柱の根元に幾つも完備されている。客人として来たのなら、時に語らい、時にくつろぐ、そんな至れり尽くせりの場所です。
「海恵堂って、やっぱり凄くきらびやかな所なんですね。今までの道すがらもそんな雰囲気は感じてましたが…」
「もちろんだし!ここは私たちの御母様の"ぶんしゃ"だし!」
 "ある胸"を張って天平ちゃんが自慢げにそう言った。しかし、そんな自慢の中で私は一つ、自分にとっては聞きなじみのある単語が引っかかった。
「分………社……?今、分社って言いましたか?じゃあ、天平ちゃんたちのお母さんって…」
 そして、言葉を飲み込んで天平ちゃんに話をしようとしたとき、客間の奥から今まで聞いたことのない陽気な声がしてきた。
「いらっしゃい、檍原つくしさん!」