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东方儚月抄 ~ Cage in Lunatic Runagate./第四话/中日对照
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不尽の火 | 无尽之火 |
妖怪の山は静かに煙を上げていた。山の噴火は荒々しさは無いが、常に上空を | 妖怪之山静静地向上面冒出浓烟。虽然山顶并没有剧烈的喷出火焰,但是却经常将上空熏得漆黑一片。 |
里では山の煙は本物の煙によるものではなく、天狗や河童達が動かす工場が吐き出す煙だと言われていた。 | 村落中有传言说,山顶的黑烟并不是因为喷火造成的,而是天狗与河童工作的工厂之中所产生出来的浓烟。 |
何故なら、妖怪の山が活動していたのは伝説上の話で、煙を上げるようになったのは百年ほど前だからである。その時期と言えば、丁度山の妖怪が持つ優れた技術が、里に知られるようになった時期だった。 | 之所以会有这种传言,是因为妖怪之山活动已经是传说中的故事,而冒出浓烟则是百年以前的事情。说到那时期,正好是山中妖怪拥有的先进技术被村落所知晓的时期。 |
妖怪の山が今も活動しているかどうはさておき、火山であるという事は事実である。それは魔法の森の近くにある玄武の沢を見れば明らかだ。玄武の沢とは、底は亀の甲羅のような六角形のひびが入った岩、周りの崖は垂直に切り立った六角柱で出来ているという不思議な沢である。 | 先不管现在的妖怪之山火山是否还是活动的,至少可以确定它是一座火山。这一点从魔法森林附近的玄武涧就可以很明显的看出来。玄武涧之所以得名玄武,是因为它的底部有好像龟的背甲一般皲裂为六角形的岩石,周围的悬崖也好像被锋利的刀锋切割过一般形成六角形的柱体1而因此得名,是个不可思议的山谷。 |
自然に出来たとは思えない不思議な地形は、実は溶岩が冷えて固まる時に出来る地形であるという事が判っている。妖怪の山から流れ出た溶岩が玄武の沢を作ったのである。大昔の妖怪の山は荒ぶる火山であった。 | 这种看上去一点也不像自然形成的地形,实际上是在火山熔岩冷却凝固之时形成的。也就是说玄武涧是由妖怪之山火山喷发出来的岩浆形成的。由此可见很久以前的妖怪之山是一座猛烈的火山。 |
当然、妖怪の中には山が噴火していた頃を見てきている者もいるのだが、山が活動停止してから長い時間が経っているので、もう再び噴火する事は無くなったと思っているのだろう。 | 当然,在妖怪之中也有见过火山喷发的家伙存在,但因为火山停止活动已经过了非常久,以至于连他们都认为火山不会再次喷发了。 |
しかし、竹林に住む人間—— | 可是,居住在竹林之中的人类——藤原妹红却清楚地知道。现在妖怪之山顶部喷出的浓烟,根本不是什么河童的工厂的烟雾,而是如假包换的火山烟雾。 |
「さあ、ここまで来ればもう迷わないだろう。このまま真っ直ぐ進めば里に着くはずだ」 | “好啦,走到这里就不会再迷路了吧。沿着这条路一直往前走应该就能够回到村子里面了。” |
私が護衛した迷い人は、安堵の表情を浮かべ何度も礼をすると小走りで去っていった。 | 我护送出来的迷路的人脸上浮现出一副终于放下心来的表情,对我连声道谢之后一路小跑着离去了。 |
迷いの竹林は地名の通り道に迷う人間が多い。目印になる物が少ないのと、ここに住む妖精の悪戯が絶えない為だ。にもかかわらず、里の人間はよく竹林に足を踏み入れる。筍や茸、兎などの食材が豊富な為だろう。 | 迷途竹林,正如其名所言,这里经常会有人迷路。因为这里很少有能做标识的东西,以及居住在这里的妖精们不断恶作剧的缘故。不过即便如此,村子里的村民还是会经常性的来到这片竹林里面。因为这里面有非常丰富的竹笋、蘑菇还有兔子之类的食材。 |
私はこの辺の妖精に顔が利くので、道に迷わされたりする事は無い。だから道に迷った人間を見つけると里に帰るまで送るようにしている。この辺は飢えた妖怪も多いし、迷い人の亡骸を見たくないからでもある。 | 因为我和这边的妖精们混得很熟,所以从来都不会在这里迷路。于是每当我碰到在竹林之中迷路的人都会将他们安全地送回村里。我之所以这么做只是因为这周围有很多饥饿的妖怪,我不愿意看到那些迷路之人的尸骨而已。 |
気が付くと迷い人の姿が見えなくなっていた。暫く私は迷いの竹林の入り口で佇んでいた。 | 回过神来发现迷路的人早就不见踪影。只剩下我一个人伫立在竹林的入口。 |
別に迷い人の姿が完全に見えなくなるまで見送っていた訳ではない。妖怪の山から立ち上る煙を見ていたのだ。あの煙を見て、昔の出来事を連想せざるを得ないからだ。 | 我并不是在目送那个迷路之人直到完全看不见那人的身影为止,实际上我只是在观察妖怪之山上冒出的烟雾而已。因为我看到那座山上的浓烟,就不禁联想起以前发生的事。 |
今から数年前の事である。私はどうしてもあの山の煙が気になり、里に住むある人に相談した事があった。 | 那是发生在几年前的事情了。因为我对于那座山顶的浓烟实在是非常在意,于是便去村子里找了一个人询问。 |
幻想郷の歴史に詳しく、数少ない私の理解者である獣人—— | 那是一个对于幻想乡的历史非常了解,而且还是为数不多的我的理解者,兽人——上白泽慧音。 |
「——貴方はあの妖怪の山の真実の姿を知りたいのですね?」 | “——你想知道那座妖怪之山的真面目是吗?” |
「そうだ、里の人間は河童の工場だとか天狗の | “是的,虽然村子里的人有的说那是河童的工厂有的说那是天狗的狼烟,但我还是不能理解。我似乎在什么地方见过那种烟。” |
「……そうですか。見覚えがあるというのなら、私も貴方に山の歴史を伝える必要があるでしょう」 | “……是吗,如果说你觉得眼熟的话,那么我就有必要将那座山的历史告诉你了。” |
「そうして貰えると助かるよ」 | “如果是那样就太好了。” |
「あの煙……工場の煙でも勿論狼煙でもありません。あれは火の山が吐く不尽の煙なのです」 | “那个烟……既不是工厂的烟雾,当然也不是狼烟。那是火山所喷出的无尽之烟。” |
慧音は私に山の歴史について説明してくれた。彼女によると山にはある神様が宿っていたのだと言う。その神様とは | 慧音将有关火山的历史都告诉了我。据她所说,在那座山上居住着一位神明。而那位神明的名字叫做石长姬。 |
