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东方儚月抄 ~ Cage in Lunatic Runagate./第七话/中日对照

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< 第六话   东方儚月抄   最终话 >

半身半義
半身半义1
  海水が不思議な力により上下している。波だ。
  海水因一股不可思议的力量而上下起伏。那是波。
  水が海岸に押し寄せている様に見えるが、実際の水の流れと波の方向は無関係であるという。
  据说,水流虽然看似不断朝着海岸涌去,但实际上水的流向与波浪的方向是毫无关系的。
  音もまた、空気を伝わる波である。勿論、風上にも音は伝わる。空気の流れとは関係無く音を伝える事が出来るのだ。
  声音也同样,是借由空气传播的一种波。当然,就算逆着风,声音也能传播。声音之所以能够传播,无关乎空气的流向。
  では、波とは何なのだろうか。物体を移動させないで、一体何を伝えているのだろうか。
  那么,波究竟是什么呢?既然不移动物体,它到底是在传播些什么呢?
  考えれば考えるほど判らなくなる。ここ半年くらい、波長の違う人達に振り回されっぱなしで頭が痛いというのに。
  真是越想越不明白。最近半年以来,动不动就被那些跟我波长不同的人们耍得团团转,本来就已经够头痛了。
  ここは月の海の上。海面は静かに揺れている。
  这里是月海之上。海面静静地摇荡着。
  音は殆ど無い。自然の音も人工的な音も殆ど聞こえない。まるで彼岸の様に穏やかで優しかった。
  几乎没有声音。不管是自然的声音,还是人工的声音,都微不可闻。仿佛彼岸那样平静祥和。
  死後の世界と言っても色々あるが、死んで三途の川を渡り、最初に訪れる場所は彼岸である。彼岸は閻魔様に現世での罪を裁かれるのを待つ場所である。そこは昼も夜も、夏も冬もない世界で、ただ静かに花が咲き生気のない風が吹くだけの場所である。
  所谓死后的世界,其实也是各种各样的。死后渡过了三途川,最先到达的是彼岸。2而彼岸则是等待阎魔大人对现世的罪行进行审判的地方。那是一个没有白昼、没有黑夜、没有夏天、没有冬天的世界,是一个只有花寂静无声地开放,风死气沉沉地吹过的地方。
  何故か月の海はそこを彷彿させた。
  不知为何,月海与那里十分相似。
  生の匂いが感じられない。この海から生きとし生ける者全ての業因、業果が感じられない。それの意味するところは何も棲んでいないか、もしくは死なない者しか棲んでいないという事である。
  感觉不到生的气息。感觉不到这片海中一切生命的任何业因和业果。而那就意味着这里没有任何生命栖息,要么就是只有不会死的生命栖息在这里。
  何故私がこんな所に居るのかというと、実はよく判らない。私と波長の異なる者に流されてきただけである。今年の夏から周りで起きている事が理解できなくなっていたのだ。
  为什么我会在这种地方,其实我自己也不太清楚。我只是跟着某个与我波长不同的人来到了这里而已。自从今年夏天开始,周围发生的许多事都变得让我无法理解。
  ——夏の冥界。
  ——夏天的冥界。
  冥界は転生待ちの霊達が住まう場所である。転生が許されているという事は、比較的善良な霊達ばかりであるが、転生先は人間とは限らない。獣や猛禽ならまだマシな方である。百足とか下賤な虫に転生するかも知れない。
  冥界是等待转世的灵们居住的场所。既然被允许转世,也就是说住在这里的灵都可以算是比较善良的。然而,它们转世而成的却未必都是人类。若能投成兽类或猛禽还算幸运的,搞不好还会投成蜈蚣之类下贱的虫类。
  そんな転生先の心配も感じられない幽霊達は、今日も暢気に冥界観光をしている。暢気なもんだ。
  那种对于转世结果的担心,幽灵们自然是感觉不到的,于是只见它们今天也悠闲自得地在冥界观光。真有够悠闲的。
  本来なら白玉楼の庭で手入れや警備をしている私だが、今はお屋敷の座敷で接客をしている。かしこまった席で話を聞くのは苦手だ。
  本来应该在白玉楼的庭院进行修剪和警备工作的我,现在却正在屋子的客厅接待客人。我并不擅长毕恭毕敬地正坐着听人说话。
「話聞いてますでしょうか?」
“在听我说话吗?”
「え、ああ。えーと……」
“哎,啊啊。这个……”
  急に質問されたので戸惑っていると私の隣にいる私の主人、西行寺幽々子様が代わりに返答してくれた。
  正当突如其来的提问令我不知所措之时,坐在一旁的我的主人西行寺幽幽子大人代替我回答道。
「勿論聞いてなかったわ。私も、妖夢も」
“当然没在听呀。我也是,妖梦也是。”
「そうですか……そんな気がしてましたが。ま、細かいいきさつとか割とどうでも良いという事ですね?」
“是吗……难怪我有这种感觉。不过,详细经过什么的其实也无所谓,对吧?”
  実際に聞いていなかったが、そう解釈して貰った方が格好がつく気がする。幽々子様は恐らく本当に聞いていない。
  事实上我是没在听,不过总觉得像这样由别人替我解释似乎更气派一点。而幽幽子大人恐怕是千真万确没在听。
「端的に言うと、あなた方には吸血鬼達の監視をして頂きたいのです」
“简单来说,就是希望你们能协助监视监视吸血鬼她们。”
「監視……?」
“监视……?”
