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東方天華楼 ~ Frantically Forbidden Fruit./设定与剧情/故事背景
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博麗神社。人里離れた辺境の地に建つ神社である。 時は既に葉月を過ぎ、今年の幻想郷にも暑い熱い夏がやってきていた。 流石の人妖も涼を求めて、涼しい上空を飛びまわりたがる季節である …そう、その筈だった。二月以上も灼熱の熱波が押し寄せ続けなければ。 | |
霊夢「おかしい」 魔理沙「おう、ついに暑さにやられたのか?」 霊夢「もう神無月(10月)になるのよ。 いつもなら、こんなに殺気立ってないのに」 魔理沙「たまによくあるんじゃないか?」 | |
この暑さにやられたのか、幻想郷の住民の殆どが生気を失っていた。 それもその筈である。温暖な上に空気が甘ったるいのだ。どこもかしこも。 その原因は、様々な果実の同時多発的大量発生にあったようだ。 茹だるような熱波の影響だけとはとても考えにくいだろう。 | |
魔理沙「ほれ、魔法の森特産のマジカルバナナジュースだ。 …ちょっとぬるくなってるがな」 霊夢「…氷魔法使えなかったっけ?魔理沙って」 魔理沙「あー?無理だね。去年の冬の間にせっせと 溜め込んでおいた氷の鱗も今は在庫切れだ」 | |
魔法の森の中は元々の湿度に加え、この熱波の影響で 熱帯雨林の様な気候になりつつあった。 生態系は辛うじて原形を残してはいるが、そう永くも持つまい。 | |
霊夢「やっぱりいつもより夏が永いからじゃないの?ソレって」 魔理沙「一応八卦炉の冷房機能とジュースに使う分は取っておいてあるがな」 霊夢「それ水筒に入れてきなさいよ」 魔理沙「もったいないぜ。空の上は涼しいからな」 霊夢「あっそう。もういいや、ちょっとぬるくても」 | |
本来の彼女達ならば、いきなり果実がそこら辺から にょきにょき生えてきた時点で、異変を疑っているであろう。 しかし、便利だからと勝手に動いたお祓い棒を放置しておく巫女である。 月の侵略異変で手こずった疲れもあり、特に気にも留めなかったようだ。 | |
霊夢「ぶはー。ぬるい、あまい、うまい。」 魔理沙「謎の三段活用をするな。 …完全にやられてるようだなこりゃ」 | |
魔理沙は、完全にぐだっている霊夢から目を離すと、 見知った4つの影が、こちらに向かってきていることに気が付く。 | |
魔理沙「お。咲夜に早苗か。それと鈴仙と妖夢まで…。 珍しい組み合わせ同士じゃないか。どうしたんだ?」 咲夜「さっきそこでバッタリとね。ブドウジュースはいかが?」 早苗「こんにちは。うちで取れたメロンをジュースにしたので 御裾分けに来ました。ついでにお話でも」 | |
霊夢「こんなに暑いのに、良く飛んでくる元気があるわね」 魔理沙「戸棚にアリスから貰ったクッキーがあるから、食べて良いぜ」 鈴仙「あんたのじゃないでしょソレって」 妖夢「切った西瓜や桃もありますけど」 霊夢「おっ、いいわね。それじゃ座布団持ってくるわ」 | |
卓上に集った6人は持ち寄ったジュースや果物を分け合いながら、 この異変の事について話をしだした。 | |
霊夢「やっぱりさー。この暑さと果物の大量発生って なんか関係あると思うのよねー。そのせいか皆殺気立ってるし」 魔理沙「さっきも言ってたなソレ。まぁ、確かにおかしいなと 私も最初の頃は思ってたんだが…。」 咲夜「身構えても何も起きなかったからね。手掛かりも特にないし 異変だったら何らかのアクションがあるはずだもの」 早苗「結局、みんな果物に釣られちゃったんですよね。 こんな美味しい異変なら大歓迎ですもん」 | |
妖夢「でも異変は異変なんですよね。幽々子様も言ってました」 鈴仙「うちの師匠も異変じゃないかと言ってたし、 手分けして果物の発生源を調べましょうか」 魔理沙「まあ、過剰な熱波は要らないしな。 そろそろフルーツにも飽きてきた所だし、動いてみるか?」 霊夢「そうねぇ。涼しくなってきたら 各自適当に出かけて、適当に動きましょ。」 鈴仙「あ、その前にちょっと待って」 | |
霊夢の適当な鶴の一声で、ようやく異変解決へ動き出しだそうとした時 待ったをかけた鈴仙が懐から何かを取り出した。 それは、片手に持てるサイズの水筒だった。 | |
鈴仙「折角フルーツがあちこちに一杯あるんだから、 それらを活用しない手はないでしょ? そこで、こんなものを作ってみたの」 霊夢「あー?なによこれ」 妖夢「ただの水筒に見えるけど…」 | |
全員が水筒を興味半分で見つめていると 鈴仙がしたり顔で説明しだす。 | |
鈴仙「これはね、師匠の製薬技術をちょっとだけ応用して 作った果汁濃縮水筒。その名も『ドリームシェイカー』よ これに果物を入れて振ると、自動的に果汁が濃縮されて 素敵で美味な薬用ドリンクに変わるの。 更に滅菌消毒した空き瓶三本付けて、なんとお値段据置!」 咲夜「あらまぁお得なセット」 魔理沙「色んな意味で胡散臭いなソレ」 早苗「大丈夫なんですかね?」 | |
鈴仙「大丈夫よ。治験は既に私がやったわ。 特に異常が無いから、地上の人間でも平気の筈よ」 霊夢「ふうん。つまりそれで果物の嵩を減らして 異変解決ついでに回収しようって話ね?」 魔理沙「どうする?永琳の奴が何か企んでないとも限らんぞ」 早苗「あぁ、紺珠の薬の件もありますしね…。 副作用とか…」 妖夢「私はあまり気にしませんけど…」 咲夜「右に同じくですわ」 | |
前回(紺珠伝)、永琳の策に乗せられてしまった人間達3名は 余り使う気にならなかったようだが、そこは鈴仙も織り込み済みだった。 | |
鈴仙「使わなくてもいいから、一応手に持っててよ。 余分に作ってきたから、予備はここに置いておくわ」 | |
霊夢「仕方ないわね…。じゃあ使用は任意って事で。 取りあえず日中じゃなくて、夕方から出発しましょ。」 魔理沙「昼間は暑いしなぁ。夜の方がいいか」 咲夜「無事に成果を持って来れればいいんだけどね」 早苗「それじゃ、早速どこから行くか決めましょう! 闇雲に探しても疲れるだけですからね!」 妖夢「なんか楽しんでません…?」 | |
6人の少女達が作戦会議を開く座卓、 それを意味深な笑顔で見つめる者が一人。 | |
??「やれやれ。やっと動いてくれたのね。 もっと早く行動してくれれば、花達も辛くないのに」 | |
風見幽香(かざみゆうか)。幻想郷に昔からいる古株であり、 何より四季の花を愛する妖怪であった。 | |
幽香「やっぱり人間達は頼りないわね。暑いからって適当なんだから…。 あのウサギの持ってきたブツを使うのは気に入らないけど、 仕方ない、今回は久々に私も動くとしましょうか。」 | |
―時は過ぎて夕刻。 流石の熱波も勢いを落とし、夜の涼風が混じり始める時間帯。 いよいよついに6人の人間と、陰で一人の妖怪、 合わせて7人の少女達が動き出した。 | |
その行動を、天上で待ちわびている者が居る事なんて、 彼女達にはまだ知る筈も無かったのであった。 |
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