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东方香霖堂/第20话/中日对照

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< 第19话   东方香霖堂   第21话 >

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神の美禄
神之美禄
  妖怪の山が紅く黄色く燃える。気温は急激に下がり、紅葉によって生命に狂いを生じた木の葉は、秋の冷たい風に耐えきれず落ちていった。妖怪の山の方向に日が沈み、赤く染まった空を天狗達が舞っている。妖怪の山は、この時が一番美しい。
  妖怪之山在红色黄色地燃烧着。气温急剧下降,由红叶而导致生命狂化的叶子,忍受不住秋季的冷风而不断飘落。太阳于妖怪之山的方向下沉,天狗们在被红色染尽的天空中飞舞。妖怪之山,在此时是最为美丽的。
  十月は神無月と呼ばれ一般には神の居ない月と言われているが、神々しい美しきを持った十月がそのような呼ばれ方をするのはあり得ない話である。本当は醸成月(かみなづき)、つまりこの時期収穫した穀物でお酒を醸す月、が正しい。
  尽管十月被称为神无月,一般被认为是神明不在的月份,但拥有神圣美景的十月被如此称呼显然是不合适的。其实被称作酿成月才是正确的,也就是用此季节收获的谷物酿酒的月份。
「何か、機嫌が良さそうね」
“看起来心情不错呢”
「今年の新酒を造る準備をしてるんだ。機嫌が悪い訳がない」
“我在准备酿今年的新酒呢。心情怎能不好”
  霊夢は訝しむ様子で、お酒なんて造っていたの? と訊いてきたが僕は、ここは香霖堂だからね、とだけ返答した。
  灵梦惊愕地问到,原来竟然在酿酒吗?然而我仅仅答道,因为这里是“香”霖堂呀。
  今日は魔理沙と霊夢と僕の三人で、秋の味覚の茸でお酒を一杯呑む事になっている。霊夢と僕はその時間を待っていた。肝心な茸は、まだ店には居ない。
  今天是魔理沙和灵梦还有我,预定三个人一起边品秋天风味的蘑菇边喝酒的日子。我和灵梦正在等待那个时刻。关键的蘑菇,还没有送到店里来。
「へぇ、霖之助さんも、お酒を造っていたなんて知らなかったわ。今度呑ませてよ」
“我才知道原来霖之助也在酿酒呀。下次让我喝喝吧”
  寒くなってくるとお酒が美味しく感じられる。そのお酒も新酒で、さらに自家製だといっそう美味しく感じられるだろう。十月は新米の季節だ。だから、この新米で新酒を造る事に決めたのだ。
  天气转冷后会感觉酒水很好喝。而且又是新酒,再加上是自家酿造的话会格外觉得好喝吧。十月是新米的季节。所以才决定用新米来酿新酒了。
「まあ、呑んでもらうのはいいけど……」
“嗯,虽然让你喝喝倒没什么……”
「けど?」
“虽然?”
