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__DIALOGUE__
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narrator
ja
　壁の様に見えたそれを、私は全く恐怖せず進んだ。壁は壁ではなく、全くの幻影だった。強いていうなら蜃気楼か何かであったような感覚だ。
zh
　我毫不畏惧地向着看上去是墙壁的东西走去。墙壁并非墙壁，完全就是幻影。或者说，像是海市蜃楼一样的感觉。
char
？？？
ja
「………待たせ過ぎだ、愚か者が」
zh
「………蠢货，让我好等。」
narrator
ja
　壁を抜けた先では、まず第一声に罵倒が聞こえてきた。さっきまでの穏やかな空気はもう忘れた。
zh
　穿过墙壁，听到的第一个声音就是谩骂。刚刚那平静的气氛不知哪里去了。
char
？？？
ja
「…とは言うものの、人間をしてここまで来たことについては見事だと誉めておこう。やはり私が見込んだだけのことはある」
zh
「…话虽如此，人类能来到这里还是挺值得称赞的。果然如我所料。」
narrator
ja
　虚無の壁の向こう、小箱のような部屋、そこには一人の女性が居座っていた。黒と飾り金の着物、こちらを見る鋭くも妖艶な瞳、そして、圧倒的な雰囲気…さっきの二人とは全く違う空気を感じる。
zh
　在虚无之墙的对面，像是小箱子一样的房间里，有个女性坐在那里。金色杂以黑色的衣服，看向这边的妖艳的眸子，以及庞大的压力…与刚刚那两人的气氛完全不同。
char
？？？
ja
「やっと来てくれたな。ここに来るまで何回私の妹たちと闘った？一度や二度ではないだろう？」
zh
「你来了。来此之前和我的妹妹们战斗过多少次了？不止一两次吧？」
narrator
ja
　彼女の言葉に、自分の記憶が音を立てて身体の中に染み渡るのを感じた。そう、ここに至るまでに私は何度もこの海恵堂を訪れている。もう数えるのも面倒な程に私はここに来ているのだ。
zh
　她的话，让我感觉自己的记忆嘎吱一声，逐渐浸透全身。到这里之前我造访过无数次海惠堂。我来的次数已经计不胜计了。
char
？？？
ja
「さて、お前が記憶を取り戻した所で、自己紹介をさせてもらおう。お前がさんざん相手にしていた妹たちの長姉…名は尾張という」
zh
「那么，就在你恢复记忆的时候，我来个自我介绍吧。我是和你战斗的妹妹们的长姐…名字是尾张。」
ja
"海"のエルダーシスター
海 尾張/Kai Owari
zh
“海”之长姊
海尾张/Kai Owari
char
主人公
ja
「…どうも」
zh
「…你好。」
narrator
ja
　言葉が出てこない。なだれ込んできた記憶と、何よりこの尾張さんの雰囲気が口を封じている。恐怖とも畏敬とも何もかもが違う。この動きづらさは何だろう？
zh
　难以启齿。记忆不断流入，更重要的是尾张的气质让我无法开口。并非恐怖，也非敬畏，都不是。为什么我动弹不得呢？
char
尾张
ja
「何はともあれ、ここまで来てくれた事、海(かい)の長姉としてお礼を言わせてもらう。これが一発での到来であれば、私が酌をするところだが…」
zh
「不管怎样，你能来到这里，作为海之长姊不得不道声谢。若是你能一次到此，我倒是可以为你酌一杯酒…」
narrator
ja
　そう、ここに来るまでに、私はこの海恵堂を少なくとも１００回以上訪れている。しかし、この部屋にたどり着いたのは今回が初めてだ。なぜ私は何度も来たのか…そして、なぜ私が来たのか…？
zh
　是的，来到这里之前，我少说也造访了海惠堂一百多次了。然而这还是第一次能来到这个房间里。为什么我会来这么多次…还有，为什么我会过来…？
char
尾张
ja
「さて、訳を知りたいと顔に出ている客人に全てを明かそうか」
zh
「那么，我要为一脸求知欲的客人揭开全部真相了。」
narrator
ja
　尾張さんはそう言って手を二度叩く。すると、今までに出会った尾張さんの妹たちが続々と集まり始めた。
zh
　尾张说完，拍了两次手。然后，之前见过的尾张的妹妹们陆续集中过来。
char
花锦
ja
「やはり、姉様どしたか」
zh
「果然是姐姐大人啊。」
char
风花
ja
「お客様が亀の話をしたときから気にはなってましたが」
zh