「妖怪の山の煙はその神様が出す火山の煙なのです。貴方が見覚えがあると言うのならその神様を知っているのではないでしょうか?」 | “妖怪之山上的烟就是那位神明所发出的火山烟。如果说你觉得眼熟的话,是不是因为你认识那位神明呢?” |
「石長姫……?」 | “石长姬……?” |
私はその神様の名前に聞き覚えがなかった。 | 我的记忆中并没有听说过这位神明的名字。 |
「そんな奴聞いた事がないけど、それがなんで私に見覚えがあると?」 | “既然我从来没有听说过她,可是为什么我却好像看到过那种烟雾呢?” |
「そうですか、でも石長姫は貴方とは無縁ではありません。石長姫は永遠の命……つまり不死を司る姫だからです」 | “是这样吗,不过石长姬和你并非无缘。石长姬是掌管永远的生命……也就是不死的公主。” |
「不死の神だって……?」 | “你说她是不死之神……?” |
不死……か。それならば関係は大ありである。私はとある理由により不老不死の身となってしまったからだ。 | 不死……吗。如果是那样的话关系果然很大。因为我也由于某种原因而变成了现在的不老不死之身。 |
「そしてその石長姫は | “而且这位石长姬还是浅间大人的姐姐。浅间这个词原本读作あさま(asama),有火山的意思。浅间大人指的就是木花咲耶姬。虽然现在都认为咲耶姬是火山之神,但实际上咲耶姬是镇住火山的水神——” |
「ちょっと待って、今、咲耶姫と言ったね」 | “请等一下,刚才你是说咲耶姬吗?” |
「ええ、石長姫の妹で大変美しい神様です。性格には少し難がありますが、花が咲くように——」 | “是的,她是石长姬的妹妹,是一位非常美丽的神。虽然她的性格有些缺点,不过就好像盛开的花儿一样——” |
慧音は一度解説に火が付くと話が長くなるので強引にでも切った方が良い。 | 慧音一旦解说的兴致上来以后便会滔滔不绝,所以还是强行打断她为妙。 |
「咲耶姫なら知っている。いや、知っているなんてもんじゃない。私はあの時——」 | “要说咲耶姬的话我还是知道的。不,不只是知道而已。我那个时候——” |
今の境遇に陥った原因となった山を思い出した。 | 我不禁回忆起那使我陷入如今这种状况的山2。 |
「——あの時、彼奴さえいなければ!」 | “——那个时候,要是没有那家伙的话!” |
私は迷いの森の中にある小さな隠れ家に戻っていた。 | 我回到了隐藏于迷失竹林中的一间小小的家中。 |
帰る途中、数年前の慧音とのやりとりを思い出していた。妖怪の山の煙には私しか知らない秘密があるのだ。 | 归途中,不由得再次想起几年前和慧音之间的对话。妖怪之山上的烟雾,隐藏着一个只有我知道的秘密。 |
最近は暗くなるのが早く、既に家の中は薄暗かった。雪がちらつく季節となりめっきり寒くなってきたが、まだ暖を取る用具を準備していない。 | 最近天黑的很早,家里已经有些看不清楚了。已经是雪花纷纷落下的季节,天气也明显寒冷了起来,可是我还没有准备任何取暖的用具。 |
部屋の中は生き物が住んでいるとは思えないほど冷え切っていた。だがそれも慣れたものだ。幾ら寒くても私は死ぬ事は無いのだから。寒いのを少し我慢すれば、また暖かい季節がやってくる。 | 整个屋子里面寒冷到让人无法相信这里也有生命居住。不过我已经习惯了。因为不管多么冷我都不会死。稍微忍耐一下寒冷的话,很快温暖的季节就会来到了。 |
不死になってからもう千三百年くらい経つだろうか。 | 成为不死之身已经过了一千三百年了吧。 |
不死になってから最初の三百年は人間に嫌われ、身を隠さないと自分にも周りにも迷惑を掛けるという悲しいものであった。 | 在成为不死之身的最初三百年里,我被人类所厌恶,过着不躲起来就会给自己和周围带来麻烦的悲惨生活。 |
次の三百年はこの世を恨み、妖怪だろうが何だろうが見つけ次第退治する事で薄っぺらな自己を保つ事が出来た。 | 接下来的三百年,我痛恨这个世界,遇到妖怪也好不管什么也好,都会马上将对方降伏,以此来维持我那变得很稀薄的自我意识。 |
その次の三百年はその辺の妖怪では物足りなくなり、何事に対してもやる気を失う退屈なものであった。 | 再接下来的三百年,这周围的妖怪都不是我的对手了,而且我也对任何事物都失去了兴趣,开始感到非常的无聊。 |
その次の三百年、ついに私は不死の宿敵と再会し殺し合う事に楽しみを見い出す3事が出来た。 | 再接下来的三百年,我终于再次见到了不死的宿敌,并在相互死斗之中找到了乐趣。 |
そして今、私の存在も人間の社会に適応しつつある。今は永く生きてきた知識と長く闘ってきた力を使い、人間の護衛を行っているのだ。竹林に迷い込んだ人間——それは外の世界から迷い込む人間も含めてである、を竹林に棲む妖怪の手から守る仕事を行っている。 | 而到了现在,人类社会对于我的存在已经逐渐适应。我也凭借着自己多年来积累的经验和经过不断战斗获得的能力担任着人类的护卫工作。保护那些在竹林中迷路的人类——还包括那些从外面的世界不慎闯入的人类,免遭栖息在这片竹林之中的妖怪袭击。 |
昔は決して有り得なかった人間からの感謝が、今の私の生きる支えである。不死を恐れない人間のいる幻想郷はまさに楽園の様であった。 | 那些以前从来都不会得到的来自人类的感谢,现在是支撑我生存下去的动力。不害怕不死之人的幻想乡对我而言就如同乐园。 |
私は片膝を立てて床に座り、背中を壁に押し当てた。いつからだろう、私はすぐに起きられる体勢で眠る癖が付いていた。この体勢でいると深い眠りに付く事が出来ず、色々考え事が出来るからである。 | 我支着一条腿坐在地板上,将后背靠在墙边。究竟从什么时候开始的呢,我养成了这种能够马上起身的睡觉姿势。也许是因为这样睡觉能够让自己不陷入深度睡眠,从而可以去思考很多事情吧。 |
「——あの時、彼奴さえいなければ!」 | “——那个时候,要是没有那家伙的话!” |
咲耶姫の名前を聞いて封印された記憶が脳裏に蘇る。私が不死になる原因となった、我が人生で最もセンセーショナルな出来事である。 | 当听到咲耶姬这个名字的时候被封印的记忆再次于我的脑海之中苏醒。我之所以会成为不死之身的原因,我人生之中最大的转折点。 |
「あの時、咲耶姫さえ出てこなければあの男を殺す事も、あの薬を飲む事も無かったのに——」 | “如果那个时候,咲耶姬没有出现的话我也就不会杀掉那个男人,更不会去喝那个药——” |