「大量に呑まなければね」
“只要别喝太多就好”
  霊夢や魔理沙達は勿体ないくらい味わわずに呑む。折角造った貴重なお酒も、それでは意味がない。
  灵梦和魔理沙都浪费似的没有品味地喝酒。好不容易酿的宝贵的酒,这样也便没有意义了。
「そんな大量に呑まないわよ。美味しくなければ」
“不会喝那么多啦。如果不美味的话”
「いや、美味しいさ」
“不,很美味哦”
「じゃあ呑むかもね」
“那或许会喝很多”
  実は僕がお酒を造る理由は、飲みたい為だけではない。お酒は原料の米から始まって、どこからがお酒なのか。物の名前が判る僕の能力を持ってすれば、その疑問も氷解する筈。ふとそう思ったのだ。
  其实我酿酒的原因并不只是我想要喝。酒的原料是米,那么究竟从哪里变成酒了呢。只要我运用知道物体名字的能力的话,这个疑问也应该能够冰释吧。我是忽然想到的。
  日本人がお酒を飲むようになった歴史は古く、千何百年も昔の大陸の歴史書にも「人性嗜酒」と記録されているという。その時には既に日本独自の醸造の技術を持ち合わせていたのだ。
  自日本人开始学会饮酒来历史是很漫长的,据说在千几百年前于古老的大陆的历史书上就记录有“人性嗜酒”了。也就是说在那个时代日本已经拥有独自的酿酒技术了。
  そんな日本人が生み出した米のお酒は、鼻に抜ける芳醇な香りと淀みのない味を持ち、その味も洗練されている。お酒にも様々な種類があるがその中でもかなり上品なお酒である。白米同様、癖のない味はあらゆる料理に合い、食卓には欠かせない。
  这样的日本人发明的米酒,兼有透鼻的芳醇与清爽的味道,其味道又是经过精练的。虽说酒也有很多种类,但在其中也算是很上乘的了。同白米一样,其包容力强的味道适合与所有料理搭配,在餐桌上是必不可少的。
「この店で醸造ねぇ。こんなに様々な神様が住んでいるような場所でねぇ。美味しくできるのかしら?」
“在这个店里酿造吗。在这种像是住着很多神明的地方呐。能酿出美味的酒来吗?”
  話しぶりからして、霊夢はお酒に関して造詣が探いようだ。
  从说话的口气来看,灵梦似乎酿酒的造诣很深。
  それも不思議な話ではない、お酒と神社には密接な関係がある。本来、巫女とはお酒を飲む事が仕事でもあった。お酒を飲む事で精神状態に異常を来し、それによって神の世界と交信できたのだ。証拠に、お酒の神様は「くしの神」と呼ばれる神様で、「くし」とは「奇(く)し」の事、つまりお酒を飲んで狂う事を指している。
  这也并不奇怪,酒和神社具有密切的联系。原本,巫女的工作曾经就是喝酒。通过喝酒在精神状态上带来异常,从而能够与神明的世界进行交流。证据为,酒神是被称为“奇之神”的神明,“奇”意为“奇幻”,也就是指酒后发狂之事。
  神社の儀式にお酒は欠かせない。一般の人よりもお酒を必要とする職業の為、昔はお酒の殆どを神社で醸造していた。今の博麗神社でもお酒を造っているという話は余り聞かないが、霊夢の話しぶりからすると造っていてもおかしくはない。何故なら、神社にはいつも謎の神酒が補充されているのである。
  酒在神社的仪式里是不可缺的。由于是个要比一般人更需要酒的职业,因而过去大部分的酒都是在神社酿造的。虽然我没怎么听说过博丽神社现今还在酿酒,不过从灵梦的口气来看就算还在酿也不奇怪。要说为什么的话,因为神社总是有神秘的神酒供以补充。
「で、いつからお酒を造っていたの?」
“说来,是从什么时候开始酿造的呢?”
「今年が初めてだ」
“从今年初开始”
  霊夢は怪訝な顔をした。
  灵梦做出惊愕的表情。
「げげ、そんな簡単には神様は醸してくれないわよ。最初は凄い液体が出来そうね。大量に呑まなくて済むかも」
“啥啥,神明可不会那么简单就给人酿的哦。看来这次会造出奇怪的液体来呢。估计不会喝很多的”
  そんな顔をされる事は予想していた。
  会被冲以那种表情是预料中的事。
「良いんだよ。何年も続けていくうちに良い物になっていくだろう。失敗すると判っていても、最初が無ければ成長はあり得ないんだから」
“没关系。坚持几年的话就会慢慢变好的。虽然知道会失败,但没有起步就没有成长啊”
  ーーカランカラン
  ——哐啷哐啷
「香り松茸、カキシメジ♪ すっかり秋になったんで茸を採ってきたぜ」
“香香的松蘑、柿蘑2♪正值秋季所以就采蘑菇来了哦”
「カキシメジは毒茸だ」
“柿蘑可是毒蘑菇”
「まあ細かい事は気にすんな。茸を焼いて酒でも呑もうぜ。既に霊夢も来ているし」
“不要在意细节啦。来烤蘑菇喝酒吧。而且灵梦也已经来了”
  今晩のメイン食材が店に到着した。帽子に摘んだばかりの茸を入れて、上機嫌の魔理沙はもう呑む気でいっぱいである。
  今晚的主食送到店了。用帽子装着刚采的蘑菇,好心情的魔理沙已经按耐不住地想要喝酒了。
「ああ、判ったよ。あと少ししたら準備が終わるから茸でも洗って待っていてくれ」
“噢噢,知道了。马上就准备好了所以你先洗洗蘑菇等着吧”
「準備って何の準備だ?」
“准备是指准备什么呀?”