「客人提到乌龟的时候我就有所感觉了。」
char
金流
ja
「尾張姉様が…この人つれてきてたんだ…へぇ………」
zh
「是尾张姐姐大人…把这个人带过来的啊…嚯………」
char
色叶
ja
「あっ、この人知ってる！今日私たちの前にやって来た人！」
zh
「啊，我认识这个人！是今天过来的那个！」
char
津岛
ja
「あんた、素で忘れてるわね」
zh
「你居然真的忘了啊。」
char
尾张
ja
「何人かの妹には事情を説明した。ただし、思ったことが口に出る子達は乙姫様の因果に巻き込ませてもらった」
zh
「我给很多妹妹们都解释过。但是说话不经大脑的孩子们，都被卷入乙姬大人的因果里了。」
char
主人公
ja
「一体、何をさせたかったんだ？」
zh
「到底是要我做什么？」
narrator
ja
　私が尾張さんに質問すると、尾張さんは一呼吸置いてゆっくりと話し始めた。
zh
　我问尾张。尾张深呼吸一口，缓缓讲起。
narrator
ja
―――この海恵堂が生まれて幾年が経つが、海恵堂は僅かに人に知られるだけで、その力を確たるものとはしなかった。海神様も我々人魚なる妖かしも、その力の根源は人間の認知だ。知る人間がいなくなれば自ずと消え去る。
zh
———自从海惠堂诞生以后，过了这些年，海惠堂只有极个别人知晓，其力量也越发不清晰。海神也好我们人鱼妖怪也好，力量的根源都是人类的认知。没有知道的人类，自己就会消失。
char
尾张
ja
「海恵堂は、それを知覚する人間を減らしている。このままでは我ら姉妹はともかくお母様にも迷惑がかかる」
zh
「海惠堂，知道它的人越来越少了。再这样下去，我们姐妹且不提，甚至连母亲也会有麻烦。」
char
海琴
ja
「だから、この娘たちは私に具申してきたのです。"御母様のために私たちで出来ることをさせてください"と…」
zh
「所以这些孩子们向我申请。说“为了母亲大人，我们也要尽力”…」
narrator
ja
　私の後ろから、先程見かけたばかりの青い女性が現れた。その瞬間、立ち並んでいた妹たちが一斉に跪いてその青い女性に向かった。
zh
　在我身后，刚刚才见过的蓝女人出现了。下一秒，站着的妹妹们一齐朝蓝女人跪了下来。
char
海琴
ja
「ご紹介が遅れました。この海恵堂の海神"八尾比 海琴"です」
zh
「自我介绍迟了些。我是这海惠堂的海神，“八百比海琴”。」
narrator
ja
　そう言ってにっこりと微笑む。待った、海神と言うことは神様じゃないか。そんなお方がなんでこんな人間に…？
zh
　她微笑道。等等，海神，也就是说神明？神为什么会像把我这个人类…？
char
尾张
ja
「お前をを<ref>赘文</ref>寄越したのはお母様ではなく私だ。お母様は私の具申を聞き入れただけに過ぎない」
zh
「让你过来的不是母亲，而是我。母亲只是接受了我的申请而已。」
char
主人公
ja
「そ、それでも待って！どうして私に？だって私はっ………！」
zh
「但、但还是等一下！为什么是我？我可是………！」
char
尾张
ja
「そうだな。"入水しようとしてた自分を"どうして？って思っているのだろう」
zh
「是啊。你会想，“为什么是想要投水自杀的我”吧？」
narrator
ja
　尾張さんの言葉にはっとして、自分があの浜辺で何をしていたかを思い出す。
zh
　听了尾张的话，我恍然回想起自己在那个沙滩边到底是要做什么了。
char
尾张
ja
「そんな人間なら、自分の生の終わり間際に見た光景を忘れないだろう？だから私はお前に賭けたんだ。その記憶をもっていつまでも忘れないような…海恵堂を忘れない一人の人間を欲したのだよ」
zh
「这样的人类，在自己濒死之际看到的光景，是不会忘记的吧？所以我赌在你身上了。我需要一个有着这种记忆，永远不会忘记…永远不会忘记海惠堂的人类。」
narrator
ja
　自分が何をしようとして浜辺にいたのか、そしてなぜ自分がここにいて、この人ならざる者達と相対しているのか…それが、少しずつ組み上がっていくのを感じた。そして、完成したパズルを頭で眺めながら、吐き出すように問うた。
zh
　自己到底是为什么会在那个海滨，为什么自己会在这里，以及为什么会和这些非人者面对面…我感觉，终于渐渐连成一片了。一面看着自己脑海中拼好的拼图，我一边倾吐也似的问道：
char
主人公
ja