私には宿敵がいた。その名は蓬莱山輝夜。私の家族の人生を狂わし、身勝手な行動で多くの人間に迷惑をかけた不死の人間である。勿論、今でも宿敵である事は変わりない。今ではお互い不死という事もあり、定期的に壮絶な殺し合いを行っている。 | 我有一个宿敌。她的名字叫做蓬莱山辉夜。是一个使我整个家族的人生全都变得一团糟,并且因为她的任性行动使很多人都陷入困境之中并拥有不死之身的人类。当然,她是我的宿敌这一点即便到现在也没有任何的改变。而且因为现在我们都是不死身,所以每隔一段时间都会来一场壮烈的死斗。 |
勿論、若い頃の私は殺し合いをするような事もなく、輝夜に嫌がらせが出来ればそれで溜飲を下げる事が出来た。今思えば、他人の悔しがる姿が見たくて行動していたんだから歪んでいたんだと思う。でも、復讐の心は他の何よりも行動力を生む物であるという事も事実である。 | 当然,最初年轻时的我并不是和她互相厮杀,只要能给辉夜找茬,我就感到心里痛快。现在回头想想,为了看别人气愤的神情而行动的心理确实有些扭曲。不过,复仇心比其他任何事情都能激发人的行动力这一点也是事实。 |
嫌がらせをする為に行動する事は苦痛であったが、その苦痛が大きければ大きいほど復讐としては価値があった。今味わってる苦痛は輝夜が私に与えている苦痛だと思う事で、さらなる大きな行動力を生んだ。つまり、私が復讐するのは完全に輝夜の所為だと思い込んでいたのだ。 | 虽然为了找茬而去做事使我非常的痛苦,但是这种痛苦越是深刻作为复仇就越有价值。一想到自己现在经历的这种痛苦都是辉夜所给予的痛苦,就会激发出更强的行动力。也就是说,我深信我之所以复仇,完全都是因为辉夜的缘故。 |
不死になるきっかけとなった日の私は、輝夜に復讐をする為にある人物の後を付けていた。岩笠という名前の男と思う。その男は数名の兵士を引き連れて壺を持ち、山を登っていた。その壺は輝夜が大切な人の為に残したという代物である。私はその壺を奪おうと企んでいた。その壺を奪う事で少しでも溜飲が下がるのならそれで良かったのだ。 | 在我成为不死之身的那一天,我为了报复辉夜而跟踪上了某个人,大概是一名叫作岩笠的男人。那个男子率领数名士兵携带着一个壶正在登山。据说那个壶是辉夜为一个非常重要的人留下的东西。于是我决定将那个壶夺走。如果我将那个壶夺走,能让我感到一丝快意的话,那样就足够了。 |
一行が登っていた山はこの国で最も高い山と言われ、一部の修験者しか登らない霊山、今でいう富士山であった。 | 一行人所攀登的山据说是这个国家之中最高的山峰,只有一部分修炼者才能够登上的灵山,现在被称为富士山的山峰。 |
山はある程度登ると木の高さは低くなり、次第に植物自体も無くなって岩ばかりになって行くものである。それの意味する事は、姿を隠して尾行を続けるのが困難になるという事だった。 | 当攀登到一定高度之后,树木的高度变得越来越矮,很快就连植被都不见了,一路上只有岩石。4这就意味着,要躲起来跟踪变得很困难了。 |
さらにもう一つ尾行が困難になる致命的な要因があった。それは私の体力は限界に近づいていたという事だ。この山の麓に着くだけでも何日もかかり体力を消耗していた。その上、この山は一人で登れるような生易しい山では無かったのだ。 | 还有另外一个让跟踪变得困难的致命因素。那就是我的体力即将达到极限了。单是到达这座山的山麓就已经花了数日,消耗了非常多的体力。更何况这座山绝非一个人轻易便可以攀登上去的。 |
兵士が背負った壺をどうやって奪えばいいのか全く判らないまま、八合ほど登った所でついに力尽き、その場に座り込んでしまった。 | 就在我完全不知道应该如何从那些士兵身上将壶抢过来的时候,当爬到八合5的地方时我终于筋疲力尽,在原地坐了下来。 |
「あの男は私が付けてきている事にとっくに気が付いていた。座り込んだ私の方に引き返してきて、そして疲れ果てた私に水をくれたんだ。最後は数名の兵士と共に励まし合いながら山頂まで一緒に登ったんだ……だというのに」 | “那名男子似乎早就注意到我一直跟在他们的后面。所以当我坐下的时候,他也返身走了过来并且递给已经脱力的我一壶水。最后还和几名士兵一起互相激励着带我一同爬上了山顶……可是我却。” |
「貴方は何故その男を殺し、壺を奪って逃げる事になったのでしょう」 | “那你又为什么要将那名男子杀害,夺下壶逃走了呢?” |
そうだ、私は岩笠には何の恨みもなかったのだ。それどころか、山登りを助けてくれた命の恩人でもあった。壺の事だって本当はもうどうでも良かったのかも知れない。輝夜に対する復讐もただの幼稚な意地だったのかも知れない。 | 是的。我与岩笠无冤无仇。更何况,他还是在登山途中帮了我的救命恩人。壶的事情那时候也许心里早就觉得已经无所谓了,对于辉夜的复仇也许只不过是幼稚的意气用事。 |
「……山登りは山頂が常に見えていると、逆に歩みの遅さを思い知らされてしまう。残りの山登りは体の疲れと精神力の低下で大変なものだった」 | “……我领会到登山的时候如果总是往山顶看,就会越发地感到自己步伐的缓慢。接下来的登山由于身体的疲劳和精神力量的低下,会变得十分困难。” |
私達は山頂に辿り着くとその男になぜこの山に登っていたのかを訊いた。 | 当我们终于登上山顶之后,我便向那名男子问他们为什么要登山。 |
「おかしいね。どう考えても山に登っていた不審者は私の方なのに。でも男は勅命である、と答えてくれた」 | “很可笑是吧,不管怎么看登山意图不明的家伙都是我才对。可是那名男子却回答我说是因为领了圣旨。” |
私は山賊で貴方達を付けていたが、とんだ失態を見せてしまった、と言った。壺を奪おうとしてたのだから、あながち間違いでは無いと思う。それを聞いて兵士たちは笑っていた。どう考えても私一人では兵士一人にも敵わない様に見えたからだろう。 | 我说我是山贼,所以才跟在你们后面,但没想到出洋相了。因为我打算抢壶,所以这种说法也不算错。结果士兵们听到这句话之后都笑了起来。确实,不管怎么看,以我一个人的能力就连他们一个士兵都打不过吧。 |
兵士達は岩笠の命令で、担いでいた壺を地面に置いた。何をするのかと思って見ていると、壺に紐を結びつけ始めた。 | 士兵们在岩笠的命令下,将一直带着的壶放到了地上。就在我想要搞清楚他们究竟要做什么的时候,发现士兵们开始在壶上系绳结。 |
