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東方海恵堂~Marine Benefit./海恵堂異聞:Migration to the conceptual sea./海探抄/迷いあやかし之二

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< 迷いあやかし之一   海探抄   迷いあやかし"缠" >

 かくして、海恵堂に居るという力ある侵入者を見つけるというお仕事を頂いて、私はとりあえず一階層まで降りてきました。

「…そう言えば、綿津見様はその力ある侵入者の事は見つけられるのですか?」

 ふと思い出して、綿津見様に問うてみる。しかし、綿津見様はそれを不可と一蹴した。綿津見様曰く、この国の神には役回りがあり、それ以上の力を持ち合わせてはいないので、西洋のような全知全能な能力があるわけではないらしいです。

 しかし、強い何者かが居るような感じはあったとのことです。私の身体に触れる気配や空気を読み取って、人魚とは一線を画した何かが海恵堂にひそんでいることは薄々気づいていたようです。

「その気配の読み取りを利用して、どのあたりに居るかというのは………あぁ、自分の身体ではないから無理なのですね」

 ともかくも、綿津見様もこの件に関しては手をのばすことが出来ないようです。そうなると、引き受けたのはいいのですが、私は人間としてこの海恵堂に潜んでいる妖怪を探し当てなければなりません。綿津見様ですらおぼろげに気配を感じられる程度なのに、綿津見様の加護が拝借できない真人間の私にどうやって見つけろと………?

「うーん………」

 そうやって、引き受けた依頼をどうやって解決するか考えあぐねていると、私に気づいた誰かが向こうから声をかけてくる。


「あれ、巫女様?」


 目の隠れないくらいのショートボブ、正面から見つめると裏地に見える緑色が綺麗に映る。それは、普段通りの少し堅苦しい制服のに身を包んだ鈴竹さんだった。

笑比河清のシー・ハウンド 海 鈴竹/Kai Suzutake

「どうかなされたのですか?悩み深そうな顔をしていましたが…」

「それが、京雅さんにですね………」

 私を案じて話しかけてきてくれた鈴竹さんに事情を説明する。すると、話の途中からみるみる表情が変わっていって、一通り話し終えた鈴竹さんは、心底同情するような顔色とトーンで

「あー…それは、その~…災難でしたね」

 と、頬を掻きながら言ってくれた。

「その件は私も他の姉妹も存じています。私には室内の巡回が言い渡されていまして、こうして中を歩き回りながら、客間・議場・舞台裏など、春慶お姉と京雅お姉が使わない場所の全てを確認しています」

 基本的に、私達のいる一階層が鈴竹さんの持ち回りで、人を招き入れる部屋以外の全てが集約されているとのこと。時には城下町の番をしている天平ちゃん達にも手伝ってもらってその謎の妖怪を探してもらっているそうですが、今の今までそれを見つけられたことは無いそうです。

「働いている小人魚たちにも聞いていますが、見てない知らないでして…中にはなんのことかわからないと言う者もいる始末で………鳥頭なのは妖精だけで足りているんですけど」

 少し不満げに自分の管理する従業員について悪態をつく鈴竹さん。妖精とかそういう小さいサイズの妖怪は、小さな子どもと知能が変わらないという聞きかじりの知識は得たことがありますが、あながち間違いではないようです。