  質問するだけして質問して、答えはどうでも良いのか茸の選別に入っている。
  问倒是先问着,好像就不管回答了似的开始挑选蘑菇了。
「霖之助さんがお酒を造り始めるんだってさ」
“霖之助说要开始酿酒了呢”
  魔理沙は、へぇそうかい、と驚いた様子も見せずに「今から醸造したって今晩の酒には間に合わないぜ」と誰もが判っている事を教えてくれた。
  可魔理沙就一点都不惊奇地说着,是那样吗,然后教会我们“现在开始酿的话也赶不上今晚的酒席呀”这样大家都知道的事。
「当たり前だ。店にはまだ、お酒になるであろう物しかない。呑みたければお酒も自分で調達して来なさい。神社にはお酒が沢山あるのだろう?」
“那当然了。店里还只是有将成为酒的东西而已。想喝的话自己去弄酒来。神社不是有很多酒的吗?”
「お酒なら大丈夫だ。こんな事もあろうかと持ってきてあるぜ」
“酒的话没问题。我就想到会有这种事,所以带过来了。”
  自分の事だけは抜かりは無い。茸の山の下から一升瓶を取り出した。霊夢は驚いた様子で、「あ、そのお酒は……」と言った。
  自己的事情绝不含糊。从一堆蘑菇下面取出来了个一升瓶的酒。灵梦惊讶地说道,“啊,那个酒……”
「ああ、神社に飾ってあったので持ってきた」
“哦哦,在神社里摆着所以我就拿来了”
「そのお酒は本当はまだ早いんだけど……」
“喝那个酒其实还为时过早呐……”
  霊夢は呆れた様子で言ったが、瞬時にどうでも良いかと言う表情に変わった。
  尽管灵梦无奈地说道,不过瞬时又变得无所谓的样子了。
「そうか、香霖もお酒を造るのか。そう言えば昔、私も自分でお酒造ろうとした事があったんだがな」
“是吗,香霖也要酿酒了呀。话说从前,我也曾经尝试过自己酿酒呢”
「へぇ、それは初耳だわ。やっぱり失敗したんでしょ?」
“哎,那真是头一次听说呢。果然是失败了吧?”
「へぇ、初耳だな。やっぱり失敗したのかい?」
“哎,头一次听说啊。果然是失败了吗?”