「紐を付けて遠くまで投げ飛ばし、壺を火口に入れて焼くって言うんだ。私にはその行動の意味が全く判らなかった」 | “圣旨说要将绳子绑在壶上,然后将壶远远地扔到火山口之中烧光。不过我对他们这样做的意义完全搞不明白。” |
もしかしたら、岩笠に勅命を下した帝様も輝夜に嫌がらせをしたいのかとも思った。輝夜から頂いた贈り物をこんな高い山の火口へ投げ入れるって言うのだから。 | 难道说对岩笠下达这道圣旨的天皇也想找辉夜的茬吗?竟然要将辉夜留下的东西扔到这么高的火山口里面去。 |
「私はというと、壺を奪って鬱憤を晴らす為にこんな山の上まで来たのだが、もう壺がどうなるのか見守るしかなかった。でも、兵士達が火口に近づいた時、突然奇妙な女が現われて事態は一変した」 | “虽然我是为了抢走那个壶来发泄自己的愤懑之情,所以才来到这么高的山顶,可是现在我却只能够眼睁睁地看着这个壶最后会是一个怎样的结局。但是,就在士兵们来到火山口附近的时候,突然出现了一个奇妙的女人令整个事态发生了剧烈的变化。” |
「その女の人がもしかして——」 | “那个女人莫非就是——” |
「そう、女は咲耶姫と名乗り、この山の噴火を鎮める女神であると言った。咲耶姫は、その壺を火口に入れてはいけませんと兵士達を恫喝したんだ」 | “是的,那名女子自称咲耶姬,是镇压着这座火山使其不会喷发的女神。咲耶姬恫吓那些士兵说不能够将那个壶扔进火山口之中。” |
咲耶姫はこの世の物ならぬ美しさと、何処か火口で燃え尽きてしまいそうな儚さを携えていた。突然の出来事に兵士達は動揺した。神々しい姿に反射的にひれ伏す者もいた。 | 咲耶姬有着世间难见的美丽相貌,以及仿佛会在这火山口燃尽般的如梦似幻的感觉。面对这突如其来的状况,士兵们都产生了动摇,甚至还有的人在咲耶姬神圣的身姿面前跪了下来。 |
本当に兵士達を動揺させたのはその後だった。岩笠は『私は壺をこの霊力のある神の火で焼かなければならない。これは帝の勅命である』と咲耶姫に向かって言うと、咲耶姫は軽蔑するような目でこちらを見ると次のように言った。 | 真正让士兵们动摇的事情还在后面。岩笠对咲耶姬说:“我必须用这个拥有灵力的神之火烧掉这壶,因为此乃天皇之圣旨。”但是咲耶姬却用轻蔑的眼神看着我们如此说道。 |
『その壺をこの山で焼かれてしまうと、火山はますます活動を活発にし、私の力では負えなくなってしまうでしょう。その壺は神である私の力をも上回る力を持っています。貴方達はその壺に入っている物がどのようなものなのか理解しているのでしょうか?』 | “如果这个壶被这山烧掉,会使火山的活动得更为剧烈,到时候就算是我的力量也没有办法镇压得住。那个壶拥有比身为神的我更加强大的力量。你们知道那壶中装的是什么吗?” |
兵士達は沈黙した。中身に関しては誰も知らされていなかったのだろう。私も勿論、輝夜が残した物という事しか知らなかった。 | 士兵们都沉默了。恐怕关于内容物方面没有任何人被告知吧。当然,我也仅仅知道那壶是辉夜留下来的东西而已。 |
咲耶姫が『その壺に入っている物は……』と言うと、岩笠は『それは言ってはならぬ』と制止した。 | 就在咲耶姬说出“那壶之中装的是……”的时候,岩笠马上打断她道:“不能说。” |
しかし咲耶姫は『いいえ、ここまで担いできた兵士達には知る権利があります』と言い、その壺の中身はなんと不老不死の薬だと言った。 | 不过咲耶姬却说道:“不,那些将壶带到这里来的士兵们有权利知道”,并告知壶中所装的竟然就是不老不死之药。 |
「兵士達は動揺したよ。岩笠の命令を遂行してきただけなのに神様が怒るような事をしていたという事。さらに自分達が運んできた壺が不老不死の薬だったとはね」 | “士兵们都动摇了哦。一方面由于自己只是遵从岩笠的吩咐却招来了神明的愤怒。更重要的还是在于自己搬过来的壶里装的竟然是不老不死之药呢” |
「そして貴方も動揺した、と」 | “而且你也动摇了是吗?” |
「勿論、私も動揺した。不老不死の薬が実在する事、輝夜が不老不死の薬を残したという事、その不老不死の薬が何故か捨てられようとしている事——」 | “当然,我也动摇了。不老不死之药竟然真的存在,辉夜竟然留下了不老不死之药,以及那不老不死之药不知为何竟然要被人扔掉——” |
目の前の慧音は私の愚かな過去の話を聞いてくれる。愚かな人間ほど、他の人間の愚かな行動を嫌うというのに。 | 眼前的慧音听我讲述着我的愚蠢的往事。明明越是愚蠢的人类,越讨厌他人的愚蠢行为。 |
「——そしてその薬が目の前にある事に」 | “——还有,不老不死之药竟然就在眼前。” |
——寒さで目が覚めた。部屋はすっかり暗くなっていた。軽く眠っていた様だ。 | ——我因为寒冷而被冻醒了过来。房间中已经完全暗了下来。看来我刚刚小睡了一下的样子。 |
暗い家の中に月の明かりが差し込んでいた。月の明かりは暖を取るには向いていない。冷え切った躰をさらに冷やすだけであった。 | 昏暗的房间之中有月光照射进来。但是月光却带不来半点的温暖。只会让这已经冷透了的身体更加冰冷而已。 |
不老不死の我が身は不摂生をするのに都合が良い。不摂生し放題である。 | 不过对于不老不死的我来说,这种不养生的生活方式正好。不养生算了。 |
まだ今夜の食事の準備をしていなかった。不老不死とはいえ、空腹は覚えるし冷えた躰は関節を痛めたりする。しかし、まめに躰を温めたり栄養のある食事を摂ったりして躰に気を付けるより、多少の苦痛を我慢する方が自分の性に合う。 | 今天晚上的晚饭还没有准备。虽然我是不老不死,不过还是会感觉到饿,冰冷的身体也会让关节疼痛。不过,比起使身体感到温暖,吃有营养的饭,注意身体,这种多少忍受一点痛苦的生话方式更适合我的个性。 |
そう、何をしても死なないのだから。 | 是的。因为不管怎样我都不会死掉。 |
飽きるまで寝ようと、睡魔に喰い殺されるまで起き続けようと、躰には影響は無いのだから。 | 不管我是睡到不想再睡也好,还是被睡魔吞噬也好,反正都对身体没有任何的影响。 |
幻想郷の妖怪達も非常に長い間生き続けている。私より長く生きている者も少なくない。だが彼ら、彼女らは私とは根本的に異なるのだ。彼らは幾ら肉体が頑丈でも、必ず滅ぶ。 | 幻想乡的妖怪们也都活了很久。甚至有不少妖怪比我活的时间还要长。但是他们、她们与我之间有着一个根本性的不同。那就是不管他们的身躯多么的结实,最后都必定会灭亡。 |