  私達は冥界の管理、監視は行っているが、顕界の妖怪の監視を生業とはしていない。当然、今まで誰からもそういう依頼を受けた事など無い。
  虽说我们是负责管理及监视冥界的,但并没有担任显界妖怪的监视工作。当然,到目前为止也没有从任何人那里接到过那样的委托。
  私達の元に不可解な依頼を持ちかけてきたのは妖狐、八雲藍である。
  来到我们这里并提出这种让人难以理解的委托的,是妖狐,八云蓝。
「……監視って何故ですか? 月に行きたいのなら勝手に行かせればいいじゃないですか。前から行きたがっていたみたいですし」
“……为什么要监视?想去月球的话,让她们去不就好了吗?反正看她们很早以前就想着要去了。”
「そういう訳にも行かないのです。これは紫様の命令なのですが……」
“那是不行的。这是紫大人的命令……”
  藍はそういってお茶を飲んだ。言葉を選んでいるようだ。
  说着,蓝喝了一口茶,似乎在斟酌语句。
「……知っての通り。紫様は一度月の都に攻め入って敗北しています。それでいつか月の都に復讐しようとその時が来るのを待っています」
“……正如您所知。紫大人曾有一次攻入月之都但无奈败北。因此一直在等待有朝一日向月之都报仇的时机。”
  紫様とは、藍の飼い主、八雲紫様の事である。幽々子様の古い友人で、幽々子様と同じくらい理解できないお方だ。私と波長がずれているのだ。
  所谓的紫大人,指的是蓝的饲主,八云紫大人。那是幽幽子大人的旧友,和幽幽子大人同样不能理解的一位人物。与我波长不合。
  紫様はその昔月に攻め入った事があるという。何百年も前の話で、当然私はまだ生まれていない。藍が「知っての通り」と言ったのは、幽々子様はその出来事を生で見た事があるからであり、その事からこの台詞は、私に向けて語られていない事が判る。
  据说紫大人在很早以前攻入过月球。那已经是几百年前的事情了,当然,我当时还没有出生。蓝之所以会说“正如您所知”,是因为幽幽子大人曾经亲眼目睹过那件事,从那件事可知,这句话不是对我说的。
「次は吸血鬼達の力も借りて戦力を磐石なものにしようと話を持ちかけたのですが、やはり、自分たちの力だけで月に行こうと考えているようです。現状では、紫様の協力無しでは月に行く願いは叶わないと紫様は仰ってますが——」
“我们对吸血鬼她们提出过,下次希望借助她们的力量让战斗力坚若磐石,但是对方果然还是打算靠自己的力量去月球。就现状而言,没有紫大人的帮助想要前往月球是不可能实现的,紫大人是这么说来着——”
  おかしい。紫様の考えている事は大体判らないが、吸血鬼の力を借りてという所に違和感を覚えた。しかも幽々子様に相談する前に、である。
  好奇怪。虽然紫大人的想法我一向看不懂,但是试图借助吸血鬼的力量这一点让我觉得有些不太对劲。况且还是在没和幽幽子大人商量过的前提下。
「無策では吸血鬼達に勝ち目はないでしょう。それほど月の民達は強力なのです。地上からの侵略者があれば月の都は再び警戒します。それが紫様にとっては喜ばしくない事なのです——」
“没有相应的对策,吸血鬼她们恐怕是没有胜算的。月之民正是如此强大。倘若出现来自地面的侵略者,月之都会再度加强警戒。这对紫大人而言是不愿意见到的——”
  思えばこの妖狐の訪問辺りからだった。私の周りで起こっている事が理解できなくなったのは。
  事后回想起来,正是从这只妖狐来访之后,我才开始对周围所发生的事情感到无法理解。
  私は理解できない事はすぐ訊く癖がついていた。訊くは一時の恥訊かぬは一生の恥、と教えられてきたからである。
  对于无法理解的事情,我一向有个立即提问的习惯。毕竟我曾被这么教导过,问乃一时之耻、不问乃一生之耻。
  だが、それが理解を阻害している様な気もした。何でもかんでも誰かが教えてくれると思ってしまい、真剣に自分で考えようという気を失わせるからだ。
  不过,我有时又觉得这样会妨碍理解。不管什么事情都要别人来告诉你,反而会失去自己认真思考的动力。
  私がいつものように幽々子様に質問をしていると、こんな教えを頂いた事があった。
  有一次我和往常一样向幽幽子大人提问后,得到了这样的教诲。
『妖夢は口を開けば、それは何ですか? どういう意味ですか?って。その辺の喋らない幽霊の方が含蓄ある話をするわ』
“妖梦只要一开口,就一定是‘那是什么?’、‘什么意思?’那些不说话的幽灵都要含蓄得多呢。”
『すみません。ですが、訊くは一時の恥訊かぬは一生の恥、と』
“对不起。可是,都说问乃一时之耻、不问乃一生之耻。”
『ふふふ。妖夢、貴方は訊く事を一時の恥だと感じているの?』
“呵呵呵。妖梦,你觉得提问这件事是一时之耻吗?”
『えっ?』
“哎?”
『恥を感じる様な質問というのは、知っていて当然な事を知らない時だけです。そのような質問は大いにしなさい。知ったかぶりは大きな損をします』
“提出来会让人觉得可耻的问题,只有不知道理应知道的事情的时候才算。那种问题就该有多少提多少。不懂装懂会吃大亏的。”
『……』
“……”
『しかし、自分がただ知りたい事を訊くという事は恥ではありません。恥を感じない質問は、必ずしも答えを得られると限らないのです。自分が知りたい事は自分で考えなさい。いつでも知りたい事を聞く事が出来る環境は、知りたい事を減らしてしまうのよ。知りたい事を失った人生は、不幸以外の何物でもないわ。そう……長く生きていると特にね』
“但是,只是提出自己想知道的事并没什么可耻的。提出来不会让人觉得可耻的问题,可不一定能得到答案。自己想要知道的事情就请自己去思考。如果身处一个任何时候都能提出这些想知道的问题的环境,那么想知道的事也会变得越来越少的哦。而一旦失去了求知欲,人生就只剩下不幸了。没错……尤其是当你活得很久了。”
  言うまでもないが、幽々子様はとうの昔に亡くなって、亡霊として冥界に留まっているのである。しかし、幽々子様は『生きている』という表現を多用する。
  不用说,幽幽子大人很早以前就已经去世了,如今只是作为亡灵滞留在冥界。然而,幽幽子大人却常常爱用“活着”这个词。
  私は幽々子様の言っている事をどれだけ理解できているのか自信がない。判っている事なのに教えてくれないのは、ただ意地悪しているだけなのではないかとさえ思う。
  我不太确定能理解多少幽幽子大人所说的话。我甚至觉得,知道的事情却不肯告诉我,难道不是在作弄我吗?