「大失敗だった」魔理沙は、てへっと自分の頭を叩いて見せた。失敗談を語るにしては機嫌が良さそうに見える。彼女にとっても、もうどうでも良い過去の話だからだろう。
“大失败了呢”魔理沙笑着敲了一下自己的头。虽然是失败谈不过看起来心情不错。对于她而言,应该已经是无所谓的往事了吧。
「お米でも果物でもお酒が出来るんなら、茸でも出来るのかと思って茸焼酎に挑戦してみたんだ。そしたら大変な事になった」
“不是米呀果物呀都可以用来酿酒吗,所以我以为用蘑菇也可以,于是就试着挑战做蘑菇烧酒,结果出大事了”
  その理屈は判らんが、魔理沙はそう言う水平移動の思考を得意とする。魔法だって、同じ理屈で魔法の常識を打ち破ろうとする。それまでは五つの元素しかなかった魔法に、どれにも属さないような力を入れたりするのも彼女ならではだ。時には妖怪も驚くような魔法を生み出す事もある。
  虽然不清楚其中的道理,魔理沙很擅长于这样的水平移动性质的思考。魔法也是,用同样的道理去打破魔法的常规。像往原本只有五种元素的魔法里灌入不属于任何元素的力量这种事,也只有她干的出。有时会生出一些连妖怪都会吃惊的魔法来。
  だが、茸焼酎はどうなのか。
  然而,蘑菇烧酒也太那个了。
「前衛的な焼酎ね」
“前卫的烧酒呐”
「大変な事ってなんだい?」
“出大事是指什么呢?”
「別の得体の知れない茸が生えてきたんだよ」
“生出了不知是什么种类的蘑菇呢”
  魔理沙のしょうもない失敗談に霊夢は笑っていた。
  灵梦因为魔理沙那令人无奈的失败谈而笑着。
「お酒はね。何からでも何処でも出来るって訳じゃないのよ。お酒とは、神様に捧げた物を神様が自分の好きなように変化させる事で出来るの。第一条件として醸造場所は神様の宿る場所でないと、まず上手くいかないわ。それから、もっと専門的な話になるけど……」
“酒这种东西呢。并不是用任何东西在任何地方都能酿的出哦。酒呀,是神明用献得的东西随自己喜好加以变化得来的。所以第一个条件就是要在寄宿有神明的地方酿酒,不然难以成功。还有呢,虽然有点专业……”
  霊夢の話は、神学の話から徐々に生物学的な話へと移っていった。神様が好んで醸す物は糖分である。果物など最初から糖分が豊かな物なら、簡単にお酒が出来るらしい。運が良ければ、潰すだけ潰して放っておいてもお酒になると言う。実際、木から落ちた葡萄や梨などが、元の果物とは違うお酒の様な匂いを発している場合がある。木に成っている状態よりも、熟れて落下した後の方に動物や蜂などが群がっているのを見た事があるだろう。それは、お酒に近い発酵が進み、生き物を惹き付ける匂いを発しているからである。
  灵梦所说的,渐渐从神学转移到了生物学上。神喜爱酿的东西是糖分。用像果物那样一开始就富含糖分的东西,貌似就会很容易酿出酒来。还说如果运气好的话,捣碎放在一边就会变成酒。实际上,从树上掉落的葡萄呀梨什么的,有时的确会发出不同于原本果实的类似酒的味道。比起结在树上的,不是见过熟透了掉在地上的更容易吸引动物或蜜蜂什么的集聚过来吗。那是由于类似酒的发酵正在进行,从而发出引诱生物的气味的结果。