生者必滅——生きとし生ける者は必ず死ぬ、それが世の定めである。だとしたら私はあの薬を飲んだ時から生きていないのではないか。生きる為に行動する事は意味が無い事ではないか。私は何を目的に行動すればいいのか。 | 生者必灭——所有活着的生物最后都逃脱不了死亡,这是世间的定数。那么也就是说当我喝下那壶药的时候便已经不再是活着了吗。所以做任何为了活着而做的事情便是毫无意义的事情了吗。那我究竟要以什么为目的行动呢。 |
窓の外には細い月が浮かんでいる。その月に向かって何かの光の筋が上っていくのが見えた。 | 窗外细长的月亮浮于天空。我看到有道什么光线在向着那月亮飞去。 |
それを見て何か嫌な胸騒ぎがした。 | 看到那个我心中突然涌现出不祥的预感。 |
先日、吸血鬼が月に行くロケットが完成したとはしゃいでいたが、その時にも同じ不安を覚えた。 | 前几天,吸血鬼那边为火箭的完成欢呼雀跃,而那时的我也感受到了同样的不安。 |
私は家の明かりを点しもせず家を飛び出す。 | 我甚至顾不上点灯便冲出了家门。 |
頭上には細い月と細長い光の筋。 | 在我的头上是细细的月牙还有一道细长的光线。 |
行く先は竹林の奥深く、永遠亭である。 | 我的目的地是位于那竹林深处的,永远亭。 |
「——不老不死の薬が目の前にあると言われてその場にいたみんなが動揺した。兵士が動かなかった為、火口に壺を投げ入れる事も出来なかった。それでも岩笠は壺を燃やそうとしたのだが……何故か火が点かなかったんだ。仕方が無く、その日は山頂で一晩越す事にし、対策を練る事になった」 | “——被告知不老不死之药竟然就在眼前,当时在场的人都动摇了。因为士兵们都一动不动,所以也没办法将壶扔进火山口中。使如此岩笠还是打算要将壶烧掉……可是不知道为什么却一直都点不起来火。于是没有办法,当天大家只能在山顶过夜,研究对策。” |
「咲耶姫は元々、火を鎮める水の神様でした。恐らく壺を燃やす事が出来なかったのはその為でしょう」 | “咲耶姬本来是镇住火山的水神,无法点燃那个壶恐怕就是因为这个原因吧。” |
私は岩笠に帝から受けたという勅命の詳細を訊ねた。何故、不老不死の薬をわざわざこの山に登って処分しようとしているのか。 | 我向岩笠询问了天皇所下达的圣旨的详细内容。为什么要特意登上山顶来销毁不老不死之药呢。 |
岩笠によると、この壺は蓬莱の壺、中に入っている物は蓬莱の薬と呼ばれている物である。蓬莱の薬とは不老不死の薬の事で間違いないと言う。 | 据岩笠所说,这个壶叫做蓬莱之壶,而里面的东西被称为蓬莱之药。而蓬莱之药正是不老不死之药。 |
蓬莱山輝夜が月に戻る際に、自分を育ててくれた竹取の翁と迷惑をかけた帝にお礼として置いていった物だそうだ。翁はこのような薬は要らないと寝込んでしまい、帝も同じく輝夜無きこの世に不死となって生きながらえようと何の意味があろうか、と仰って最も月に近いこの山で燃やせと命令した。その勅使として目の前の岩笠が選ばれたらしい。 | 这是蓬莱山辉夜在回到月亮上的时候,为养育自己的老翁和给添了不少麻烦的天皇留下的谢礼。老翁说自己并不需要这种东西,而后一病不起,天皇也认为既然辉夜已经不在这个人世之间,即便自己不老不死也没有任何的意义,于是决定在这个最接近月亮的地方将灵药烧掉。而眼前的岩笠便是被选为执行这道命令的人。 |
不老不死の薬。その薬が目の前にあって手を出さない翁と帝。私には理解しがたい物であった。その疑問は岩笠も予想していた。兵士達が不老不死の薬の事を知っていたら、この勅命は遂行出来ないと思い誰にも伝えなかったのだという。 | 不老不死之药。在这样的灵药面前竟然选择放弃的老翁和天皇。我当时非常难以理解。对于这种困惑,岩笠显然已经事前想到。他说就是因为如果让士兵们知道那是不老不死之药的话,怕这道圣旨会难以执行才没有告诉任何人。 |
もし兵士達が不老不死の薬が目の前にあるという事を知っていたら何が起こるだろうか。恐らくその薬を奪って飲むなんて愚かな事はしないだろう。今の貧しく苦しい生活が永遠に続くなんて以ての外だからだ。 | 如果这些士兵知道不老不死药就在眼前的话又会发生什么事情呢。恐怕他们应该不会做争着抢着将灵药搞到手喝下去这种蠢事吧。毕竟像现在一样的贫苦的生活永远延续实在令人难以容忍。 |
不老不死を欲しがる者は裕福で生活に不自由しない者である。しかし心の貧乏人にとって不老不死の薬は、それをネタに莫大な富と地位を得る事が出来る金の | 希望不老不死之人都是那些生活富裕没有一点不自由的人。但是对于那些精神世界贫乏的人来说,不老不死之药是用来当作踏脚石,以此获得莫大的财富与地位的生财之药。 |
兵士達は我こそがとその薬を奪い合い、最悪殺し合いを始めてしまうかも知れない。こっそり偽者にすり替えられたりするかも知れない。岩笠はそれを恐れて勅命の詳細は誰にも伝えなかったのだと言った。 | 士兵们搞不好会为此互相争夺,甚至互相杀戮也不一定。也可能会偷偷将药调包也不一定。岩笠说他就是害怕事情会发展成那样才没有将圣旨的详细内容告诉任何人。 |
「その夜は異様な空気に包まれたよ。みんなで円陣を組み真ん中に壺を置いた。周りの人間が信用出来なかったのか、自然と誰か二人以上が順番に壺を見張るようになった」 | “当天晚上大家都被包围在一片异样的气氛之中。大家都围成一个圆圈,将药置于中间。恐怕那时谁都不再信任旁边的人了吧,很自然的一直都有两个以上的人轮流看守着那个壶。” |
最初のうちは緊張で眠れなかったのだが、山を登った疲れから次第に口数も少なくなり、私は気を失うように眠っていた。 | 虽然最开始因为紧张不能入睡,但是因为登山带来的疲劳感,渐渐地话变少了,我失去了意识睡着了。 |
『……なさい』 | “请醒醒……” |
私は誰かの呼ぶ声で目が覚めた。声の主はあの咲耶姫だった。 | 我因为某人叫我的声音醒了过来。而声音的主人就是那个咲耶姬。 |
『……貴方とあの男が眠っている間にこの愚かな人間達は、壺を自分の物にしようと殺し合いを始めてしまいました』 | “……在你和那个男人睡着的时候,其余的那些愚蠢的人类为了将灵药据为己有而开始自相残杀。” |
目が覚めた私は絶句した。辺り一面血の海だった。 | 睁开眼睛后的我震惊了。周围已经变成了一片血的海洋。 |