  しかし、最近は誰に訊いてもまともに教えてくれない事が増えた。もしかしたら、質問に答える事を面倒に思っているのかもしれない。そう考えるとやはり恐縮してしまう。
  不过,最近不管我问谁,对方不愿意认真回答我的情况好像变多了。或许是觉得回答问题很麻烦吧。这么一想果然会觉得过意不去。
「……そうですか。幽々子様は月面戦争を見たことがあるからすぐに理解するはず、と紫様は仰ってましたが」
“……是这样吗。幽幽子大人曾经见过月面战争所以马上就应该能理解,紫大人还这么说来着的。”
  藍は「紫様の言っている事と違う」とぶつくさ言いながら帰っていった。
  蓝小声嘟囔了一句“跟紫大人说的不一样啊”,然后回去了。
  私が考え事をしている間に、幽々子様は依頼を断ったようだ。
  貌似在我想事情的期间,幽幽子大人已经拒绝了委托。
  私には紫様が吸血鬼の監視の話を持ちかけてきた理由も、幽々子様が断った理由も判らなかった。判らない事だらけだった。
  我既不明白为什么紫大人会来找我们监视吸血鬼,也不明白为什么幽幽子大人会拒绝这个委托。净是些想不明白的事情。
「紫様は何故、あのような話を幽々子様に持ちかけてきたのでしょう?」
“紫大人她为什么,会向幽幽子大人提出这种事情啊?”
  何気なくそう質問してしまって後悔した。もっと自分で考えろと言われてしまうのではないか。
  我下意识地问道,随即又后悔起来。这下又会被教训要自己多动动脑子了吧。
「聞いての通りじゃないの? 紫は困っているのよ」
“你不是也听到了吗?紫正为难着哦。”
「そ、そうですかね」
“是、是吗。”
  私は決めた。ここ白玉楼の庭師、魂魄妖夢として単独で行動する事を。吸血鬼達の監視、及び何が起きようとしているのか調べる事を。勿論、誰にも訊かずに、自分で理解する事を。出来るだけ……。
  我决定了。从现在开始,要以白玉楼的园艺师——魂魄妖梦的身份单独行动。对吸血鬼她们进行监视,并调查将要发生的事。当然,不问任何人,而是要自己去理解。尽量……
「——これでさらにロケットは完成に近づく。咲夜、ご苦労様。下がって良いわ」
“——这下火箭又离完工近了一步。咲夜,辛苦了。你先下去吧。”
「はい」
“是。”
  本棚の後ろに隠れていた私の脇をメイドが通っていった。
  女仆从藏身在书架背后的我身边经过,走了过去。
  私は紅魔館の地下にある大図書館に忍び込んでいた。月に向かうためのロケットはここで製作されているからだ。
  我此刻正潜伏在位于红魔馆地下的大图书馆中。因为用于登月的火箭就在此处制作。
  目立たないように未完成ロケットに近づき、じっくりと観察した。
  我避人耳目地偷偷靠近尚未完工的火箭,仔仔细细地进行了一番观察。
  外壁は木製で、強度面は難あり。
  外壁是木制的,强度方面还有所不足。
  形状は桶を適当に三段積み重ねた様な物であり、連結部分はどうなっているのか不明。
  形状上似乎是拿桶随便垒起来的三段结构,连接部分构造不明。
  外壁に取り付けられた窓は外開きの普通の窓だ。その窓から覗く内装は、レースのカーテンに三日月形のテーブル、無駄に華やかである。
  外壁上所开的窗是朝外打开的普通窗户,从窗户向内观察,内部设有蕾丝窗帘及月牙形桌子,华丽过头了。
  気になる事は、このロケットはただの小さな変わった家の様で、飛ぶ為の機能が一切見当たらないという事だった。
  让人在意的是,这架火箭看上去只不过是一间小号的奇怪房子,完全看不到任何用于飞行的构造。
  ……これでは、ただの別荘ではないのだろうか。
  ……这么一来,不就仅仅是个别墅而已吗。
  ロケットを造って独自に月に行く、というのはただのはったりで、実際はロケット型の別荘でお月見をするとかそんなオチなのではないだろうか。
  该不会造火箭独自去月球之类的只是故弄玄虚,实际上最终的目的就是造个火箭型别墅赏月什么的,会不会是这种结局呢。
「……ロケットの外観は出来つつあるが、今すぐに月に行ける状態とはとても思えないっと。メモメモ」
“……火箭外观已经趋于完成,但实在不像能立刻出发去月球的状态,嗯。记录记录。”
「で、そこの侵入者はいつまで見つかっていないと思っているのかねぇ」
“喂,那边的侵入者不会还觉得自己没被发现吧。”
「およ?」
“哦哟?”
「——それで、ロケットはいつ完成するのですか?」
“——那么请问,火箭将于什么时候完成呢?”
「ふん。何で私がコソ泥のあんたにそんな事教えなければいけないのよ」
“哼。这种事我为什么要告诉你这个小毛贼?”
「あ、そうだ。訊かないで自分で考えるんだった」
“啊,对了。不能问,要自己思考的。”
「?」
“?”
  私は図書館の中央にある三日月形のテーブルに着いていた。図書館の主、パチュリー·ノーレッジと対峙していた。ロケットに近づきすぎたのか、見つかってしまったのだ。
  我来到图书馆中央的月牙形桌子旁,与图书馆的主人帕秋莉·诺蕾姬相互对峙。是我离火箭太近了吗,所以被发现了。
「忍び込んだ最初からバレバレだったわよ。面倒だから無視していたのに、声に出してメモを取り始めたから……」
“你一溜进来我就知道了啦。只不过是嫌麻烦所以无视了而已,结果你还说话并且开始记笔记……”
「あれ? 声に出してました?」
“咦?我发出声音了吗?”
「ま、別に良いけどね。何か持っていったり壊したりしなければ」
“不过也无所谓,只要你别拿东西或者弄坏东西就行。”
  そう言って、机の上に置いてあった鈴を揺らした。
  说着,她摇了摇桌上放着的铃。
「!? 捕まえる気?」
“!?你要抓我?”