  しかし、日本酒の米の様に、糖分の少ない穀物からお酒を造るには、まずは米に含まれるでん粉を糖分に変える発酵が必要である。これはお酒を造る発酵とは別の物だが、必ず通らなければ成らない段階である。米のでん粉が分解され、糖分が多く含まれている状態になった物を、麹と呼ぶ。麹が出来てしまえば、後は果実酒と同じで神様にお任せで良い。
  然而,像日本酒的米那样的,要从糖分较少的谷物酿出酒来,就必须要进行把米里含有的淀粉变成糖分的发酵才行。这跟酿酒的发酵不一样,但却是一个必要阶段。米里的淀粉分解后,变成含糖分较多的状态的东西,被称为酒曲,只要有了酒曲,接下来就跟果酒一样交给神明就好了。
  この様に、日本酒の醸造は果実酒とは異なり、自然に放って置いただけでは中々出来ない。手間の多さは加工品の品と格を高めるのだ。他にも、日本酒と同等なお酒には麦から作る麦酒などがある。これもまた、格別である。
  像这样,日本酒的酿造跟果酒有所不同,自然放置的话难以酿成。愈费功夫就愈会提升加工品的品质与水准。其它跟日本酒同等的酒里,有用麦子酿成的麦酒等等。而这又是别具风格的。
  僕はお酒を造り始めるに当たって、お酒の作り方を自分で調べたので大体の事は霊夢に訊く前に知っていたが、彼女の説明の詳しさからするとやはり今でも神社でお酒を造っているようである。
  虽然我在开始酿酒之际,自己已经调查过了所以大体的事在听灵梦讲之前已经知道了,不过从她的说明的详细程度来看,果然是现今也继续在神社酿酒的样子。
「要約すると、お酒になるには糖分が必要なのよ。得体の知れない茸じゃ大した糖分は無さそうだし、ちょっとお酒にするには難しいかも知れないわね」
“简要地说,要想酿酒就需要糖分。奇怪的蘑菇可不会有什么糖分吧,要想酿成酒的可有点困难哦”
「随分と詳しいな。そんな事ばかり勉強してないで、巫女としての勉強でもすればいいのに」魔理沙はそう言ったが、霊夢はお酒を造っているであろう、と確信した僕がフォローした。
“还真熟悉呢。别净学些这种东西,好好专注于巫女的修行多好”虽然魔理沙这么说,但确信灵梦在酿酒的我接了话。
「いや、お酒の作り方を熟知する事は、巫女として当然であり必要な事だよ。何故なら、巫女は神と交信する為にお酒を使うんだ。昔は神社でお酒を造っていて、巫女の仕事の一つだったからね。今はどうなのか知らないけど……」
“不不,熟知酒的制作方法,作为巫女既是当然的也是必要的。因为巫女与神明交流需要用到酒。过去酿酒还是巫女的作业之一呢。只是不知现在怎么样了……”
  僕はそれとなく霊夢にふってみた。神社で今もお酒を造っているのなら、何らかの反応が見られると思ったからである。だがその目論見も外れ、霊夢は話を続けた。
  我不露声色地瞄向灵梦那边。因为我想如果至今还在神社酿酒的话,应该会有所反应。然而这个期望却落空了,灵梦继续说着。
「ま、魔法の森にある魔理沙の家じゃ、別の発酵が進んじゃって美味しいお酒にならなそう。香霖堂もどうなんだか……」
“不过,魔法森林的魔理沙家的话,可能会产生别的发酵从而得不到美味的酒呢。香霖堂又会怎么样呢……”
霊夢はきょろきょろ周りを見渡した。確かに散らかっているが、そんなに不衛生ではないと思っているのだが。
灵梦开始向四周望来望去。虽说的确是散乱的点,但我想倒不至于很不卫生吧。
「この家にはお酒を醸す神様は宿っていないと言うのかい?」
“你是说这个家里没寄宿有酿酒的神明吗?”