「私は余りの出来事に冷静に物事を考えられなかったんだ。咲耶姫は兵士達が殺し合いをしたと言ったが、今思えば現場の状態はそんな生易しいものではなかった。中には躰が焼け爛れたりしていた者もいた。壮絶な戦争が起こったか、もしくは何か得体の知れない怪物の様なものに襲われた感じだった。そんな中、私と岩笠だけ寝続けたなんて有り得ないじゃないか」 | “我因为眼前所发生的巨大变故而失去了冷静思考的能力。虽然咲耶姬说士兵们是自相残杀,但是现在回忆起来当时的情况一定没有她说的那么简单。在那当中有些人的尸体被烧得体无完肤。感觉就好像是发生了一场壮绝的战争,要么是被什么可怕的怪物袭击了一般。而在这样惨烈的争斗之中,只有我和岩笠一直熟睡不是根本不可能的吗。” |
「つまり貴方は咲耶姫が兵士達を殺した、と思うのですね?」 | “也就是说你认为是咲耶姬杀了那些士兵,是这样吗?” |
「そう。恐らく咲耶姫が私と岩笠を残して他の兵士達を殺したんだと思う。自分の山で不老不死の薬を捨てさせない為か、それとも誰かが飲んでしまわない様にか……。私と岩笠を残したのはこの後の咲耶姫が私達にやって欲しい事があったからではないか」 | “是的。恐怕就是咲耶姬她留下我和岩笠杀掉了其他的士兵们。也许是为了不让我们在她自己的山上将不老不死之药丢掉,也可能是为了不让任何人吃下那药吧……而留下我和岩笠是因为接下来咲耶姬她还有事情要让我们来办吧。” |
咲耶姫は岩笠にも声をかけ起こした。岩笠はショックの余り言葉を失い、もう勅命を遂行する事は不可能だと悟って咲耶姫の言葉を鵜呑みにしていた。 | 咲耶姬也将岩笠叫了起来。岩笠因为过于震惊而说不出话来,当领悟到已经无法再完成圣旨后也轻信了咲耶姬的话。 |
咲耶姫は目の前が闇に包まれた私と岩笠に語り始めた。 | 咲耶姬对在她面前被包裹在黑暗之中的岩笠和我说道。 |
『その薬は愚かな人間を狂わす物です。ほら、誰も口にしていないのに周りは不幸になってしまいました。この様な薬を供養する事は私も賛成なのですが……しかし私の手にも余る代物なのです。ですからどうかこの山で供養する事は控えて欲しい』 | “这个药是能够令愚蠢的人类疯狂的东西。你看,还没有一个人服下就已经给周围带来了如此的不幸。虽说将这个药供奉起来我也十分赞成……但这不是我的力量能够做到的。所以希望你们不要将药供奉在这座山上。” |
岩笠は暫く考え込んでいたが、咲耶姫に勅命の内容を伝え始めた。 | 岩笠稍微考虑了一会儿之后,对咲耶姬将圣旨的内容说了出来。 |
「私は月に最も近い所で、この薬を燃やしてこいと言われた。ここより高い場所などあるものだろうか、この山より高い山などあるものだろうか」 | “天皇命令我在距离月亮最近的地方,将这个药烧掉。哪还有比这里更高的地方了呢,哪还有比这座山更高的山了呢?” |
『そうですか。ならば良い場所があります。この山より北西へ向かうと八ヶ岳と呼ばれる醜い山があります。そこに私の姉が住んでいます。姉は不死、不変を扱う神ですから、供養して貰うには丁度良いでしょう』 | “是这样吗。这样的话其实有个好地方呢。向着这座山的西北方前进就能看到一座叫做八岳的丑陋山峰。我的姐姐就住在那里。姐姐是掌管不死不变的神,所以这东西供奉在那里最合适不过了。” |
「しかし、八ヶ岳では高さが足りないのではないか。この山に比べたら随分と低いのではないか」 | “但是,八岳山的高度不是不够吗。跟这座山相比不是要矮上很多吗。” |
『いいえ。実は昔は私の山より高かったのです』 | “不。实际上那座山在以前是比我这座山还要高的。” |
「ええ? そんな話は初耳だが……」 | “哎?那种事情我还是第一次听说……” |
『その昔あの山とちょっと喧嘩しましてね……ま、そんな話は置いておいて、ともかく、山の格としては十分ですし、月までの距離はもしかしたらこの山よりも近いのかも知れません』 | “过去曾经和那座山发生过一些争执呢……算了,这种事就不用提了,总之,从山的级别上来说是足够的,也许与月亮之间的距离比这里还要近呢。” |
「そうか……。では早速下山し、八ヶ岳へ向かう計画を立てよう。うちの部下が迷惑をかけて済まなかった」 | “是吗……那么我便立刻下山,考虑前往八岳的计划吧。我的部下给您添了麻烦,实在是非常抱歉。” |
岩笠が震える声でそう言うと咲耶姫は安心し、山の火口へ姿を消した。 | 岩笠声音颤抖着那么说道,咲耶姬也就安心下来,身形在火山口处消失了。 |
「それからの下山は酷く暗いものだった。岩笠は重たい壺を担ぎ、私の方を見ようともせず先頭を歩いていた。何の会話も無かったね」 | “接下来的下山是非常的黑暗的事情。岩笠背起沉重的壶,看也没看我一眼走在前面。我们也没有任何交谈。” |
重たい沈黙が続いた。変化の無い景色、達成感の無い登山。私は岩笠が背負っている壺と足下の岩場を交互に見ていた。それ位しか目に入ってこなかった。 | 沉重的沉默一直持续着。毫无变化的景色,没有任何达成感的登山。我在岩笠背着的壶和脚下的岩石之间望来望去。在我的眼中只剩下了那些。 |
「小さな人間は魔が差すって事があるんだよね。ふと私は自分の目的を思い出したんだ。そもそも私はこの壺を奪う事が目的だった。そしてその壺は目の前にある。今なら——」 | “渺小的人类很容易被邪念占据头脑。就在那个时候我一下子想到自己来到这里的目的。我原本是打算来抢夺这个壶的。而现在那个壶就在跟前。趁现在——” |
そう思ったが、岩笠には何の恨みもない。それどころか助けてくれたし感謝もしている。その男から壺を奪って逃げるなんて……。 | 可是虽然我是这样想,但是我对岩笠却没有任何的怨恨。而且我还对他帮助我的事心存感激。要我从他的手中抢走壶然后再逃跑…… |
しかし、私は咲耶姫の言ったある言葉が頭に付いて離れなかった。 | 但是,咲耶姬说的某个词却浮现在我的脑海里,一直挥之不去。 |
その言葉は現実を非現実へと変える。 | 那个词能够将现实转变为非现实。 |
何か耳の辺りが綿のような物で覆われるような、何か小さい穴の空いた布を被って遠くを覗いているような不思議な感覚。 | 耳朵就好像被棉花一样的东西包裹住了一样,又仿佛透过一块布上的小洞窥视远方一般,那种不可思议的感觉。 |
後先考えずに動いても永遠の時間でどうにかなりそうな魔法の言葉。 | 就算不计后果的行动也能够通过永远的时间加以弥补的充满魔力的词藻。 |
——不老不死。 | ——不老不死。 |
「気が付いた時には、急な下り坂で岩笠の背中を思いっきり蹴飛ばしてたよ。そして壺を奪って逃げた」 | “当我再次回过神来的时候,已经向在陡峭的下坡走着的岩笠背后狠狠地踹去,然后一把抢过那个壶逃掉了。” |
