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幽世滝留譚 ~ Near Death Experience

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本页是关于东方Project
二次创作同人专辑的词条

专辑信息

Informazioni di Base
Immagine di Copertina
Titolo 幽世滝留譚 ~ Near Death Experience
Traduzione 幽世泷留谭 ~ Near Death Experience
ProduttorethyumenikkiImmagine di Copertina
Data2020-07-04 (第十二回 東方ニコ童祭
Tipo全长
Rating一般向
Dischi1
Tracce10
Durata42:05
GenereRock,其他电子
PrezzoPrezzo nei Negozi: Gratis
Sito Webhttps://twitter.com/Kanade_KND34/status/1279356979572436994

Staff

Compose

Arrangement

Design
Illustration
こんぶ,ラルム
通贩信息
官方通贩Booth

试听

曲目列表

01幻想のリフレーミング04:21
Arrangiamento風雲
Titolo Originale
02永遠の春夢03:36
ArrangiamentoBurnyuho
Titolo Originale
03幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble05:27
Arrangiamentoラルム
Titolo Originale
04ネクロマンテイオン04:03
Composizione或兎あめん
05不朽の曼珠沙華04:37
Arrangiamento朧月
Titolo Originale
06顕世に伝う異聞奇譚04:07
Composizione古明地かなであめん
07鶴の千年、亀の万年04:26
Composizioneあめん
08法界の火04:33
Arrangiamentoえばん
Titolo Originale
09カミオカンデの波04:16
ComposizioneDO
10花は幻想のままに02:39
Arrangiamentoこまいぬ
Titolo Originale

附带故事

1.幻想のリフレーミング
1.幻想再构造
Reflecting of illusions
Reflecting of illusions
 「さて、次はどんなストーリーにしようかしら」
 「実際に書いてるのはメリーじゃないでしょ?」
 「物事は捕え様よ。やる気だけは満ち溢れてるのだけど
 どうにも文字にするのは面倒なのよね」
 「とても言い出しっぺの台詞とは思えないけど…」



 形を伴わない情報共有の方法は、人間の知識を大きく向上させた。
 その最たる情報源である書籍は、人文書や文芸書、実用書などと分類されてはいるがどれも読み手の常識、言うなれば記憶や思想によって分けられている。



 書き手の現実世界を如何に並べようとも、読み手が知識や価値のフィルターで濾した際に虚構と感じれば体験記も小説にしかならないのだ。

 需要に対して増えすぎた情報は、結局人間を“常識”という檻に閉じ込めるに過ぎなかった。
2.永遠の春夢
2.永远的春梦
Eternal Spring Dreams
Eternal Spring Dreams
 「どうにも、1作目で頑張りすぎちゃったかも」
 「2作目はどうしても……ねぇ」
 マエリベリー•ハーン(メリー)は不思議な世界を見てからと言うもの執筆活動に夢中になっていた。
 正確にはメリーは見た風景を語り聞かせているのだ。

 見えない筈のモノを他人に伝えるだけでなく
共れを纏めるだけの自信がメリーにはなかった。
 「……ところでメリー、最近は何か見た?」
 「相変わらず絶好調よ。地獄はもう勘弁だけど」
 その譫妄とも言うべき体験談に、憧憬と奇怪の眼差しを向けながら宇佐見蓮子は静かに書き綴っていた。


 最初には結界の切れ目を見られる程度だったメリーだが
近日では異世界へ実際に移動していることがあるようだ。
 蓮子はそんな話を聞く度に、次元を超えたブレインロック現象に恐怖を覚えていた。


 「もし異世界で何かあったらどうなるんだろう?」
 「さぁ、このエッセイが遺書になるのだけは確かね」
3. 幽霊楽団
3. 幽灵乐团
Phantom Ensemble
Phantom Ensemble
 幽霊、怨霊、騒霊、亡霊。
 霊を付く物は、生き物が死んだ物と思われがちであるが
実際には生き物の感情等から生まれて来る事も在る。
 メリー曰く、これらの発生には言葉が要因となってくるという。