「ふん。捕まえるなら最初から捕まえているわよ」
“哼。要抓你的话早就抓住过了。”
「じゃあ今の鈴は……」
“那么刚才的铃声是……”
「咲夜にお茶を持ってきて貰うのよ。私の分の一つ。で、何よ」
“我让咲夜端茶来啊。我的那一份。说吧,有何贵干?”
「はい?」
“哈?”
「あんたの用事。ロケットの事で何か気になる事でもあるの?」
“我问你来干什么。火箭有什么让你在意的吗?”
  特に私を捕まえる気は無い様子である。思えば、吸血鬼達は自分達でロケットを造って月に行きたいと前々から公言していたし、紫様から私達に監視の依頼があった事など知らないのである。むしろ、自分達が行っている大事業を誰かに伝えたいとすら思っている様である。
  看起来她并没有要抓我的意思。回想起来,其实吸血鬼她们很早以前就当众宣布过,要自己造火箭去月球,何况她们也不知道紫大人委托过我们监视的工作。看上去甚至是想将自己正在进行的大事业弄得人尽皆知的样子。
  この際だから色々訊いてしまおう……と思ったのだが、やはり自分で考えた方が良いだろうか。
  就趁这个机会好好问个明白吧……虽然这么想,但还是靠自己去思考更好吧。
「先ほど、ロケットを拝見したのですが……どうしても気になる事があるのです」
“刚才我见识了您的火箭……有件事总让人很在意。”
「何よ」
“什么事啊?”
「このロケットの動力って、一体何なんですか? あ、これは独り言で」
“这架火箭的动力究竟是什么呢?啊,这只是我自言自语。”
「独り言?」
“自言自语?”
「ああ、独り言で質問では無いのですが、答えて頂いて構いません」
“啊啊,这是自言自语不是问题,但能请您回答的话也不要紧。”
「あー? 何を言っているのかよく判らないが、ロケットの動力は——」
“啊—?我听不懂你在说什么,不过火箭的动力是——”
  その時、メイドの咲夜が図書館に入ってきた。手にはお茶を持っている。さっき鳴らした鈴で呼ばれたのだ。
  正在这时,女仆咲夜进了图书馆。手上端着茶。是被刚刚的铃声叫来的。
「お茶をお持ちしました……ってあら」
“茶来了……哎呀。”
「お邪魔してます」一応挨拶をした。
“打扰了。”总之先打个招呼。
「まだ帰っていなかったのね? でも良かったわ」
“你还没回去啊?不过幸好。”
「良かったって何がですか?」
“什么幸好?”
「パチュリー様と一緒にテーブルに着いていて。まさか、あんなにバレバレで隠れているつもりだったらどうしようかと……」
“幸好你和帕秋莉大人一起坐下来了。我还在想,莫非你打算在那么明显的地方躲藏起来吗,那样的话该怎么办啊……”
「ふん。こいつは最初から私を訪ねて来たみたいだから心配無い」
“哼。这家伙貌似一开始就是来拜访我的,所以不用担心。”
  今更、実は隠れていましたとは言えない。
  事到如今,已经没法再说本来就是躲在那里的了。
「一応、お茶を二つ用意してきた。まだ帰っていないと思いまして」
“总之,还是准备了两份茶。我想你应该还没回去才对。”
「あ、ありがとうございます」
“啊,谢谢。”
  メイドはお茶を二つ置くと、一礼して下がっていった。この紅茶の香りは、うちのお茶より香りに品が無いような気がする。うちのお茶は、香りは細く長く続くのに対して、この紅茶は香りが強すぎるのだ。
  女仆放下两杯茶,行了个礼之后下去了。这种红茶香气似乎比我们家的茶在香气上品味要低。相对我们家那细腻而悠长的茶香,这红茶的茶香太过浓重了。
  パチュリーが口を開いた。
  帕秋莉开口了。
「で、何の話だったっけ?」
“话说,讲到哪了来着?”
「ロケットの動力です」
“是火箭的动力。”
「ああ、ロケットの動力ね。それが未だに判らないのよね」
“啊啊,火箭的动力呢。那还不知道呢。”
  判らない……? なーんだ、紫様が心配する程の事でも無いじゃない。
  不知道……?什么嘛,紫大人根本用不着担心啊。
「どうやら、動力は三段の筒状のエネルギーらしいの。今、咲夜に探させているけど、貴方も何か思い当たる物があったら教えて欲しい」
“动力好像是三段筒状的能源。我目前正让咲夜在找,如果你有什么想到的东西,就告诉我吧。”
「……何故、私にそんな話を? 私が協力するかどうか判らないでしょ?」
“……为什么要跟我说这些?您不是不知道我会不会帮忙吗?”
「あら、貴方だって月を見てみたいと思っているでしょう? 月の民達に一泡吹かせたいと思っているでしょう?」
“哎呀,你不是也想看看月球吗?不想让月之民们大吃一惊吗?”
  月の民……。二、三年ほど前から月の民と名乗る者達が竹林に住み着いている。
  月之民……。两、三年前有一批自称月之民的人住进了竹林。
  私は、あの者達が幻想郷では異質な者であるようにしか思えない。
  在我眼里,那些人在幻想乡中只能算是异己分子。
  吸血鬼の監視をしようと思っているが、それは紫様の真意を知る為である。決して、月の民の味方になりたい訳ではないのだが……吸血鬼のロケットの完成を邪魔する事は、結果としてあの者達の味方になってしまうのだろうか。
  虽然我是打算监视吸血鬼,但那是因为我想知道紫大人的真正意图,绝对没有想成为月之民同伴的意思……而阻挠吸血鬼造火箭的话,就结果来说,不就成了那些家伙的同伙了吗?