「…私はもう、この世界に独りだけなんだ。そんな人間に覚えててもらって…嬉しいのか？」
zh
「…我在这个世界上，已是孑然一身了。被这种人类记忆…你们真的开心吗？」
char
海琴
ja
「あなたの事は海の底から見ていました。確かにあなたはもう独りでしょう。けれどあなたのような人は一人ではありませんし、何より私たちもあなた一人に頼る事になります。我々も孤独の当事者になりかけています」
zh
「我在海底一直看着你。确实，你可能是孑然一身吧。但像你一样的人类非止你一人，而且我们也只拜托你一个人而已。我们也是同样是孤独的人啊。」
char
尾张
ja
「だからこそ、同じ孤独の当事者同士で、それぞれの存在を賭けたんだ」
zh
「正因此，同样是孤独的人，我们才要赌上彼此的存在吧。」
char
主人公
ja
「………それで、私に何をしろと？海神崇拝でもすればいいのか？」
zh
「………于是，找我要做什么呢？要我崇拜海神吗？」
narrator
ja
　私の言葉に、海神様と尾張さんが首を横に振った。
zh
　海神大人和尾张都对我摇摇头。
char
尾张
ja
「何をする必要もない。あなたが私達を気に入ったのならここに来るのもいいだろう」
zh
「什么都不必做。你还在乎我们的话，来这里就好了。」
char
海琴
ja
「あなたが自ら海を潜って、この海恵堂に来たのなら、私たちはあなたを歓迎しましょう」
zh
「如果你自己潜入海里，来到海惠堂，我们会欢迎你的。」
char
尾张
ja
「ここに来なくてもいい、これから地上に帰るのならあとの事は気にしなくていい。もし入水の続きをしたとしても、私たちはお前を責めはしない」
zh
「不来这里也没关系，如果要回到地上，不必在乎我们也可以。即便依旧打算投水自杀，我们也不会责怪你。」
char
海琴
ja
「元は私たちが勝手に起こした騒ぎです。それで、我々の存在が消滅するのならそれもまた因果と言うものです」
zh
「原本就是我们擅自引发的事件。而要是我们的存在消灭了，那也算是一种因果吧。」
char
尾张
ja
「ただ」
zh
「只是」
char
海琴
ja
「一つだけ」
zh
「只有一件事。」
narrator
ja
―――願わくは、私達を忘れないでほしい。どうか、その命の終わりの時まで
zh
———希望你不要忘了我们。直到你生命的尽头。
char
尾张
ja
「お母様」
zh
「母亲」
char
海琴
ja
「えぇ」
zh
「嗯」
narrator
ja
　二人が目配せをして、尾張さんが前に出る。
zh
　两人对视一眼，尾张前出一步。
char
尾张
ja
「さぁ………あなたの記憶に、私たちの存在を刻もう。もうあなたの記憶を書き換える必要はない。これから起きる事を…すべてあなたの記憶にっ………！」
zh
「来吧………请将我们的存在，刻进你的记忆里吧。已经没必要再覆盖你的记忆了。之后将发生的事情…全都会是你的记忆………！」
narrator
ja
　そう言って、尾張さんが床を蹴りあげて飛び上がる。その瞬間、辺りの光景が一面水に満たされ、壁も扉も、全てが泡となって消えた。すぐさま息を止めたが、少ししてから呼吸ができることに気付いた。


―――我、八尾比の眷属として、白椿に賭けてこの人間と踊る。


―――妹たちよ…海の長姉の生きざまを、その目に焼き付けよ。


―――そして人間よ…海恵堂の真なる踊りの一端を、その身に刻み込め。


　空を飛ぶような感覚の中で、私は最後の踊りに混じった。
zh
　说完，尾张踩了一下地面，跳起身来。那个瞬间，周围的光景遽然被水所充斥。墙也好，门也好，都如同泡沫一样消失了。我立刻屏住呼吸，但很快就注意到自己是可以呼吸的。


———我，八百比的眷属，赌上白椿<ref>八百比丘尼的代表花朵。</ref>与这个人类跳舞。


———妹妹们啊…海之长姊的模样，烙在视网膜上吧。


———而人类啊…将海惠堂的真正舞蹈的一角，刻在你的心里吧。


　如同飞天一般的感觉里，我加入了最后的舞蹈。
ja
BGM: {{宴之从者音乐名|2|15}}
zh
BGM: {{宴之从者音乐名|1|15}}
xx

== 注释 ==
<references />

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[[分类:同人游戏对话]]