——夜の竹林は何か出てきそうなおどろおどろしさがあった。 | ——夜晚的竹林之中充满了一种随时都会冲出什么东西来的可怕感觉。 |
でも人食い狼が出ようと、怨霊が出ようと私には怖さは感じられない。 | 但是不论是食人狼也好,还是出现怨灵也罢,我都感觉不到任何恐怖。 |
私は死ぬ事を恐れなくなった。 | 我已不再害怕死亡。 |
私は飢える心配も必要無くなった。 | 我已不必担心饥饿。 |
その私が、今、何かに怯え足早に永遠亭に向かっている。 | 可就是这样的我,现在却害怕着什么而加快脚步飞速地向着永远亭赶去。 |
そうだ、不老不死の私が退屈しないで生きていられるのは、 | 是的。身为不老不死的我之所以能不会感到无聊地活着,就是因为我有 |
不老不死の恐怖は永遠の孤独。罪の意識にさいなまれる永い現実。 | 不老不死的恐怖是永远的孤独。被罪恶的意识所折磨的永恒现实。 |
それを共感出来るのは、同じ | 而和我拥有同感的人,只有与我有相同 |
私が不安に思っている事、それは『宿敵が永遠に居なくなってしまう』事だ。 | 令我感到不安的事情,就是“宿敌永远不在了”。 |
その宿敵は千三百年前に月に帰ると言っていた事を思い出した。だから、吸血鬼が月に行くって話を聞いた時から嫌な胸騒ぎがしていたのだ。 | 我想起那个宿敌在一千三百年前曾经说要回到月球去。所以当我听到吸血鬼说要到月亮上面去的时候,内心里才会感到那样的不安。 |
そして今日。その吸血鬼達のロケットがついに発射した。 | 而就在今天。吸血鬼的火箭终于发射了。 |
地上の生き物が月に行く、いや月の民が月に帰る手段がまた一つ増えたのだ。 | 地上的生物前往月球。不,应该说月之民回归月亮的手段又增加了—个。 |
永遠亭の明かりが見えてきた。その明かりを確認すると、少しだけ安心した。 | 永远亭的灯光依稀可见了起来。当我确认了那里的灯光之后,心才稍稍的放了下来。 |
「——不死になってから三百年位死ぬほど後悔したよ。まあ死ねないんだけどね。何であんな事をしてしまったんだろうと」 | “——成为不死身之后,我后悔了三百年,恨不得自己马上去死。当然是死不了的。一直在想当时我为什么会做出那种事情。” |
「辛い記憶を呼び戻させてしまった様ですね。私が咲耶姫の名前を出したが為に」 | “看起来我似乎勾起了你非常痛苦的回忆。都是因为我提到了咲耶姬这个名字。” |
「いや気にする事ではないよ。もう大昔の話だ。ところで何でこんな話に……」 | “不,请不要在意。已经是很久很久以前的事了。不过话说回来为什么会提到这个……” |
「妖怪の山の話から、咲耶姫の話になったのです」 | “因为你问我妖怪之山的事情,所以会提到咲耶姬。” |
「妖怪の山の話……? ああそうだったね。確か……えぇっとー」 | “妖怪之山的事……?啊啊,对了对了。确实……什么来着ー” |
「妖怪の山は石長姫の山なのです。石長姫は咲耶姫の姉ですのでつまり」 | “妖怪之山是石长姬的山。石长姬是咲耶姬的姐姐,也就是说” |
「咲耶姫の姉……? 何処かで聞いたようなって、そうかなるほど」 | “咲耶姬的姐姐……?我就觉得好像在哪听到过,原来如此。” |
私が奪った不老不死の薬は、本来は岩笠の手によって妖怪の山で供養される予定だったという訳か。 | 我所夺走的不老不死之药,本来予定应该是由岩笠之手放在妖怪之山上供奉起来的吗。 |
「という事は、妖怪の山は八ヶ岳なのか?」 | “这么说来,妖怪之山就是八岳山了?” |
「単純に八ヶ岳、という訳でも無いのです。八ヶ岳は大昔、富士山と同じくらい高い山でした。ある時、八ヶ岳と富士山はどちらが高いのか喧嘩になったのです。そして | “并不是单纯的八岳山。八岳山在很久以前是和富士山高度相当的山峰。有一天,关于八岳和富士山究竟谁高引发了一场争执。结果最后就在两座山顶架起一个水管,通过水流的方向来判断山峰的高度。因为水会流向低处,所以谁高就一目了然。当水管架好水流实际流动的时候发现,水流是向着富士山方向流动的。也就是说和富士山比起来,八岳更高一些” |
「八ヶ岳ってそんなに高い山だったかなぁ」 | “八岳竟然是那么高的山吗?” |
「富士山に住んでいた咲耶姫は、最も美しい私より高いなんて許せないと、八ヶ岳を砕いて低い山にしてしまったのです」 | “结果住在富士山的咲耶姬以,‘不能允许比最美丽的我还要高’为由,将八岳山粉碎使其变成了矮山。” |
「……豪快だねぇ」 | “……真是豪爽的性格啊。” |
「しかし姉の石長姫は咲耶姫の性格に嫌気が差し、八ヶ岳へ移住してしまいました。石長姫は不変を司る神様ですので、今の富士山には不尽の力はありません。富士山が噴火活動を止めてしまったのにはこういう理由があるのです。そして幻想郷の霊山、妖怪の山は咲耶姫に破壊される前の八ヶ岳本来の姿、だと思われます」 | “但是姐姐石长姬却因为看不惯咲耶姬的这种性格,于是便移居到八岳山上去了。因为石长姬是掌管不变的神,所以自从她离去之后富士山也就失去了无尽之力。富士山之所以不再喷发这也是原因之一。而幻想乡之中的灵山,妖怪之山基本就被认为是受到咲耶姬破坏以前的八岳山本来的样子。” |
「そうなのか……私があの煙に見覚えがあったのは、あの煙は元々富士の山の煙だったという訳ね。いつの間にかそんな山の近くで暮らしていたとは、これも因果応報……か」 | “原来是这样吗……难怪我好像看到过那种浓烟,原来就是富士山曾经发出过的烟雾。竟然在不知不觉中又生活在距离那个山如此之近的地方,难道说这就是因果报应吗……” |
慧音はこれが私の知っている妖怪の山に纏わる歴史です、と言って話を終えた。 | 慧音说这就是自己所知道的所有关于妖怪之山的历史,然后便结束了讲话。 |
——永遠亭に辿り着いた。 | ——终于抵达永远亭。 |
勿論、私は表から堂々と入る事は出来なかったが、窓から様子を見てやろうと考えていた。 | 当然,我无法堂堂正正地从正门走进去,于是打算从窗户这边悄悄地观察一下情况。 |
月の都に幻想郷の妖怪が向かおうとしている。 | 幻想乡的妖怪们正打算向月之都进发。 |
あんなロケットで無事に辿り着けるのだろうか? | 可是用那种火箭真的能够平安抵达吗? |