  ひとまず、何か思いついたら協力するとだけ言って、紅魔館を後にした。
  总之,我留下一句“如果想到什么线索会帮忙的”,就离开了红魔馆。
  ——博麗神社へ続く道。
  ——通往博丽神社的道路。
  夜も更け、夜目が利かない人間の姿は殆ど見あたらない。
  夜深了,眼下几乎看不到任何不擅长夜视的人类的身影。
  この辺りは住んでいる人間も無く、適度に生えた木が不気味な陰影を作り、格好の肝試しスポットだ。
  附近也没有人居住,随意生长在各处的树木营遣出一片片恐怖的阴影,形成了一个绝佳的试胆圣地。
  私は幽霊には慣れているが(そもそも半分幽霊だが)、暗いところは苦手である。
  尽管我早就习惯了幽灵(本来我就有一半是幽灵),但依然不喜欢黑暗的地方。
  そんな私が何故、夜道を歩いているかと言うとそれには訳がある。
  而要问那样的我为什么会走在夜路上,这其中当然是有原因的。
  紅魔館近辺にてロケットの監視を行っていたら、メイドの咲夜が出てきたのだ。
  因为我溜去红魔馆一带监视火箭时,看到女仆咲夜走了出来。
  私は後を追った。
  于是我就跟了上去。
  尾行である。捜査の基本らしい。
  就是跟踪没错。似乎是搜查的基本。
  自慢じゃないが尾行は得意である。半分人間半分幽霊だから、それぞれの気配が薄いのだ。
  我很擅长跟踪,这倒不是自夸。那是因为我一半是人类一半是幽灵,因此两方面的气息都很稀薄。
  パチュリーは「ロケットの動力は、咲夜に探させている」と言っていた。咲夜の後を追えば、何か掴めるかも知れない。
  帕秋莉说过,“火箭的动力,正让咲夜在找”。那么只要我跟着咲夜,搞不好会挖到什么线索。
  なぜ、紫様は吸血鬼達の監視を依頼してきたのか。
  为什么,紫大人要来委托我们监视吸血鬼她们呢。
「——で、そこのストーカーはいつまで見つかっていないと思っているの?」
“——喂,那边的跟踪狂不会还觉得自己没被发现吧?”
「およ?」
“哦哟?”
  見つかってしまったので尾行は中断せざるを得ない。捜査内容を尾行から聞き込みに変更する事にした。聞き込みも捜査の基本らしい。
  因为被发现了,所以跟踪不得不中止。于是我决定将搜查内容从跟踪改为探听。探听似乎也是搜查的基本。
「へぇ、なんで貴方がロケットの事を知っているの? ……もしかして」
“哎,你怎么会知道火箭的事情?……莫非?”
「監視……じゃなくて、ええっと……」
“监视……不对,呃……”
「貴方達もあの狐に月侵略の話を持ちかけられたのね?」
“那只狐狸也来找你们商量月球侵略的事了吧?”
「はい?」
“嗨?”
「うちにも来たのよ。一緒に月を侵略しないかって」
“那家伙也来找过我们的哦。问我们要不要一起入侵月球。”
「そ、それは……」
“那、那个……”
  そういえば、狐は吸血鬼に共同作戦を持ちかけたと言っていた。
  说起来,狐狸确实有说过自己曾经找吸血鬼想要进行协同作战。
  そこも何か違和感を覚える。
  这一点也让我觉得不太对劲。
  何故、吸血鬼に持ちかけたのだろうか。
  为什么会找上吸血鬼呢?
  何故、最初に幽々子様の方に持ちかけなかったのだろうか。
  为什么没有一开始就来找幽幽子大人呢?
「でも、残念ね。うちはうちで別途月の都に侵略することになったの。オリジナルのロケットを造ってね。貴方達も月に行くと言うのなら、ロケット完成よりも早く行かないと、月の都はお嬢様の物よ」
“不过,很遗憾。入侵月球的话,我们另有我们的途径。也就是造原创的火箭。你们要是也想去月球的话,就得赶在我们完成火箭之前,不然月之都就是大小姐的囊中之物了哟。”
「いや、私達は月に行くつもりはありませんが……それでロケットはいつ完成するんです?」
“不,我们没打算去月球……那么请问火箭什么时候会完成呢?”
「うーん。ロケットに必要な重要な物が見つかっていないのよ……って、何で貴方にそんな事教えなければいけないのかしら」
“唔。问题是还没找到火箭所需要的关键物品啊……等等,我为什么要告诉你这种事?”
「重要な物が見つかっていない……」
“还没找到关键物品……”
「そんな事メモしてどうするのよ」
“你记这些干嘛?”
「いやまぁ、何となく」
“不是啦,无意识地。”
  咲夜は神社の方へ消えてしまった。夜道は怖いので深追いは避ける事にした。
  咲夜消失在了神社的方向。夜路有点可怕,所以我没有选择继续追踪下去。
  ——香霖堂。
  ——香霖堂。
  人里から離れた所にある古物屋である。
  是一家远离人类村落的旧货店。
  古物と言っても売っている物が古いとは限らない。その辺で拾った物を何でも取り扱っている店である。
  虽说是旧货店,但卖的东西也不一定都是旧东西。那是家经营着各种捡来的东西的店。
  拾った物とは建前で、本当は故買屋なんじゃないかと思う。
  表面上说都是捡来的,但总让人觉得那里会不会是买赃物的黑店。
「え? 咲夜さんが買っていった物が何か知りたいだって?」
“嗯?你说想知道咲夜小姐来买了什么东西?”
「ええ。最近ちょくちょく訪れているのは知っています。そこで、何を買っていったのか出来るだけ詳細も」
“是的。我知道她最近时常到这里来。所以想请您尽量告诉我她具体都买了些什么东西?”
「生憎だけど、この様な店でも顧客のプライベートは守らないといけないのでね」
“真不好意恩,别看我店小,可也必须保护顾客的隐私啊。”
「……ううむ。自分で探すしかないのね」
“……嗯,这么说只好我自己找了对吧。”
  店内を見回した。
  我环顾店内。
  無機質な鉄の箱、ガラスの輪、緑色の薄い板。
  冷冰冰的铁箱,玻璃圈,绿色的薄板。
  およそ商品とは思えない物ばかりである。
  净是些跟商品不着边的东西。
「……この店でロケットに関する物って何だろう……」
“……你家店里有关火箭的东西是什么……”
「おや、君もロケットについて調べているのかい? それならアポロ計画の本が一番良いんだけど」
“哦?你也在调查火箭的事情吗?那么阿波罗计划的书是最值得推荐的啦。”
「アポロ計画……?」
“阿波罗计划……?”