  霊夢は店内の至る所を見ている。外の世界の式神、天狗の写真機、幽霊のランプ……。一通り見た霊夢はこう言った。
  灵梦观察着店内的每一处。外面世界的式神3,天狗的照相机,幽灵的油灯……看完一圈的灵梦如此说道。
「お酒以外の物に醸してしまう神様が多過ぎるのよ」
“是会酿成酒以外的神明太多了”
  ーー茸の焼けた、香ばしい匂いがしてきた。
  ——蘑菇烧好了,芳香的味道传了过来。
  霊夢のお酒に関する講義から時間が経ち、既に外は暗く、赤く染まっていた山は既に黒い影しか見えない。くしの神も、酒好きの妖怪も、自分の好きなお酒を取り出して朝まで飲み明かす時間である。
  自灵梦的关于酒的讲义过了一段时间,外面已经变暗,被染红了的山麓如今只能看见黑影。无论是奇幻的神明,还是喜酒的妖怪,此刻都是拿出自己喜欢的酒喝到天亮的时候。
  軽く塩をふった茸は、火が通ると秋の胞子を店内に充満させた。その香りだけでお酒が進む。霊夢と魔理沙の二人は、茸を取り合いながらはしゃいでいた。僕は、焼いた茸と一緒に飲むお酒が、自分で造ったお酒になる日を想像して、茸をほおばった。
  撒了少许盐的蘑菇,经火一烤便使店内充满了秋季的孢子。光这香气就足以就酒了。灵梦和魔理沙两个人,相互抢着蘑菇嬉闹着。我边想象着配着烤蘑菇喝的酒会是自己所酿的那一天,边把蘑菇放入口中。
  発酵が徐々に進むお酒は、どの段階でお酒なのか。実は僕には想像出来ていた。
  不断进行发酵的酒,到底在哪一阶段是酒呢。其实我已经想象得出了。
「あ、霊夢。そのカキシメジは軽く毒があるから食べない方が良いよ。後で寝込む」
“啊,灵梦。那个柿蘑有微毒所以不吃为好。待会儿会卧床哦”
「大丈夫だ。毒抜きしてあるぜ」
“没关系。已经除好毒了”
  霊夢は、暫くうーんと唸っていたが、魔理沙が「寝込んでも大丈夫だ。神社の事は任しておけ」と言ったのを聞いて、箸で摘んでそっと窓から捨てた。
  本来灵梦暂时考虑了一会儿,不过听到魔理沙说“卧床也没有关系,神社的事就交给我吧”后,就用筷子夹起来悄悄扔到窗外了。
  実は魔法の森に生えている茸の事は、魔理沙程詳しい人間は居ない。カキシメジに見えた茸も、恐らく別の安全な茸である可能性が高い。森は陽の当たる部分が少なく、湿度も高い為か、生えている茸も他に生えていない様な物だらけなのである。
  其实关于魔法森林里生长的蘑菇的事,没有人能比魔理沙更为清楚。看起来像柿蘑的蘑菇,其实是另一种安全的蘑菇的可能性很高。也许是森林里少有日光照到的地方,湿度又很高的原因,生长出来的蘑菇也净是其它地方长不出来的。
  僕は常念坊に似た茸を取り、少し囓るとお酒を口に含んだ。すると茸の芳香がお酒の力により、喉と鼻を駆けめぐり、えも言われぬ心地よさに包まれた。
  我夹来常念坊样的蘑菇,稍稍咬一下后饮了口酒。然后蘑菇的芳香便借助于酒的力量穿梭于喉和鼻之中,带来无与伦比的舒畅的感觉。
  お酒は、どの段階でお酒なのか。
  酒,究竟在哪一阶段是酒呢。
  それは、美味しい食材と共に口に付ける瞬間で、漸くお酒になるのだと思う。それまでは、お酒なのかも知れない液体に過ぎない。神が造るお酒は、人間の手の及ばない所で造られていく。それがお酒なのか、はたまた酢なのか、それとももっと別の液体になってしまうのか、文字通り神のみぞ知るのだ。
  我想,是在与美味的食物一起品尝的瞬间,渐渐变成酒的罢。之前的,不过是似酒非酒的液体而已。神明所造的酒,是在人所不能及的地方酿造的。那究竟会是酒,抑或是醋,还是会成为别的什么液体,正如同文面上的,只有神才知道。
  そんな神の美禄であるお酒は、当然呑む人を選ぶ。お酒の神である奇しの神に敬意を払うとしたら、お酒は酔わなければいけない。大いに呑んで大いに酔う事が大切なのだ。