月の都に行ったってどうせコテンパンにされて逃げ帰ってくるだけじゃないのか? | 说是去月之都,反正只是被打个落花流水再逃回来吧? |
先日のロケット完成パーティではそんな事を考えていた。 | 在前几天的火箭完成宴会上我一直在思考这些问题。 |
しかしその時は肝心な事を忘れていた。 | 但是那个时候我忘记了一件非常重要的事情。 |
唯一の宿敵である輝夜は月の民であると言っていた。そして私が不老不死になってしまうきっかけは、輝夜が月に帰ると言って不老不死の薬を残したからである。 | 我唯一的宿敌辉夜据说就是月之民。而且使我成为不老不死之身的一切事件的起因,就是因为辉夜她说要回到月球而留下了不老不死之药。 |
つまり私が心配すべき事は、月に行く手段があるという事は輝夜が月に戻ってしまうのではないか、だけであった。 | 也就是说我所应该关心的事情是,拥有了前往月亮的方法,那辉夜会返回月亮吗,只有这一点而已。 |
永遠亭の窓は他の幻想郷の建物とは異なり丸い窓をしていた。満月を表しているのだろうか。それとも月の都の建物はみんなこんな形をしているのだろうか。 | 永远亭的窗户和幻想乡其他建筑物的窗户不同,是圆形的。难道是代表满月的意思吗。还是说月之都的建筑都是这个造型呢。 |
永遠亭の窓から話し声が洩れてくる。どうやらみんなが集合しているようだった。 | 从永远亭的窗户里面传来说话的声音。听起来似乎大家都在里面的样子。 |
空には吸血鬼のロケットと思われる光の筋が見えている。 | 天空中能够看到一道应该是吸血鬼的火箭所发出来的光线。 |
見つからないように細心の注意を払いながら、出来るだけ近づき聞き耳を立てた。 | 我尽量一边蹑手蹑脚地不被里面的人察觉,一边尽可能的靠近听里面都在说些什么。 |
「……月の侵略者は、あの吸血鬼だったのね……」 | “……月之侵略者,就是那个吸血鬼吧……” |
部屋の中から話し声が聞こえてくる。どうやら窓から外を見ているらしい。私は慌てて窓の下に身を小さくして隠れた。 | 能够听到房间中传来的说话声。似乎里面的人正透过窗户向外面望去。我慌忙将身体缩到窗户下面躲了起来。 |
「……あんな付け焼き刃のロケットで月なんて行って大丈夫かしら?」 | “……那种临阵磨枪的火箭,真的能够飞到月亮上去吗?” |
輝夜の声が聞こえてきた。吸血鬼のロケットの話をしていた。やはり月の民だからロケットが気になるのだろうか。安全なロケットが開発されれば、月の都に帰ろうとか考えているのだろうか。 | 辉夜的声音传来。似乎是在说吸血鬼的火箭。果然作为月之民对于火箭很在意吗?如果能够制作出安全的火箭的话,那么便可以考虑返回月之都了吧。 |
話の内容からすると、吸血鬼のロケットは永遠亭の者が考えた代物では無く、吸血鬼に誰かが入れ知恵して完成した物らしい。 | 从她们谈话的内容来看,吸血鬼的火箭似乎不是永远亭的那些家伙所设计出来的,而是有什么人给吸血鬼从旁指点完成的。 |
その目的は月面侵略——の噛ませ犬といったところか。つまり吸血鬼達は誰かに踊らされているに過ぎないのだろう。 | 目的是让她们当月面侵略——的诱饵吗。也就是说吸血鬼们不过是被某个人操纵了而已。 |
「……月に辿り着いたら後悔するでしょうね。あの吸血鬼達」 | “……登上月亮以后一定会后悔的吧。吸血鬼那帮人。” |
「……ま、何の対策を取らなくても最初から戦力差は絶対だったと思うけどね。依姫とあの吸血鬼&三馬鹿トリオじゃ」 | “……嘛,就算不采取任何的对策,从一开始战斗力的差距也是绝对的。依姬和吸血鬼还有那笨蛋三人组的话。” |
三馬鹿トリオ? あの巫女と魔法使いとメイドの顔を思い出して吹き出しそうになった。確かに脳天気そうだ。 | 笨蛋三人组?脑中浮现出那个巫女与魔法使还有女仆的样子差点笑出声来。看起来确实没头脑。 |
「……さあさあ、大きなロケット花火も見えなくなった事だし、月の話はもうおしまい」 | “……好了好了,巨大的火箭烟花也已经看不见了,月亮的事就告一段落吧。” |
「……そうね。私達はもう永遠に地上の民なんだから」 | “……是啊。反正我们已经永远都是地上的居民了。” |
石長姫が不尽の煙を吐いているという妖怪の山。 | 据说因为石长姬而发出无尽之烟的妖怪之山。 |
私が咲耶姫の指示通りあの山に不死の薬を供養していたら、いったいどうなっていたのだろう? | 如果我按照咲耶姬的指示将不死之药供奉在那座山上的话,事情又会变成怎样呢? |
罪業の深さに悩まされる事もなく、短い一生を終えたのだろうか。 | 我将会不用被罪孽所纠缠,过完短暂的一生吗。 |
輝夜に対する恨みを抱えたまま、暗い一生を終えたのだろうか。 | 还是会怀着对辉夜的恨意,度过阴暗的一生呢? |
ただ間違いなく言える事は、あれから千三百年以上経った今の時代を私が見る事は無かったという事。 | 不过可以肯定的是,我将无法目睹自那以来一千三百年过后的现在这个时代。 |
そして、同じく不死の人間が孤独な思いをしていたであろうという事。 | 以及,同为不死之身的人会感到孤独吧这一点。 |
私は輝夜が月に帰るのではないかという心配をする事を止めた。帰りたいのだとしても私が何か言えた義理でもないし、何となく、輝夜はもう月の都に帰る事は無い様な気がしたからだ。 | 我不再担心辉夜她是否打算回到月球了。就算她真想回去我也没资格说什么,我总觉得,辉夜她似乎已经不打算再回到月之都去了。 |
それに、この幻想郷には他にも不死の仲間が居る事を思い出した。 | 而且,我想起在这片幻想乡的土地上还有其他不死的同伴。 |
——妖怪の山 | ——妖怪之山。 |
私はいつか妖怪の山に登ろうと思う。今は天狗や河童等の山の妖怪が占拠し、簡単には登れなくなってしまったが、あそこには不死を司る神様が居る。 | 我打算总有一天要攀登一下妖怪之山。虽然现在那里被天狗和河童占据着没有办法轻易上去,但是那里却居住着掌管不死的神。 |
そこに登り、私が不死に至った経緯を彼女に打ち明け、千三百年も登頂が遅れてしまった事、また岩笠の事を詫びようと思う。 | 登上那里,向她阐述我变成不死身的全部经过,并为这迟到了一千三百年的登顶,以及岩笠的事情向她道歉。 |
私は何か清々しい気分で永遠亭を後にした。 | 我带着一种莫名的轻松心情离开了永远亭。 |
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注解