「アポロ計画とは、ロケットを月まで飛ばす計画の事だよ」
“阿波罗计划就是指让火箭飞上月球的计划哦。”
「そ、その本を見せてください!」
“请,请把那本书拿给我看看!”
「それがねぇ。残念だが、今は切らしているんだ。全部買われてしまってね」
“——这个嘛,很可惜,现在那本书没货了。全部被买走了。”
  誰が買っていったかなんて、火を見るより明らかだ。
  至于是谁买走的,这就不言而喻了。
「そ、そうですか……」
“是、是吗……”
  吸血鬼のロケットはその本を元にしているに違いない。
  吸血鬼的火箭一定是以那本书作为基础的。
  なるほど、何故月ロケットが急激に進行したのか判った気がする。吸血鬼達は、外の世界のロケット計画を手本に月ロケットを完成させ、月を目指しているのだ。
  原来如此,这下我总算有点明白,登月火箭怎么会进展如此迅速了。吸血鬼她们将外面世界的火箭计划作为参考,完成了登月火箭,目标直指向月球。
  とすると、紫様の懸念は外のロケットにあると考えられないだろうか。
  那么,紫大人所担心的会不会应该是外面的火箭呢?
  外のロケットを完成させられては困る何かがあるのではないか。
  或许有什么事情使得如果外面的火箭完成就会感到非常困扰。
  うーん。ここでロケットの本が手に入らないのが悔やまれる。
  嗯。在这里拿不到火箭的书实在是让人不甘心。
  後もう一息で何が起きているのか判るかも知れないというのに。
  就差一点,也许就能知道正在发生什么事了。
「ま、アポロ計画の本は殆ど無くなっちゃったけど、代わりに似たような本ならあるよ。内容はさほど変わらないと思う」
“不过,虽然阿波罗计划的书基本上没有了,但还有类似的书哦。个人认为内容上没多大差别。”
「え? そ、それください」
“哎?请、请给我那个!”
  ——白玉楼。
  ——白玉楼。
「で、妖夢。何の本を読んでるのかしら?」
“喂,妖梦,你在看什么书呢?”
「あ、幽々子様。き、今日は雨が降っていますので、少し勉学にいそしもうと」
“啊,幽幽子大人。今、今天下雨了,所以我就想稍微勤奋学习下。”
  そう言って、読んでいた本を隠した。幽々子様は監視しなくていいと言っていたのに、私は内緒で吸血鬼達の監視を行っていたのだ。この本を読んでいる事は不自然である。
  说着,我把之前看的书藏了起来。幽幽子大人明明说过不需要监视,但我却瞒着她偷偷进行了对吸血鬼她们的监视工作。这样一来,看这本书就显得很不自然了。
「勉学! 呆れたわ。つまんないの。そんな事より、今日は中秋の名月だからお団子捏ねておいてね」
“学习!真让我吃惊。好无聊。比起那种事情,今天是中秋赏月佳节,快去捏一些团子吧。”
  私は頷くと、幽々子様は部屋から出て行った。
  我点了点头,幽幽子大人便离开了房间。
  再び本に目を落とした。
  我的目光再次落回书上。
「——ソユーズ計画。アポロ計画に敗れ、ついに月到達計画は幻となる。技術的にはアポロ計画より優れていたとも言われている。もし、アポロより先に月に到達していれば、世界は大きく変わっていたかもしれない」
“——联盟计划。败于阿波罗计划,最终登月计划成为了幻想。据说技术上更胜阿波罗计划一筹。若能比阿波罗先到月球,世界或许会发生巨大的变化。”
  香霖堂で手に入れた本には、アポロ計画とは別のロケット計画の事が書かれていた。
  我在香霖堂买到的书上,写着一项与阿波罗计划不同的火箭计划。
  ソユーズとアポロのロケットの形状には余り大きな差は無いらしい。
  联盟号和阿波罗号火箭的形状貌似没有什么差别。
  上段になるほど小さくなる、三段の筒。間違いない、吸血鬼は外のロケットを参考にしている。
  越往上越小的三截圆筒。没错,吸血鬼的确参考了外面的火箭。
  つまり、仕組みもこれと大差は無いだろう。
  也就是说,结构也和这个差不多吧。
  専門用語が多く理解に苦しんだが、私が一番気になっていた動力が書かれている部分を探し出した。
  虽然专业用语太多看不太懂,但我还是在其中找到了写有我最在意的动力的那一部分。
  どうやら、使い捨ての燃料を取り付け、火を付けて飛ばすらしい。花火のような物だろう。
  似乎是将一次性的燃料装入其中,点火让其升空。就像烟花一样的东西吧。
  月に行くという魔術的な行為に不釣り合いな、しかし驚くほどシンプルな答えだった。
  真是跟前往月球这种魔术般的壮举完全不搭,但却又惊人简单的答案。
「そんなんで良ければ、火薬でも積み込めばすぐにでも飛ばせるんじゃないのかなぁ。余り乗り心地は良く無さそうだけど」
“如果那样就能成功的话,只要塞进火药之类的不就立刻能起飞了吗?虽然估计乘在上面会不太舒服。”
  花火の上に家を載せて空を飛ぶ妄想を、私を呼ぶ声が切り裂いた。
  在烟花上面载着房子飞过天空的妄想,被招呼我的声音给打断了。
「妖夢ー。お団子まだなのー?」
“妖梦—。团子还没好吗—?”
「はいはい。今行きますよ」
“好了好了。这就来了。”
  今宵は中秋の名月である。暦上は。
  今晚是中秋的明月。在日历上。
  しかし、このままでは名月は楽しめないだろう。雨は小降りになったが未だ止まない。たとえ止んだとしても、雲が晴れるかどうか。
  然而,看样子这样下去恐怕是欣赏不到明月了吧。雨虽然变小了但一直没停过。就算会停,也很难说云会不会散。
  ちなみに団子を捏ねるのは好きだ。
  顺便说一下,我很喜欢捏团子。
  蒸した後のつるつるな触感を捏ねるのは気持ちが良い。触っているだけで幸せになる。
  蒸过之后滑滑的触感捏起来很舒服。光是碰碰就会很幸福。
「ねぇ、そろそろお供え物の準備は出来た?」
“我说,供品是不是差不多准备好了?”