 祝詞や忌言葉など古来より受け継がれてきた文化の根っこには言霊信仰が挙げられる。強い感情を言葉に乗せて発することで
言語そのものに霊力が宿るという物だ。


 世の中の不可思議な噂話には、必ず人の恐怖心があり
それらを多くの人間が口にし広まる事で、目に見えない筈の存在へ『形』を与えているのだ。
 量子の隙間にいるであろう何か言葉が関与しているのは
妖怪の姿形が時代によって異なる事へも如実に現れている。



 「同じ場所にいても違う物が見えるって事は、それだけ別の世界はすぐ側にあるって事よ。」
 それらが姿形を与えられる以前に見る事こそ霊感と呼ばれているとメリーは確信していた。
4.ネクロマンテイオン
4.死灵神殿
Necromanteion
Necromanteion
 「うわー、生きたまま死後の世界を見られる日が来るとは……」
 「136の地獄も、こうも有効に使えるなら案外何処も極楽なのかも」


 恐山菩提寺。八峰を総称してそう呼ばれ、比叡山、高野山と共に日本三大霊山に数えられている。
 突然、地獄を見に行こうと言い出した蓮子に連れられ
二人は観光へ来ていた。


 「蓮子は何か感じる?」
 「また随分と唐突な……物理主義の否定みたいな話なら何も」
 「違う違う、そんな哲学ゾンビみたいな話じゃなくて。
  どちらかというとスピリチュアル的な」
 「うーん、イタコも居ないじゃんただの登山よねぇ」



 メリーの目には、カラカラと寂しげな音を鳴らす風車が
一面に広がる曼珠沙華に見えていた。
5.不朽の曼珠沙華
5.不朽的曼珠沙华
Immortal red spider lily
Immortal red spider lily
 「三途の河って渡り方が3つあるそうよ」

 三途の河は初七日の裁判を終えた死者が次に向かう場所。
 死者が生前に行った罪の重さに依って渡り方が3通りに異なる為に『三途の川』を呼ばれるという。




 「3通り?2通りじゃなくて?」
 「そう、3通り。罪がない人と、軽い人と重い人に分かれるそうよ。
  罪が軽ければ浅瀬を歩いて渡る事になるのだけど
  全く罪が無ければ金銀七宝、つまり宝石とか貝殼で出来た橋を渡れるんだって」
 「確か対岸まで400キロもあるんでしょ?
  そんなに歩いてたら足が先におかしくなりそうだけど」






 以前、メリーは異世界で渡し船を目撃したことがあった。
 あの世にも文明があるのだとしたら、いずれ船では無く
飛行機や新幹線が通ったりするのかもしれない。
 そればかりではなく地獄の関所も無人化が進むのではないだろうか。



 文明の発達は同時に夢を壊していく。技術が進む毎に信仰心は譫妄へ、妖怪は精神病へと姿を変えていくのだった。
6.顕世に伝う異聞奇談
6.流传于显世的异闻奇谈
The Strange and Unusual Stroies
The Strange and Unusual Stroies
 「ねぇ、三途の河って下った先に何があると思う?」
 「この河の話をしてるのなら鬼門かなぁ」
 地獄に在るとされる黄泉國の河について、その源流点を言及した資料はまだ存在していない。
 にも拘らず大抵の人間はその異質な存在に違和感を持たない。

 科学の発展により、証明ができない死後の世界そのものがファンタジーとして片付けられ、既に魂は行き場は失っていた。
 古来の人間には見えていたであろう摩訶不思議な世界はイザナギプレートと共に完全に姿を消したのだった。


 だが、この世の不思議を否定しない一部の人間は逆説的な見解を持っていた。
 伊弉諾命が黄泉比良坂を閉ざしたことによって、死後の世界という概念が失われてしまったのではないか。科学とは、人々が死後の世界の代替となる物を追求すべく発展していったのではないか、と。




 「もしも高天原から流れてきているのだとしたら——
  その先にはきっと、伊弉諾物質と同じ石で出来た物が在るわ!」
7.鶴の千年、亀の万年
7.鹤之千年、龟之万年
Symbol of longevity
Symbol of longevity

 「この前メリーが見つけてきた石なんだけど、あれはもしかしたら虚空津日高が無くした釣り針なのかも」
 「そんな曰く付きの物だったかなぁ。
  生憎貧乏にはなってないし、十拳劔の成れの果てって可能性の方が確率的には高そうだけど」