「あはは…そうなると、上の階層の部屋はそれぞれ春慶さんや京雅さんが管理しているんですか?」

「はい。尤も、京雅お姉が構えている最上階は賓客室しかありませんし、春慶お姉担当の中階層は空の客間がある程度で…特に春慶お姉の階層には妖精や人魚も居ませんし」

「他の階層に立ち寄ることはあるのですか?」

「その………勝手に入ると怒られてしまうので。あと勝手に入らなくても"遊び相手"をしなくては行けないので………はは」

 鈴竹さんの乾いた笑い声に、姉妹の大変さを垣間見てしまいました。


………


 結局、一階層には手掛かりはなく、鈴竹さんも何か判ったら私にも伝えるという程度の結果しか残りませんでした。

 あのあと、城下町に出て天平ちゃん・すいめいちゃん・あやおりちゃんのコンビにも話を聞いてみましたが、天平ちゃんは相変わらずのお子様で、すいめい・あやおりちゃんも

「 入ってくる人はー、見てないですねー」

「出てくる人も~、見てないわね~」

 と、ふんわりとした口調で手掛かりがないことを伝えてくれました。

「うーん………やはり、安請け合い過ぎたのでしょうか?」

 何も考えずに受けた事を反省しながら、今のところ徒労だけが積み重なった身体で、私は海恵堂に戻ってきて、上の階層…京雅さんや春慶さんの管理する階層に向かっていった。

 と言っても、捜索の目的で行くのではなく、大客間に合った座り心地のいいソファでゆったりと休憩をしたくなったので、サボ………身体を休めに向かおうとしているだけです。

………


「………んー、んあ?」

 大客間に入って扉を閉めると、室内から誰かのねぼすけ声が聞こえてきた。

「あれ?春慶さんいらっしゃいますか?」

 ちょっと間抜けな声が聞こえてきて、内心とても驚いています。いままで春慶さんと言えば凛として隙がなく、それなのに女性らしいと言った綺麗な人というイメージだったので。

「春慶さん?檍原つくしです。京雅さんから聞いた妖怪の話で聞きたいことが………」

 そこまで言って声のする方に向かい、声の主であるだろう人物をそっと覗き込んで話をしようと顔を覗いた。すると………


「………ん?」


 壮麗で、緩やかなウェーブの掛かった金色の長髪。

 背丈が高く、着崩れた着物から覗く豊満な身体。

 そして、顔を覗いて気づく、言い様のない気配と、整った顔。

 そこで眠っていたのは、赤髪の春慶さんとは似ても似つかない誰かだった。

「…んーなんじゃ春慶、もう身を隠す時間かえ?お主いつまでこんな悪戯を………って」

「あ、あ………」

 いきなりの邂逅に私が何を言って良いのか考えていると、服をはだけさせたその女性が眠い目をこすりながら、私を二度三度と見つめる。

「………あや?ひょっとしてわしはまずいもんと出会ってしまったかの?」

 そして、私とその女性がお互いを見合いながらどうしたものかと様子を窺っていると、この部屋の本来の担当が呑気な声でやって来た。

「けんじょさ~ん、そろそろ隠れないと色んな人が探しに………って、あれ?巫女様?」

「春慶さん………こ、これは………」

 私と女性の姿を確認した春慶さん。手には何やら和菓子とお茶が用意されている。

「あらー、時すでに遅し………って感じかしら?」

「おい春慶、どうするんじゃ?二番目に気付かれたくないやつに気付かれてしもうたぞ?」

「春慶さん、まさかとは思いますがこれ………わわっ!?」


バサッ!!


 私が春慶さんに事情を説明するよう問いかけると、春慶さんはいきなり上衣を放り上げた。

「えっ!?いきなりですかっ!?春慶さんっ!!」

「あーあ、バレちゃったんならしょうがないわね。巫女様、不敬は承知ですけど………ここからはタダでは返しませんからねっ♪」

 可愛らしいトーンでいきなりな宣言をする春慶さん。その脅しをかけるような不敵な笑みに嫌な予感を募らせていると、今度は謎の女性の方から異常なプレッシャーを感じた。

「そうじゃな………バレてしもうてはしょうがない。巫女よ?お主には今あったことを忘れてもらうぞ?」

「へっ、ちょ………!?」

 思わぬ挟み撃ちのプレッシャーに、私はわけも分からず大幣を呼び出して、その謎の女性との戦闘態勢に入った。

「ま、ちょうどいいタイミングだったし、この際だから種明かしついでに彼女………件如さんと闘ってあげてよ」

「闘ってあげてって………まさかこれって京雅さんの探していた謎のようか……ひゃぁっ!?」

 春慶さんに問いかけていると、突然強烈なつむじ風が私を…主に私のスカートを脅かす。風の起きた先を見ると、件如さんと呼ばれている女性が拳を構えて私を見つめていた。

「全く、かねがね言うがここの最初の家主はわしじゃぞ?その経緯は不本意じゃが、もうちっと最初の家主然として敬ってくれんかの?」

「さ、最初の家主………?」

 困り顔でそう言う女性。後ろでは春慶さんが怪しげな笑みを浮かべている。

 謎の多い不思議な女性、春慶さんの怪しげな言葉と表情、そして女性本人が言う「最初の家主」という言葉、またも私はそういう気になる言葉を抱えながら、その真相を探るために闘わなければならないようです。



「あーもう!こうなればヤケです。海神の巫女"檍原 つくし"………推して参ります!」



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