「あ、幽々子様。いらしたのですか? あともう少しだけ掛かりそうです」
“啊,幽幽子大人。您来了?还要再花一点时间。”
  幽々子様が急かしに来た。
  幽幽子大人来催了。
「早くしないと始まっちゃうわよ? 今日は中秋の名月なんだから」
“不快点的话就要开始了哦?今天可是中秋的明月啊。”
  月見が始まると言うより、お腹が空いているだけの様な気がする。
  与其说赏月要开始了,我感觉其实只是她自己肚子饿了。
「暦上ではそうですが……。最近の天気を見ていると、今夜も雨になると思いますよ」
“日历上是这样没错……可是看最近的天气,今晚恐怕还会下雨呢。”
  私は窓の外を指した。二、三日前から続いている秋雨にお月見は絶望的だと思われた。
  我指了指窗外。因为这连下了两三天的秋雨我觉得赏月的可能性十分渺茫。
「そんなこと判っているわよ。大体、中秋の名月って言うけど、この時期って昔から天気が悪いのが普通なのよ。十年のうち九年は雨が降って見られない、と言われる程なの。つまり、実際は殆ど見られないのも名月たる所以……」
“那种事情我早知道啦。本来,说是中秋的明月,但这段时期自古以来天气通常都很糟糕的嘛。甚至有人说,十年中有九年都会因为下雨而看不到月亮呢。也就是说,实际上正因为几乎见不到才被称为明月……”
  幽々子様がいつになく饒舌である。お腹が空いているのだろうか。
  幽幽子大人和平时不一样话变多了。大概是因为肚子饿了吧。
「じゃあ今、私は何の為にお団子を捏ねているのでしょう?」
“那么现在,我是为了什么在捏团子呢?”
  幽々子様はさも当然といった様子で「お団子に食べる以外の用途があるのかしら?」と言った。
  幽幽子大人一脸理所当然的样子说:“难道团子除了吃还有其他用途吗?”
  ——夜になって雨は小降りになってきたようだが、やはり月は見えなかった。
  ——入夜后,雨势似乎变小了,但还是看不到月亮。
  枯山水の中庭が見える縁側に、団子をお供えした。
  在能看到假山中庭的走廊边,供上了团子。
  幽々子様は団子の隣に腰掛けると、早速一つ手で摘まんで口に入れた。
  幽幽子大人在团子旁边坐下后,马上用手拿了一个放到了嘴里。
「雨月と言ってね。特に雨が長引きやすい中秋の名月は雨が降って月が隠れても、雲の上の名月を想像してお月見を楽しんだのよ」
“这叫雨月。尤其是在雨期容易延长的中秋赏月时节,即使下雨看不到月亮,人们也会一边想象着云层上的明月,一边享受赏月哦。”
「苦し紛れの楽しみ方ですね」
“真是苦中作乐啊。”
  お月見の時に月が見えなかったら私はがっかりする。それが普通ではないだろうか。
  赏月时看不到月亮的话,我会很失望。这难道不正常吗。
「いやいや、その方が風流なのよ。昔から、名月そのものを見るより、丸い物を見て名月を想像する事が風流とされたの。昔の人は、実物より想像の方が何倍も大きく、何倍も美しい事を経験から知っていたのね。料理にお団子一つ付いているだけで名月を想像できたんだから、簡単で良いでしょう?」
“不不,那样反而风雅哦。自古以来人们都认为,与其欣赏月亮本身,不如看着圆形的东西想象明月更显得风流潇洒。古代人通过经验得到的结论是,比起实物,想象出来的东西会大好几倍,美丽好几倍呢。仅仅是在料理中加一个团子,就能想象到明月,如此简单方便,不是很好吗?”
  月見うどん、と言えば卵を月に見立てた料理だ。里芋の白煮なんかも、月に見立てて添えられる事がある。
  赏月乌冬面,就是把鸡蛋比喻成月亮的一道料理。有时白煮芋头也会被加进料理中,用来比喻成月亮。
  卵うどんの方が美味しそうではあるのだが、わざわざ月見に変えている辺りが風流なのかも知れない。
  虽然鸡蛋面这种叫法显得更好吃一些,但是特意改叫成赏月这一点或许就是风雅吧。
「そして、その究極の形が——そこの3ある筈の名月を想像する、雨月と言うわけ」
“然后呢,那个究极的形态——就是想象应该存在于那里的明月,也就是雨月了。”
  幽々子様は指で摘んだお団子を空にかざした。本来なら満月が見える筈の場所である。
  幽幽子大人将手上拿着的团子高举向天空,指向那原本应该是满月的所在。
  雲で隠れて見えない雨月も堪能したところで、お座敷に戻った。
  在享受完藏在云后看不到的雨月之后,我们回到了客厅。
  幽々子様が月見酒をしたいと言ったのでその準備をした。
  幽幽子大人说想喝赏月酒,所以我做好了准备。
  私は、吸血鬼のロケットの進捗状況について、幽々子様に報告した方が良いのか悩んでいた。
  关于吸血鬼的火箭进展状况,是不是向幽幽子大人报告比较好,这一点让我很烦恼。
  あと一息で、紫様が私達に監視を依頼してきた意図が判りそうなのだが、私一人だけではどうしても考えが纏まらない。
  还差一点,就快弄清楚紫大人找我们去做监视工作的意图了,可仅凭我一个人怎么想也理不出个头绪。
  お酒が入ったところで、私はもう一度、ふた月前の狐が訪問に来た事について話を振った。
  趁着喝酒的机会,我再次提到了两个月前,狐狸来访的那件事。
「……紫は念を入れ過ぎよ。いくら地上にスパイがいるからって」
“……紫过分小心了。就算地上有间谍也不至于嘛。”
「何か、腑に落ちない依頼でしたね。紫様が直々に吸血鬼達を見張れば良いのに……」
“真是个让人想不通的委托呢。紫大人直接监视吸血鬼她们不就好了……”
  幽々子様は笑っていた。私は鎌をかけて幽々子様の考えを遠回しに探ろうとしたが、全て空振りに終わってしまった。
  幽幽子大人笑了。我本来是故意试探,想绕着弯子套出幽幽子大人的想法来着,却悉数落空了。