 メリーはサナトリウムで療養してた際、確かに釣り針とも鍵ともとれる形状の人工物を見つけていた。地底の奥深くから拾ってきたという小さな石片は、妖しい雰囲気を放っていた。
 「鵜戸神宮にある鹽盈珠とか鹽乾珠もきっと本物よ!
  フェートンとキグヌスもこんな気分だったのかな」
 「となると、あの巨大な霊石も元々は亀だったって事?
  アルケロンは6500万年前の隕石では絶滅してなかったのね」





 水底に封じられた神々の秘密は、少女達の持っ鍵によって
その扉を開きつつあった。
8.法界の火
8.法界之火
Essential Fire
Essential Fire
 母なる国一一。
 全ての生物の先祖となった原核生物は海から生まれたとされている。
 また、数十億年後に地球が滅びるのは海水が地下深くに没するのが原因とされる。

 今から5億年前、生物達は偉大すぎる存在に恐れを成し陸地へと逃げだしたのだった。
 だが、進化を遂げた数多の系統樹の一端に過ぎない人間もまた
未だ母との縁を切れずにいた。海とミネラルバランスが同じとされる羊水から産まれ、その体に海と同じ割合の水を持ち、海の幸を食って生き延び、潮の満ち引きによって死期を知る。


 死後に海へ散骨するという文化もまた、ノスタルジックな胎内回帰願望に起因していた。それは自然界の精神的価値を認めずに消滅したはずのアミニズムに他ならない。
 科学が進化しても、今なお全てが解明されてはいない。
 200メートル先の光が届かない世界には、人類未踏の地が広がっていた。
 綿津見国はまさに異界であった。
9.カミオカンデの波
9.神冈探测器之波
Kamioka Nucleon Decay Experiment
Kamioka Nucleon Decay Experiment
 「見てメリー!海が見えてきたよ!」
 二人は津軽海峡と太平洋の境目を眺めていた。
 いや正確にはそれだけではない。
 川との境界、国との境界、空との境界、陸との境界。
 この場所には様々な境界が集約されていた。


 現実と幻想の境界はいったい何処にあるのだろうか。
 視細胞で電気信号に変換された映像は、時に誤った情報を伝達する。
 目に見える物が全て現実とは限らないのだ。

 「わあ、まるで仙境ね!井蛙管見というかなんというか……」
 「宇宙だって光とニュートリノの海だもん。
  地球ですら幽霊粒子みたいな物よ」

 量子力学の世界では、人間の思考が現実の世界を変えるのが常識だとされている。

 二人の博士の目には、確かに境界が映っていた。

10.花は幻想のままに
10.花如幻想一般
Flowers remain fantasy
Flowers remain fantasy
 「今回の課外活動も収穫ばっちりね、Dr.レイテンシー」
 「評論文のつもりが、これじゃ結局オカルト本ね」
 「まあまあ、別にいいでしよ。
  卵が先か鶏が先かってのは誰もが知りたいと思し」
 「量子論的な見方をするなら“どっちも”じゃない?」



 観光から数日、二人は1冊の本を作り終えていた。
蓮子は、メリーの見ている日常を垣間見た事に興奮を覚えていた。
 「さてと、この本が売れたら次はダイビングでもしようよ!
  竜宮城探索でもしてみない?」
 「蓬莱…ねえ。光速の99.995%なんかで移動してる城を探すだけで
  300年は経っちゃう様な…」
 「そんな事ないよ!だって地球を1秒に7週もしてる訳だし。
  適当に歩いてればその内見つかると思うのよねぇ」
 「それはシーウォークじゃなくて?」





 二人にとっての日常は世間のそれとは大きく異なっている。
その稀有な体験談『幽世淹留譚』は多くの情報に呑まれ
夢物語を好む一部の人間にのみヒッソリと重宝された。

 だが時間と空間を超える秘封倶楽部の言霊は、史実をも揺るがす
可能性を秘めていた。 

评论

総勢11名で送る秘封風アルバム。こちらはジックリと聞きたい方に向けたフル版です。 今回のテーマは「川と海」。和風で清濁併せ呑む楽曲達を是非お楽しみ下さい