  作为神之美禄的酒,自然会挑选喝的人。如果要向酒神的奇幻之神表达敬意的话,就必须要醉酒才行。大量饮酒并酩酊大醉是关键。
  お酒にしても煙草にしてもお茶にしても珈琲にしても、嗜好品と言う物は、人間や妖怪の心の尺度を測る良い指針となる。それら嗜好品が嗜める者かどうかで、懐の深さや感性を見極める。鬼や天狗、河童など、強い妖怪ほどお酒にも強い。吸血鬼が毎日紅茶を飲むのも、血の色に似ているから、ではない。全て、嗜好品を嗜めるような者だから強い妖怪に成った、ただそれだけなのだ。
  酒也好烟草也好茶也好咖啡也好,嗜好品这种东西,是非常适合用来测量人类或妖怪的心灵尺度的指针。各个嗜好品以是否能够品味,来鉴别其胸怀的深度或感性。像鬼和天狗,以及河童之类,愈强的妖怪酒量就愈大。吸血鬼每天喝红茶,并不是因为有类似血的颜色。都是因为能够品味嗜好品从而成为了强力的妖怪,仅此而已。
「どうした? 箸が進んでいないな。その妖念坊の毒にやられたか?」魔理沙はそう言った。
“怎么了?没吃多少啊。难道是中了那个妖念坊的毒?”魔理沙说道。
「なんだ? その妖念坊ってのは」
“那个妖念坊,是什么?”
「今、香霖が食べている茸だよ。常念坊に似ているだろう? でも明らかに大きさが違うので、妖怪の常念坊と言う事で妖念坊って名付けた」
“就是香霖正在吃的蘑菇呀。很像常念坊吧?但很明显的大小不同,所以就当作是妖怪的常念坊而命名为妖念坊了”
  嫌な予感がする。
  有种坏的预感。
「魔法の森にしか生えていないが、香りが良くてね。大きくて味も良いぜ。勿論ーー」
“只在魔法森林才有生长,不过很有香气。又大又美味。当然——”
  勿論、食べても大丈夫なんだろう。食べていけない茸を網の上に置く筈がない。この時は神ではなく、魔理沙に祈った。
  当然,吃来是没事的吧。怎么可能会把不能吃的蘑菇放到铁网上呢。这个时候我没有祈愿于神,而是向魔理沙祈愿。
「勿論、幻覚作用はあるが。軽いから大丈夫だ」
“当然,会有些幻觉作用。不过是轻度的所以没关系”
  僕はそこで二人を追い出し、夕食会を中止した。二人ももう充分食べたと言う事もあって、大人しく帰って行った。
  在那时我便把两个人赶了出去,终止了晚餐聚会。由于两人已经吃饱,也就乖乖回去了。
  いくら本人は味見して大丈夫だったとしても、人に毒茸を食べさせるのは問題である。魔理沙は魔法の森で暮らしていて慣れているかも知れないが、普通の人間には森の瘴気は長時間耐えられない。そんな森に生えている茸である。もう少し安全な物だけを選んで欲しいが……。
  就算自己尝过了并没什么事,给人吃毒蘑菇也是个问题啊。或许魔理沙在魔法森林已经住惯了,但普通人是不能长时间忍受森林的瘴气的。那可是在那种森林生长的蘑菇。就不能只挑选些安全的东西吗……
  ところで、一つだけ疑問が残ってしまった。霊夢は神社でお酒を造っているのだろうか、という事である。僕が意気揚々とお酒を造ろうとしていた為か、魔理沙の茸におっかなびっくりだった為か、直截訊く事が憚られ、答えは分からないままになってしまった。
  说来,还存有一个疑问。那就是灵梦是否在神社酿造着酒。不知是我得意洋洋地要开始酿酒,还是被魔理沙的蘑菇给惊到了,总之是失去了直接询问的机会,便仍旧不知其答案了。

注释

  1. 原文如此,正确应为“纪”
  2. “柿蘑”是日本方言名,中文学名为“褐黑口蘑”。
  3. 指的是电脑,在第15话(新第6话)有提及。
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