  いつもの事だった。幽々子様は何か判っている様に見えるが、実際はただその時の気分で行動を決めているだけなのだ。このままでは何か大変な事になってしまうのではないだろうか。
  一直都是如此。幽幽子大人虽然看起来好像知道些什么,但实际上只是纯粹看当时的心情来决定自己的行动而已。这样下去该不会发生什么不得了的大事吧。
  私は意を決して、自分のしてきた事を告白した。
  我下定决心,将自己所做的事情和盘托出。
  ここ二ヶ月、自分でロケットの調査を行い、吸血鬼達の監視を行ってきた事。
  近来两个月,我独自对火箭进行的调查,以及对吸血鬼她们进行的监视。
  まだロケットは未完成で、飛ぶ為の動力が見つかっていないとの事。
  包括火箭尚未完成,飞行动力也还没找到的事。
  しかし、三段の筒状の推進力さえあればロケットは完成し、いつでも飛びだせるとの事。
  但是,只要有三段筒状的推进力,火箭就能完成,随时都能起飞的事。
  幽々子様は目を丸くして聞いていた。私は怒られる覚悟で報告を続けた。
  幽幽子大人睁圆了双眼听着我的话。我做好了被骂的心理准备,继续汇报。
  怒られても良い。今起こっている事が私に理解できるレベルまで落ちてくれればそれで良い。
  被骂也没关系。只要现在发生的事情能够降低到我可以理解的程度就好。
  しかし、幽々子様から飛び出した言葉は、私の想像を遥かに超えた物だった。
  但是,从幽幽子大人嘴里冒出的话语,却远远超出了我的想象。
「——吸血鬼のロケットを完成させなさい。貴方は、私が言った事を巫女に伝えるだけで、後は自動的に事は進むでしょう」
“——让吸血鬼完成她们的火箭。你只要把我说的话传达给巫女,之后事情会自动发展的。”
  理解は絶望的になった。
  理解彻底变得绝望了。
  そして、自分で考えて行動する事は諦めた。
  然后,对于自己去思考并行动这件事彻底放弃了。
  幽々子様の希望通り、吸血鬼はロケットを完成させ、紫様より先に月へと向かっていった。
  如同幽幽子大人所希望的那样,让吸血鬼完成火箭,抢在紫大人前面先去了月球。
  これで良かったのだろうか。
  这样就好了吗。
  ——流されるがまま。私は今、月にいる。
  ——不停地随波逐流。我此刻正在月球上。
  月の地表は水で満たされ、四方から様々な波を受け複雑な凹凸を見せている。
  月面的地表充满了水,从四面八方受到各种波的影响形成复杂的凸凹。
  これが海というものか。何という広さだろうか。視界が良好な分、三途の河よりも広く感じた。
  这就是海吗?多么宽广啊。视野良好,比三途河还要开阔。
  何より、想像より月は美しい場所ではない。
  更重要的是,月球并不是像想象中那么美丽的地方。
  幽々子様が言っていた雨月の事を思い出した。
  我想起了幽幽子大人说过的雨月。
『実物より想像の方が何倍も大きく、何倍も美しい事を経験から知っていたのね』
“通过经验得到的结论是,比起实物,想象出来的东西会大好几倍,美丽好几倍呢。”
「幽々子様……」
“幽幽子大人……”
「ううん? 月の都への行き方が判らないのね?」
“嗯?不知道去月之都的方法吗?”
「まあ、判らないですが。それより何故……」
“嘛,确实是不知道啦。比起那个为什么……”
「月の都へは簡単には入れないわ。ある特別なルートを通らないと行けないの」
“月之都不是那么简单就能进去的哦。不通过某条特殊的路线是去不了的。”
「幽々子様は、最初から月に来るつもりだったのですか?」
“幽幽子大人一开始就打算来月球吗?”
「紫にそう頼まれちゃったからねぇ……。でもここから先が問題なのよー」
“因为受紫之托嘛……不过接下来才是问题呢。”
  私達は、紅魔館近くの湖に映った月に飛び込みこちら側に来たのだ。どうやら、その月は紫様が用意した入口であった。
  我们是跳进红魔馆附近的湖面上映出的月亮,才来到了这边。那轮月亮好像是紫大人事先准备好的入口。
  幽々子様の行動には不明な点が多く、どうも信頼しきれなかったが、ここまで来たら幽々子様に付いていくしかなかった。
  幽幽子大人的行动疑点重重,我实在没办法全部信任她,可既然来都来了,也只好跟着幽幽子大人了。
  だが、月に来られた事は少しだけ嬉しかった。
  不过,能来月球,我还是有点高兴的。
  私が吸血鬼の監視を独自で行ったのは、心の何処かで羨ましく思っていたのだろう。
  我之所以会独自对吸血鬼进行监视,正是因为在内心的某处有些羡慕她们吧。
  私も自分の目で月を見てみたいと。
  因为我也想亲眼看看月球。
  むしろ、自分を置いて吸血鬼達だけが月に行く、という事が悔しかったのかも知れない。
  倒不如说,对于吸血鬼她们丢下我,自己去月球的事,也许我是有点不甘心的。
  この時ばかりは幽々子様の自由な行動に感謝した。
  只有到了这个时候,才会对幽幽子大人的擅自行动心存感激。
  しかし、その感謝した事が後悔に変わったのは、それから数刻経った後の事だった。
  殊不知,那份感激之情转变为后悔,只是过了几个小时后的事。
  私は徹底的に自分と波長の異なる者達に振り回されただけなのだと、強く感じたのであった。
  我强烈地感觉到,自己只不过是被与自己波长截然不同的人们彻底耍了一通。
< 第六话   东方儚月抄   最终话 >

注释

  1. 与“半信半疑”同音。
  2. 连载作“彼岸”,单行本(至少初版)作“此岸”。目测单行本出错,改成连载版。
  3. 此处为一语法错误,正确的用法应该是“そこに”。